DCプリアンプ基板 基本的に、初期型(シングルエンド出力)金田式DCプリアンプ を踏襲していますが、以下の変更点を加えています。 1.定格/耐圧への考慮。  2.1 FETの印加電圧を下げました   オリジナル のDS間電圧は 23.2V ですが、    10V以下の 8.8Vとし、入力インピの低下、及び、    ドリフトの増大を防止しました。    2.2 定格をオーバしないTRにしました   ディスコン故、変更せざるを得ない事が大きな要因ですが...。      オリジナルは    A640K (定格50V)、             C984C (定格30V)は定格オーバでしたので、   容易に入手可能な A970GR(定格120V)、            C3423Y(定格150V)に変更しました。     但し、オリジナルサウンドに拘る場合はこの限りではありません。      尚、オリジナルを採用して製作した前作の金田式DCプリは、      耐圧オーバのまま50年近く使っていますが、不具合は発生ぜず、      "アマチュアレベルでは" 定格違反は 余り問題にならない様です。    特に今回、A640 から A970 へ変更した事に依り、発振を起こした為、    2段目の差動に 10pF の位相補正が必要となりました。     詰まり、部品を交換した時の音質の違いを確認する時、交換した環境で     正しく動作する様に回路修正が必要なので、単純に部品を変えた丈で、     音質が変わったと喜んではいけないという事なのです。      (何が音質に影響したのか分かり難くなりますが...) 2.ローブーストの定数変更。    オリジナル は 3.2dB / ( 42Hz、58Hz、86Hz ) でしたが、    オンボードでは、 6dB / 40Hz。    外部スイッチでは、      ( 3dB、6dB、9dB、12dB、15dB、18dB ) /      ( 33Hz、48Hz、70Hz、100Hz、152Hz、221Hz ) としました。     尚、一般のスピーカシステムはバスレフ故、ローブーストしても     空振りし、余り効果が得られないので、この機能は必須ではありません。      又、縦令、密閉型でも、Fo の Q が高めのウーファや、      口径に比して箱が小型の場合等は、緩やかに低域が下降しないので、      反って中低域が強調される丈となり(聞くに堪えない音となり)      ローブースト自体が成立しない場合があります。 実装に付いて 1.Q701、Q702 は、ピン配列が逆の TO220、TO126 にも対応し、     TO220 は放熱板に遠い方、     TO126 は放熱板に近い方、を使って下さい。 2.左下の半田ジャンパにて    左下の取り付け穴をグラウンドアースにできます。 3.P108、P109 (周辺)は、  3.1 スライドSWを載せる事で、オンボードで、      ローブーストの有効/無効の切り替えができます。  3.2 (スライドSWを載せず)スライドSWの      左側の半田ジャンパをショートすれば、      ローブーストを常時無効にできます。  3.3 (スライドSWを載せず、その右側の半田ジャンパをショートし)      コネクタを使う事で、外部ロータリスイッチでの      ローブースト定数の切り替えに対応できます。   4.リレー裏側半田ジャンパにて(ディレイ)ミュートを無効化できます。   5.D702、D703は、CRD ではなく FET(2SK246、2SK303、2SK30、等)が代替可能です。 6.電源トランスはリケージの少ない、カットコアやトロイダルの使用を推奨します。    EI型の場合でもある程度迄は追い込めますが、容易ではない事が多く、    筐体を鉄製とし、電源部を別筐体とし、最適配置とする事を推奨します。    (詰まり、ケーブルの素材に拘る前に、機材/ケーブル類の位置関係の影響が大きく、     それの留意が必要という事なのですが、特に近年普及したディジタル機器では、     それが音質にも影響を与えるとの事なので、更に留意が必要となりました)    EI型では、     東栄 J6003 60V0.3A は±35V取れます。        J6001 60V0.1A は±30V取れます。    カットコア型では、ディスコンですが、     タンゴ CT-20、CT-40A、CT-40 がお勧めです。 7.RV201、RV301、RV501、RV601 は、多回転型の半固定抵抗を使う事で、    若干DCオフセット調整が楽になります。 8.RCA端子、RV101 を基板上に実装し、RV101 関連半田ジャンパをショートすれば    基板と電源だけでプリアンプになります。 9. Q201、Q202、Q301、Q302、Q501、Q502、Q601、Q602 は、2SK30 以外として、    2SK246、2SK2880、2SK2881、2SK118、等や、他に、    ピン配列が違いますが、2SK303、等が代替可能です。       但し、FETはバラつきが多く、選別は必須です。     縦令、選別をしたとしても、(最初は)直付けせず、     ソケットを使用し、実動作環境での交換選別を容易とする事を推奨致します。     尚、選別は、(実動作環境ではないので目安として)先ずは、      TR は Hfe が同じものを選んで下さい。      FET は Idss が同じものを選んで下さい。   調整に付いて 1.VR701、VR702 にて電源電圧を ±35V として下さい。    電源トランス(レギュレーション)に依り、±35V が困難な場合は    適宜、電圧を下げてください。 2.VR201、VR301、VR501、VR601、を中央位置とし、   VR202、VR302、VR502、VR602、を調整し、各出力が ±数V以下 と    なる様に調整して下さい。(ある程度ペアが揃っている事が前提です)   VR201、VR301 にて、イコライザアンプの出力カップリングコンデンサの手前   (R211、R311のリード右側)が ±0.1V 程度に収まる様に微調整して下さい。   この調整は大変クリティカルです。   VR501、VR601 にて、フラットアンプ出力が ±10mV 程度に収まる様に   微調整して下さい。何れにせよ、DCは完全には0Vにはならないので、   (ウーファ用以外では)パワーアンプの入力でのDCカットは必要です。