━━1999/1/14━━━☆━━━━━━━━━━━━━━━☆━━━━━━

                 たま

          バンコク発!<地球>乗り見聞録

━━━☆━━━━━━━━━━━━━━━━━[第六号]━━━━━━━

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サワッディーピーマイ!明けましておめでとうございます。

<地球>乗り見聞録は今年もヤリます!

どうか「球のり」をご愛顧の程よろしくお願いいたします。

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 ☆☆☆久慈ちゃんのバンコクで、たま乗り☆☆☆

 

現在、久慈ちゃんは、長期“たま乗り旅行”にお出かけ中!

バンコクの野ら犬と同じで、

地球のどこをほっつき歩いているやら、いつ帰ってくるやら、なんら解りません

見かけた方はご一報ください!

 

 

◆◇◆コバちゃんの世界で、たま乗り◆◇◆

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(6): 香辛料の嵐

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 雑食で良かったな...と思う。

 

今、僕は果物屋台でスイカとスターフルーツをほうばっている。

 

スイカは水々しく、十分に糖度があって口の中に甘味が一斉に広がってゆく。

スターフルーツのほうを食べるのは、初めてだった。

黄色にほとんど近い黄緑色をしており、

真上から見るとまさに星の形をしている果物だ。

甘酸っぱい。例えていえば、みかんとレモンが一諸になった味で、

食感はアロエのように厚みがありサクッとしている。といった感じだろうか。

 

 屋台の兄ちゃんは

ナイフで上手にスイカの皮をサササッと切り、ビニール袋に入れてくれる。

長いようじが中に入ってあるので、それでつついて食べるわけだ。

食べるための手間はほとんどなく、ただ口に運ぶだけでいい。

まさに果物ファーストフード!

 

 子供のころ、犬にスイカをあげたことがある。

「これは何だ何だ?クンクン」と 嗅ぎに来てはみるものの

一向に食べる様子もない。

とそのうち、興味もなくなり、どこかへ行ってしまう。

猫もそうだが、野菜や果物を食べることができない。   肉食なのだ。

 

こうやって果物の水々しく口の中に広がるさわやかな味に感激していると

バンコクにある、この色とりどりの果物や、

市場にわんさかとある野菜のどれも食べることができないというのは

何とも可哀いそうになってしまう。

 

 

 舌の感覚は五感覚の中でもとりわけ濃厚で、 鋭い器官だと思う。

 

例えば、スイカが目の前にあるとする。

 

それを見つめてみる

それをかいでみる

それに触れてみる

それを聞いてみる(音なんかしないけど、、、)

頭を使って、色や長さや重さを計って、成分や糖度を調べてみる

 

しかし、これらのどれを行ったとしても満足できるわけではない。

 

やはり、それは舌で味わうのが一番だし、唯一の解沢策だ。

 

 

 まさに舌は、万物と溶け込み、世界を味わうためにある器官なのだろう。

 

人間は雑食であるおかげで、知能が発達させていったのかもしれない。

何でも食べられるというその能力が、人間に世界のすべてを味わいたいと思わせ、

あらゆることに興味を引かせ、探求の精神を発達させ、

人間の認識できる世界がここまで広がっていったのかもしれない。

 

 そんな舌の文化を顕著に発達させているのがタイの文化ではないだろうか。

 

素材の豊富さはもちろんのこと

香辛料の豊かさも忘れてはならない。

 

屋台のテーブルに必ず付いているのが「調味料四人衆」である。

 

砂糖(甘み)魚しょうゆ(こく)酢漬け唐辛子(酸味)唐辛子(辛み)

の四種類がコップ入れられたセットで置いてあり

自分の好みに合わせて、これらで料理の味を調えてゆくわけだ。

(この4つの調味料の入れ方によって、味はいかようにも変化してゆき、

 例えば、同じラーメンを注問しても、相手のと自分のとでは

 醤油ラーメンと塩ラーメンぐらいの差がでてくる。)

 

 甘み、こく、酸味、辛さのそれら一同が、口の中で広がってゆく感覚はなんとも

筆舌に尽くしがたいものがある。

特に、醤油と塩を基本に、素材の味を一番大切にしてきた素朴な日本人の舌には

新鮮な初体験となるだろう。

読者の方々にも是非、香辛料が口の中で暴れ跳ね回る、

タイ料理を味わってもらいたいと思う。

 

しかしタイ人のまねをして、調子よく唐辛子をドドドッとかけてしまったりすると

次の日は、トイレで長く憂鬱な溜息をついてしまうことになりかねないので、

注意いたしましょう。

                               〈つづく〉