━━1998/ 5/ 5━━━☆━━━━━━━━━━━━━━━☆━━━━━━
                    たま
          バンコク発!<地球>乗り見聞録
━━━☆━━━━━━━━━━━━━━━━━[創刊号]━━━━━━━                        (第二第四日曜日発行)

■<地球>を"タマ"と読んで、「たま乗り見聞録」というこの雑誌
ホレホレよいではないか...とウブなお姫さまを扱うように
この<地球>を軽々と、もてあそぶ僕たちの活動記をまとめてみました。
全国のバンコク、世界旅行ファンのあなたに贈る役立たず最新情報です。

  @@@・創刊にあたって・@@@
 バンコクは世界で最もエネルギッシュな都市。
人も天気もHotなこの街から、 世界をプララと飛び回る、コバちゃんの地球まるごと的な見聞録と、
在タイ歴2年になる、市場探検家の久慈さんによる バンコク発、珍事件、珍人間観察記という二本立てで
二週間に一度みなさんのところにメールマガジン送ってゆきます。
たま乗りのごとく軽やかに、臨場感あふれた、 みなさんも一緒に楽しめる内容に
してゆきたいと思いますので これからどうぞよろしくお願いいたします。 ・(..)・コバちゃん


                  ☆☆☆久慈ちゃんのバンコクで、たま乗り☆☆☆ ===================================================================
(1): 猛暑シーズンこそバンコクで遊べ ===================================================================

 暑いぜ・・・、暑くて脳が溶け出しそうだ・・・・。
 今は五月、日本では新緑が萌え、風がその若々しい薫りを乗せ、
心地よく鼻先を掠めて吹き過ぎて行く時期、
ここバンコクでは 最盛期を迎えたドリアンと連日の猛暑によって濃縮されたドブ川の臭気が漂う。
   オイラの名は久慈一孝。 この街へやって来てもうじき二年になるが、 近頃少々ゆきづまりを感じている。
一体オイラは今まで何をして来ただろうか?
何一つ得る事も無く、日々を惰性で過ごし、 いたずらに時間を労費して来てしまったのではなかろうか?
いかん!このままでは本当に脳ミソが溶けちまう!
何か建設的な事を考えなくては・・・ってな訳で 友人のコバちゃんに勧められたという事もあって、
この書き物を始める事にした。

 と言っても、たかだか二年を過ごした程度の奴に そうたいそうな事が書ける訳が無いが、
まあともかく 日々の暮しの中でオイラがオイラなりに考えた事や 感じた事どもを
肩ヒジ張らずに書いて行きたい と、かように考えている次第であります(張ってるじゃねぇか)。
そんな訳なんで時にはひどい駄文を連ねる事もあるかも知れないが、 まあカンベンしてくれたまえ。

 さて、始めようか。 バンコク、正式名称グルンテープ・マハナーコン
(もっと正確に言うとこの後にも寿限無なみに 長い名前がつづくのだがめんどうなので省略する)
天人の都と言う意味だ。言わずと知れた夕イ王国の首都である。
昨今の海外旅行ブームでここを訪れた事のある人も多いだろう。
そういった人々がしばしば異口同音に「バンコクは居心地の良い街だ」 と、感想をもらす。
そう、確かにここは居心地の良い所だ。
だからあまりの居心地の良さに居ついてしまって 自分の母国へ帰らない奴が後を断たない。
かく言うこのオイラもそういう奴の一人だ。 一体何がかくも多勢の人々をこの街に引き寄せるのだろうか?

メシがうまい、住居が安い、人々が親切でやさしい 女性が美しい等、
理由は幾つも想い浮かべる事が出来るが、 最も大きな理由はやはりこの暑さではないだろうか?
もっと具体的に言うとこの暑さが生み出す一種独特のダラー とした雰囲気が
北方からドロップアウトして来た人々を とろかしてしまうのに違いない。
この暑さの中で半ば溶かされてしまった脳ミソは 彼等に北方のせちがらいモラルや価値観を忘れさせ、
一つの幻想を抱かせる。 「まあ人生なんてどうにでもならぁな、何もアクセクするこたぁあるめぇ」と。
いわば刹那的なクソ度胸が座ってしまうのだろう。

 しかし実際に暮らしてみればそう良い事ばかりある訳ではない。
タイ人との考え方の違いに悩んだり、怒ったり、文句をたれたりしたり、
また、時にはひどく貧乏して苦労したりしながらも、 彼等は決して国へ帰ろうとはしない。
どんなにブルーな気分に陥っても一歩外へ出てこの街のパワーに 触れてしまえば
そんなものは木っ端みじんにフッ飛ばされてしまう。

この街で暮らす愛すべき人々のオッチョコチョイぶりや、 優しいほほ笑みに接し、
ますます深みにハマって、 まただらだらと日々を過ごしてしまうという訳だ。
そうしてまた彼等の心から故国が遠ざかって行く。
 みんなこの街にやられてしまったのだ。    〈つづく〉

(次回は更に具体的なバンコクのおもしろさにせまって行きます。乞うご期待)


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♪◎♪《スゥータット・久慈の実用的夕イ語講座》♪◎♪ PART1
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 このコーナーは、タイ語を全く知らない人、 少し知っている人を対象に
在タイわずか二年のスゥータット・久慈先生が、
実際に役立つタイ語を講義してしまおうという大変思い上がったコーナーです。

 第一回目はやはり挨拶の言葉から入るのが妥当でしょう。
おや?向こうからステキなギャル子ちゃんが歩いて来ましたよ。
見とれているあなたと目が合った彼女は、 少しはにかんだ微笑を浮かべました。
さあ、ここであなたはこう挨拶しましょう。 照れずに、元気よく、

      サワッディー・クラップ!(こんにちは!)

(サワッディー)というのは 昼夜を問わずいつでも使える挨拶の言葉です。
"サワッディ"と、語頭の"サ"をごく弱く、 聞こえるか聞こえないか位に発音するとより本物っぽく聞こえます。
(クラップ)というのは男性がていねいな表現をする時に語尾に付ける言葉で、
(女性の場合は"カ"又は"カー")単独で使うと"はい"という返事の言葉になります
これも語頭の"クラ"をなまらせて"カップ"と、 発音すると感じが出ます。
また、語尾の"プ"は、あまり強く"プ!" などと発音してしまうと笑われてしまいます。
口の中で押し止めるように発音しましょう。
これが中々難しくて、下手をするとまったく語尾が発音されずに "カッ"となってしまい、
オカマと間違えられるという哀しい事態に陥る事になります。

 ま、ともかくもあなたはステキなギャル子ちゃんと コミュニケー卜するきっかけをつかみました。
めでたし、めでたし、 という事で今回はこの辺で終りに致します。

ほんじゃあまたね、\(^。^)/
サワッディー・クラップ←と、こんな具合に この言葉は別れの挨拶にも使えます。
            〈つづく〉


◆◇◆コバちゃんの世界で、たま乗り◆◇◆ ===================================================================
(1): 海辺のレストランでのひととき
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 目の前には、ただただ海が広がっていた。

 時々、近くの島々と行き来する船が海を通る以外は、 その風景には、ほとんど変化がなかった。
海の表面の波のざわめきや、岸に打ちつけられる白波、
空に浮かぶ雲のゆっくりとした動きでさえ、その中では目立っていた。
変化のない、こんな小さな島に住む人は、 あまりよけいなことも考えなくて済むのだろう。

 前菜は、Chinese veg soup with eggだった。
にんじんとブロッコリー、パセリとマッシュルームが、
とろみがかった卯スープの中で仲良く一致協力して、 うまい味を生みだしていた。
少し塩が効きすぎていたが、そんなことは気にもせず
まだ熱くてハーフーハーフーするうちにカッカッと胃にたたき込んだ。
これは、スープに対する礼儀である。
冷たくなって、半分ほど残された、 いじけたスープほど可愛いくないものはない。

 この街を歩いていると女性の熱い視線を否応なく感じてしまう。
あまりの熱さに耐え兼ねて、 僕が目を向けると、パッとすぐに視線をそらす子が結構多い。
好奇心はあるようだが、それよりも周りの人の目を気にしている。
こんな小さな島では、外国人と仲良く話をしていたというだけで、 最低45日は噂をされるようだ。
万が一、付き合うなどということになったら、 結婚という天使が目の前で手招きしていることは確実!
声を掛けるにも、相当な気合がこちらにも、あちらにも要求される。

 メインディシュは、Seafood chop suey。
チャプスイとは、ぶつ切り肉や野菜などを煮込んだ米国式中華料理のことで
世界中の中華レストランで食べられる代表的選手である。
これをごはんに掛けるといわゆる"中華丼"となる。
えんどう豆、にんじん、じゃがいも、たまねぎや長ねぎ、 キャべツなど、
この島で採れる野菜たちが総動員して、 いか様とエビ様を引き立たせていた。
うまい!
レストランのテレビが、CNN World Reportを放送していたが、
そんなものには気にも取めずに、ひたすら集中して食べる。
日本人はごはんを食べるときに、新聞やマンガ、テレビを見ながらの、 "ながら食い"をする人が多いが、
あれは見ていてあまり美しくない。
他のことは何も考えず、無心になって、貧欲に食べるのが 一番見応えがあったりする。

 昨夜、ちょうど映画のチケットが一枚余っていたので、 映画を見ないか?
と 通りすがりの子に声を掛けてみた。
イスラム社会では、カップルは人前であまりべタベタすることもなく すこし離れて歩くことも多い。

 後で気づいたのだが、その子も実は、カップルで歩いていて
後から歩いてきた彼氏が、なんだなんだと僕を凝視した。
それは睨んだわけでも、脅かしたわけでも、怒っていたわけでも ないのだが、
僕はその目を見て背筋がゾッとした。
その目にはヤクザ顔負けの、死の香りが漂う、一種の凄みがあった。
イスラムの国の男には、禁欲的な社会からの反動としての 女性に対してのただならぬ感情がある
簡単に言えば、ものすごく女性に飢えている...
「この子に手を出したら...たぶん僕は君を....だよ。」 と彼の目は言わずとも、熱く語っていた。
身の危険をひしひしと感じた僕は、しっぽを巻いて おとなしく一人で映画を見ることにした。

 デザートは、Fruit salad with ice creamだった。
パパイヤとパイナップル、バナナという熱帯フルーツ三大巨匠の上に、
甘すぎないカスタードアイスクリームがちょこんと 落ち着いた面持ちで乗っかっている。
ここもまた実にたくさんのフルーツが溢れているところだが、
果物をたらふく食べるのは、熱帯に居る者の当然の権利だなと思う。

サラダといえば、この国のレストランにはどこにでも Japanese saladというのがあって、
りんごとパイナップルとキャベツをマヨネーズであえた 不思議なサラダが出てくる。
「いったいなにが日本サラダなんだ? 100文字以内で詳しく説明してもらおうか?エッ!」
と思いつつも、まあよしよしと何も考えずに食べる。
その他、Russian salad,Korean salad,German salad,と
この国は、どうもサラダの国際化を目指しているようなのだ。
さあてみなさん、ここはどこの国か解かりましたか? 〈つづく〉

それでは、第二号の発刊予定は、5月31日です。 お楽しみに・・・
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