質問・回答(0365)



(since2007/7/5)

「早速秋に温泉旅行をしようと
宿に予約を入れました」

Date: Sun, 13 May 2007 02:35:24 +0900 (JST)

お忙しいところ申し訳ありません。以前「通常のご質問」の方へメールを送信させていただいたのですが
やはり足立先生のご意見をお伺い致したく再度***コースでメールを送らせて頂きました。

私の母(6*歳)のことでご相談させて頂きたいのですが、手術日を5月2*日担当執刀医との最終面談を5月16日に予定されております為、5月15日までにご回答頂くことは出来ませんでしょうか?
非常識なお願いとは存じますがお聞き入れ頂ければ幸いです。勝手を言って申し訳ありませんがどうぞよろしくお願いいたします。

私の母は2000年1*月に小腸がんV期で手術をしており、その後3年間抗がん剤を服用、
お蔭様で再発はなく現在に至っておりました。しかし昨年12月頃から腹部に腫れを感じる自覚症状があり、今年1月の人間ドックでも腫れを指摘され検査したところ、右の卵巣が14*×12*mmに腫れており、若干の充実部が認められるとのことでした。以前から子宮筋腫があったのですがそれも40mmほどの大きさになっているとのことで子宮体がん、子宮頸がんの検査をしたところそれは異常なしということでした。
腫瘍マーカーの値はCA125が24・9、CA19−9が6*.5で、術前CT.MRIの検査の結果、他に転移している所見は見られないとのことでした。

そして3月1*日手術、迅速診断の結果はマイナスとのことで、子宮、卵巣、大網切除で手術は終了致しました。
しかし、永久標本を使った検査で、顕微鏡で見てわかるくらいのがん細胞が見つかったとのこと。
組織型は粘液性腺がんとのことでした。

ただ腹水には異常がなく、おそらくリンパ節にがん細胞が見つかる可能性は極めて低いとの所見で、Ta期の可能性が高いとのことなのですが、実際にはリンパ節を郭清してそこにがんが転移していないと確認しない限りTa期とは確定できないというお話でした。主治医からは再手術をするかどうかご家族で相談してみてくださいと言われ、わからないながら調べたところやはり卵巣片側にがん細胞が限局されるケースでもリンパ節にがん細胞が発見されることが一割程度あるという情報を目にし、たとえ一割でも自分がその一割に入ってしまえば100%ということになってしまうので白黒はっきりさせるために手術をするという母の意向で一応手術をするべく準備は進めてまいりました。

しかしここにきて母はともかく私には迷いが生じております。リンパ節郭清にはリンパ浮腫等の後遺症が伴う可能性があり、それによって母の趣味の海外への旅行や畑仕事等の制限がされQOLが下がってしまうのではないか、命の問題に比べたら小さなことかもしれませんが、今回の手術がある程度選択の余地があるもの(こういったケースでリンパ節郭清する人、郭清しないで5年の経過を待つ人が大体半々位だと主治医はおっしゃっていました)だけに悩んでしまうのです。
上手く言えなくて申し訳ありませんが下記に箇条書きに質問事項を記させていただきます。

@ こういったケースではやはりリンパ節郭清という選択が一番望ましい選択なのでしょうか?
  リンパ節郭清という選択は医学的には病気の進行をとどめるということより、ステージを確定させる為にすることという意味合いが濃いのでしょうか?
  
A 顕微鏡で見て見つかるくらいのがん細胞、そして腹水にもがん細胞が発見されないようなTa期で実際にリンパ節からがん細胞が発見されるケースはデータ上どのくらいあるのでしょうか。探してみたのですがあまりデータが見つからず、癌研有明病院さんのデータだけしか参考に出来るものがありませんでした。

B リンパ節郭清をした場合、やはり多くのケースでリンパ浮腫の後遺症が出るのでしょうか?主治医のお話ですと放射線治療を行ったケースで後遺症が出ることが多いとのお話でしたがやはり心配です。母の場合はリンパ節郭清をしてがん細胞が発見されなければそれで治療はおしまいで放射線治療、化学療法等の治療は必要ありませんと言われております。

C 後腹膜空でのリンパ管細静脈吻合術という手術をすることでリンパ浮腫の発症軽減が見られたという情報を目にしたのですが、これはリンパ節郭清手術時に同時に行える手術なのでしょうか?
  この手術が可能な病院は限られているのでしょうか?まだ新しい方法なのかあまり情報が見つからないのですがあまり効果が確立されていない手術なのでしょうか?

D リンパ節郭清手術後、リンパ浮腫の症状が出ないうちは普通の生活をしていて大丈夫なのでしょうか?リンパ浮腫の発症の予防になることというのは何かあるのでしょうか?

現在、***県***市の**大学付属病院で****先生に診て頂いており、執刀もして頂いております。
非常に信頼のおける先生だと思っておりますので手術自体にはあまり心配はないのですが手術をするという選択とその後の生活に非常に不安を持っております。

3月15日の手術から2ヶ月あまり経ってようやく普通の日常生活ができるようになった母をまた手術に送り出すことになるのに、その選択に迷いがあるというのはつらいです。

出来れば再手術させないであげられたらと思うのですが、それによって何年後かに転移が発見されるのも恐ろしく心が揺れています。母自体はあまり考え込まない性格のため前向きに手術に望むつもりでおりますので私の迷いを話して不安にさせることはできません。

足立先生のご意見をぜひお伺い致したく、失礼と無理を承知の上でお願い申し上げます。
まとまりのないわかりにくい文章で申し訳ありません。



Date: Mon, 14 May 2007 17:20:43 +0900
Subject: それでは16日朝8時にメールを開けて頂けますか? 

(内容詳細略)





Date: Mon, 14 May 2007 10:37:17 +0900

足立先生

おはようございます。早々にご返信頂きましてありがとうございます。こちらのわがままなお願いにも温かくご対応頂き、感謝しております。先ほど母に診察時間を確認致しました。もしご回答頂けるのでしたらやはり当日16日朝8時位まででしたらこのメールアドレスにお送り頂ければ拝読させていただくことができます。
もしご回答頂けたら母の採る道を考える上での大きな拠り所になると思います。
が、本当に「先生、いったいいつお寝みになられているのだろう」と心配になるくらい私をはじめとする迷える患者さんへご尽力下さっていることがひしひしと伝わってまいりますのであまりご無理を申し上げるわけにもまいりません。
お返事を頂ける幸運を祈りつつ、取り急ぎお返事送信させて頂きます。ありがとうございます。そしてよろしくお願い致します。




Date: Mon, 14 May 2007 21:19:03 +0900

先ずは結論からお答えし、その後でご質問項目に従いお答えしようと思います。
手術をなさるお母様ご自身も「どうしたら良いのか」と迷っておられる場合には手術をされないようお勧め致します。
なぜなら、人間は病気自体で何か悪いことが起こってもそれは自然現象なので諦めが付きますが手術をしたり、薬を飲んだりしてその弊害や副作用によって身体の具合が悪くなってしまった場合には、あんな手術はしなければ良かったとかあんな薬を無理して飲まなかったら良かったと大変後悔するものだからです。

しかし、お母様の場合は信頼の置ける主治医の先生からインフォームドコンセントとなる詳しい説明を受けて、ご本人ご自身が納得をして手術を受けられるので万が一のことがあってもそれを受け入れることが比較的可能で気持ちの整理もつき安いと考えます。
そういった場合には基本的にお母様のご判断に任せるのが良いというのが私の結論です。

それでは、それぞれのご質問項目に従いお答え致します。


> @ こういったケースではやはりリンパ節郭清という選択が一番望ましい選択なのでしょうか?
>   リンパ節郭清という選択は医学的には病気の進行をとどめるということより、ステージを確定させる為にすることと
>   いう意味合いが濃いのでしょうか?

手術を行うとなるとリンパ節郭清となります。
病気の拡大を阻止し、且つステージも確定することが出来、両方に役立ちます。
意味合いからすると病気の拡大を阻止する方が大事です。

> A 顕微鏡で見て見つかるくらいのがん細胞、そして腹水にもがん細胞が発見
>   されないようなTa期で実際にリンパ節からがん細胞が発見されるケースはデータ上
>   どのくらいあるのでしょうか。探してみたのですがあまりデータが見つからず、
>   癌研有明病院さんのデータだけしか参考に出来るものがありませんでした。

癌研有明病院のデータの他に久留米大学からも詳しいデータが出ていますがもう少し進行した癌のデータが主です。今回は時間が無かったので文献検索が充分には出来ませんでしたが有ったとしても少ないのではないかと思います。

> B リンパ節郭清をした場合、やはり多くのケースでリンパ浮腫の後遺症が出るのでしょうか?
>   主治医のお話ですと放射線治療を行ったケースで後遺症が出ることが多いとのお話でしたが
>   やはり心配です。母の場合はリンパ節郭清をしてがん細胞が発見されなければそれで治療はおしまいで
>   放射線治療、化学療法等の治療は必要ありませんと言われております。

リンパ節郭清をした場合、リンパ浮腫が合併する確率は6%くらいというデータもあります。放射線治療、化学療法をしない場合はもっと可能性は少なくなるでしょう。
>
> C 後腹膜空でのリンパ管細静脈吻合術という手術をすることでリンパ浮腫の発症軽減が見られたという
>   情報を目にしたのですが、これはリンパ節郭清手術時に同時に行える手術なのでしょうか?
>   この手術が可能な病院は限られているのでしょうか?まだ新しい方法なのかあまり情報が見つからないのですが
>   あまり効果が確立されていない手術なのでしょうか?

リンパ管細静脈吻合術は横浜市立病院や岡山大学などで行っている方法です。
リンパ節郭清手術時に同時に行うのではなく、リンパ浮腫が発生した場合に施行します。

> D リンパ節郭清手術後、リンパ浮腫の症状が出ないうちは普通の生活をしていて大丈夫なのでしょうか?
>   リンパ浮腫の発症の予防になることというのは何かあるのでしょうか?

リンパ浮腫を予防するためには出来るだけ小まめに身体を動かすことです。手術の傷が開いてしまうようなことは厳禁ですが、許される範囲で小まめに身体を動かすようにしましょう。

以上、今回のお答えとさせて頂きます。
どうぞ、お大事になさって下さい。


Date: Tue, 15 May 2007 01:05:05 +0900

足立先生

お忙しいところ最終面談に間に合うようにご回答頂きましてありがとうございました。
母自身は手術をすることに迷いはない(というか確かめないのが怖いのでやると言っております)のでやはりこのまま手術をして頂くことになると思います。

でも思っていたよりリンパ浮腫の発生する確率が低いようですので少しだけ安心致しました。
また経過をご報告させて頂きます。

なお**は***より5月16日(水)に***頂く予定でおります。
よろしくお願い致します。
取り急ぎ御礼申し上げます。ありがとうございました。


Date: Wed, 04 Jul 2007 20:16:53 +0900

足立先生

こんにちは。その節は母のことでご相談にのって頂きありがとうございました。
その後のご連絡が大変遅くなりまして申し訳ありません。
下の通りご報告させて頂きます。

回答を頂いた後、母始め家族に先生の回答をプリントアウトしたものを見せましたところ丁寧で温かな内容にとても喜んでおりました。
そして足立先生のアドバイス、主治医のお話を参考にして家族で話し合い、母の意志も固いことからやはり手術を受ける決断を致しました。

予定通り5月2*日に手術が執り行われました。
7時間程かかり無事に手術は終わりました。

術後の執刀医との面談では腹水にはがん細胞は発見されず、切除した59個の部位にがん細胞が発見されなければTa期確定というお話でした。
母の術後の経過は主治医のお話では非常に良好とのことでした。が、本人が話しますにはやはり一回目の卵巣摘出手術時よりは術後の発熱もなかなかひかないし、歩行練習等体を動かすのも大変でしんどい入院生活だったようです。
(母は3度の手術〔小腸がん、卵巣がん、今回のリンパ節切除〕を経験していますがその中で一番術後に体を回復させるのが手強かったのが今回だそうです。)

幸いにもドレーンからのリンパ液の漏れも少なく、ドレーンが外れた後の傷の治りも良かったのでその点に関しては一安心でした。

6月*日に退院、その前にリンパ節の検査の結果も出たのですがお蔭様で59個全てにがん細胞は発見されず、晴れ晴れとした気持ちでの退院を迎えることが出来ました。ありがとうございました。

退院後一週間目の診察では小さなリンパのう腫が見られるものの、経過は良好とのことでそののう腫も術後一ヶ月の診察時には無くなっていたということです。今のところ目だったむくみもなく、体力も徐々に回復し通常の生活のペースにだいぶ戻ってきています。

手術時に若干の腸の癒着があり8センチ程切ったせいか、退院まもなくの頃は食事をした後に胃が痛くなっていましたが、食事量を小分けにするなどの工夫によってだいぶ改善され、今は食べる量を普通にしても大丈夫になったようです。

主治医からも「どんどん普通の生活に戻してください。夏に旅行に行ってもいいですよ」と言われたと喜んでおりましたので早速秋に温泉旅行をしようと宿に予約を入れました(笑)海外旅行にも行けるくらい元気になってくれることを心から願っています。

本当に親切で温かな対応をして頂きましてありがとうございました。
足立先生もお体をどうぞ大切になさって、悩み、心を痛めている患者さんとその家族の行く道を照らして差し上げてください。よろしくお願い致します。
この度は本当にありがとうございました。
遅くなりましたがご報告と御礼まで。