薬草と毒草




「おとうさんを助けて!」という少年の言葉にその物語は始まる。
病に伏せる少年の母親のため山に薬を取りにいったまま、帰って
こないという。
母の看病をする妹を残し、少年は彼らと行動を共にしたいと告げ
る。薬草の生える場所には古代王国時代の遺跡があった。
そこに駆け付けた冒険者らは何を見るのか?

このシナリオはキャラクターレベル2〜3で4〜5人用に設定されています。


Vol.1 少年の依頼 町に滞在しているPC達はある宿屋で少々早めに昼食をとっています。 小さなパンの盛り合わせとボウルに入った野菜、塩味のきいたスープ 魚のフライがセットで出ています、一人4G(1G=150円で計算)。 食べ終わってくつろいでいると宿屋の入り口が勢い良く開けられ、一人の少年 が息を切らし立っているのが目に入ります。 わりとこぎれいな服を着た14、5才くらいの少年です。 そしてPC達のテーブルにやってくると 「お願いです。僕の、僕のおとうさんを助ける手伝いをして下さい」 懐から小さな袋を出し、もう一度同じ言葉をいう。 袋の中身は金ではなく小さな瓶に塗り薬が入っています。 「セージ/レンジャー/ヒーラー技能+知力ボーナス」で目標値13で判定します。 成功したキャラクターはそれが『ズルカマラ(注1)』の軟膏であることが分かり ます。 誰も分からないようであれば宿屋の主人が後で教えてくれます。少年は傷に塗 る薬だということしかわかりません。 (注1)追加ルールブックP.257、完全版P.181参照。    一人分で基本取り引き価格は320Gで売値は160Gになります。 詳しい話をきくと少年は自己紹介をした後、話し出します。 「僕の名前はアルカッティ。僕の父さんは町で薬屋をやってるんだ。三日前母さ んが倒れてしまったんだ。父さんがいうには『破傷風(注2)』だっていって店に ある薬じゃダメだって山に採りにいったんだ」 一端言葉をきって唇をぐっと引き締めます(泣くのをこらえているような感じ であれば、これでなくてもかまいません) 「いつもなら二日もあれば戻ってくるはずなのに今朝になっても戻ってこないな んて何かあったんだ。お願いだよ、僕の父さんを探すのを手伝って!」 ここでさっしのいいプレイヤーは気付くでしょうが少年も山にいくといってい ます。ここで断っても一人でいく雰囲気であることをプレイヤーにそれとなく感 じさせて下さい。 母親のことを聞くと 「妹が看ているから、でもまだ小さいんで早く父さんを探して帰ってやらないと」 と説明します。 ○引き受ける場合 「じゃあ、これからすぐにいこう」 と少年は一番初めに引き受けることを提示したキャラクターの手を取って店を 出ようとします。 少年の基本的な能力値は以下のとおりです。 アルカッティ(人間 男 14歳)  器用度=12(+2) 敏捷度=13(+2) 知力=10(+1) 筋力=6(+1)  生命力=10(+1) 精神力=11(+1)  冒険者技能 レンジャー1  冒険者レベル1  生命力抵抗力2 精神力抵抗力2  武器:ダガー(必要筋力3)     攻撃力0 打撃力3 追加ダメージ0  楯 :なし            回避力0  鎧 :ソフト・レザー(必要筋力3) 防御力3 ダメージ減少1  言語:(会話)共通語、西方語(冒険の舞台によっては東方語)     (読解)共通語、西方語(冒険の舞台によっては東方語) ○断る場合 「そう、だめか。わたったよ」 そういい残して袋をしまうと店を出ていきます。その後店の主人がPC達に話しか け、依頼を引き受けてくれるよう頼みます。 「報酬が少ないのは分かるが、どうだろう戻ってからの宿泊費をまけて やってもいいからあいつの頼みを引き受けてくれないか?」 なぜと問いただすと 「町には医者(ヒーラー)もいるが、やっぱり薬がないと困るんだよ。それにあいつ の親父にはちょっと借りがあってな」 宿代一泊30+食事代3〜5Gの食事代はまけるといってきます。 これでも断った場合はどうしようもありません。別のシナリオを用意しておいて 下さい(笑) 引き受けるのなら親父さんが少年の家を教えてくれますが、いっても妹と病気の 母しかいません。 PC達が訪ねても少年が話した以上のことは聞けません。 Vol.2 遺跡までの道のり   ○引き受けた場合 町を出ると日が傾き始めています。少年は少しでも早く行こうとします。もちろ ん山には父と何回も行っているので道案内は出来ます。 山に入ってしばらくして少年は口を開きます。  「実は薬草の採れるところに遺跡があるんだ。父さんがいうには昔お兄ちゃん達み たいな冒険者が何回か探索して値打ちのありそうなものを見つけたっていってた。 今は何もないっていう話だよ」 ○断って追い掛けた場合 少年を追っていく場合は山に入ってから 「レンジャー技能+知力ボーナス」で少年の『足跡追跡』を行います。目標値は9 です。少年も急いでいるので足跡が大きく残されています。 三回ほど判定を行い、三回とも成功した場合少年に追い付きます。 失敗した場合、失敗した回数×2時間無駄になり、目標値は+1されます。 何とか少年に追い付いた場合、少年はふて腐れています。 「なんだ。断っておいて何で来るんだよ!」 なだめつつ訳を話せば納得してくれます。が、向こうから話しかけてくることは ありません。話しかけた場合のみ簡素に答えるだけです。 やがて彼らの前に遺跡が見えてきます。ここで少年に追い付かない場合は中から 悲鳴が聞こえてきます。 Vol.3 遺跡の新しき管理者 遺跡に到着するとその入り口付近に血が広がった跡があります。血は点々と遺跡 の中に続いています。 少年がいた場合は 「まさか! 父さんが」 止めようとしない限り少年は遺跡に入っていこうとします。また追い付かなかっ た場合はすでに入っています。 良く調べてみると、血はすでに固まっています。 中は一見普通の植物に関する研究を行っていた施設のようですが、実際は毒にな る植物を研究していたところでした。それを知った世界征服をたくらむ男が研究所 に来たときに少年の父親に見つかってしまったのです。 男は父親を襲い傷付けましたが、簡単な手当を行いB2の隠し扉の先の部屋で毒 植物の栽培を行わせていたのです。 遺跡は以下のようになっています。               入り口               | |        +−−−−+−+ +−+−−−−+        |    |  :  |    |        | A  |  :  | B  |  B1    |    |  :  |    |        +−−−−+  :  +−−−−+        |    |  :  |    |        | C  |  :  | D  |        |    |  :  |    |        +−−−−+−−−−−+−−−−+               |E|               +−+                                      +−−−−+−−−−−+−−−−+        |    |     |    |        |    |     |    |        |    |     |    |        | F  |     | G  |        |    |     |    |        |    |     |    |        |    |     |    |  B2    +−−−−+−+ +−+−−−−+        +−−−−+−+?+−+−−−−+        |    |  :  |    |        | H  |  :  |    |        |    |  :  |    |        +−−−−+  :  | I  |        |    |  :  |    |        | J  |  :  |    |        |    |  :  |    |        +−−−−+−−−−−+−−−−+               |E|               +−+ B1は役に立つものは何もありません。またB1もB2もすべての床と壁は石を敷 いてあります。 ・A:書庫だったのか古びた本棚が壁一面にあるだけです。 ・B:倉庫だったのか植物の種の皮が少々落ちています。鼠等にすでに食べられて    います。 ・C:空の部屋です。 ・D:植物の研究を行っていたのか実験器具があります。ここは最近になって持ち    込んだものです。 ・E:階段 B2には少年の父親と見張りのために数人の男(パーティの前衛人数+2)がいます。 もともと奥の花壇で毒植物を育てるためにいる人間です。 またマントをまとった一人の男が指示を出しています。   ・F、G:花壇です。この部屋だけ床は土がむき出しです。 ・H:少年の父親が使用していた部屋。 ・I:男達の部屋。 ・J:倉庫で肥料や農機具が置かれている。 (注3)マップ内の:は血の跡です。 ○少年が一緒の場合 入ってきたPC達を見て一様に驚きますが、マントの男がまず口を開きます。 「何だ貴様達は? わたしの計画の邪魔をしに来たのか」 そういった途端、 「父さん」 と少年が父親に駆け寄ります。この事態にPCらも男達も虚をつかれ行動できません。 (親子をかばう動作くらいはできるでしょう) 「ええい、せっかくの人手を。奴らを倒してしまえ!」 マントの男の指示で作業をしていた男達は手に武器を構えPC達に襲いかかってきま す。 ○少年が先に入った場合 Fの花壇にマントの男が立っていて、少年は両脇を男達に押さえられています。少 年の左腕から血は流れて、その血の滴る先には植物が見えます。 反対のGの花壇には同じように両脇から男達に押さえられた男がいます。 入ってきたPC達を見て一様に驚きますが、マントの男がまず口を開きます。 「何だ貴様達は? わたしの計画の邪魔をしに来たのか」 男達は申し合わせたように二人を離すと、手に武器を構えマントの男の側までやっ てきます。 「奴らを倒してしまえ!」 マントの男の指示で男達は手に武器を構えPC達に襲いかかってきます。 実際、不利になっても親子を人質に取ろうとはしません。その前に戦闘が終わるは ずです。 男達のデータは以下のとおりです。戦闘に必要な値のみ記入しています。 手下  モンスター・レベル1  敏捷度10  攻撃点=1+2D6 打撃点=5(+3ファイア・ウェポン後)  回避点=1+2D6 防御点=4  生命点/抵抗値=10/1+2D6  精神点/抵抗値=10/1+2D6 マントの男  モンスター・レベル3  敏捷度17  攻撃点=?+2D6 打撃点=?  回避点=?+2D6 防御点=?  生命点/抵抗値=14/?+2D6  精神点/抵抗値=14/?+2D6 マントの男は手下が戦っているとき、それぞれにファイア・ウェポンをかけます。 あとは魔法も使わず戦いには参加しません、部下がやられると。 「ちっ、こんなところに来る酔狂な奴がいるとは思わなかったわ」 片手でマントを翻し話します。PC達が降伏を呼びかけたり場合は 「ふん、わたしが貴様らごときに降伏などするか! いでよ我がしもべよ!」 ともう一度マントを翻します。するとマントは地面に落ちますが男の姿はなくな っています。 いきなり斬りかかった場合は、 「ふん、わたしが貴様らごときに降伏などするか! いでよ我がしもべよ!」 というってマントを翻しそのままマントだけ残して姿を消します。 『シーフ技能+知力ボーナス』で男が消えた場所を『捜索』した場合、目標値10。 床はなんともありません。実は男の背後の壁がどんでん返しになっているのです。 壁を探索するなら先ほどと同じで目標値も10です。 壁の先は暗いトンネルになっています。複雑に曲がっているので矢を打っても魔 法をつかっても男には届きません。 ○追い掛けようとする場合 トンネルの奥から男の声がします。 「貴様ら覚えておけよ。わたしの108の世界征服の段階の13段階目に現れた邪魔者と して記憶しておくからな!」 と鈍い音が響き、足元が揺れます。それと同時に崩れ落ちる音もします。 そのまま戻ろうとすると部屋の出口にマンドレイクがたっています。 マンドレイクのデータは、申し訳ありませんがSWRPG完全版P229を参照して ください。(著作権に引っかかってしまうんですm(__)m) この部屋(B2の奥)は地面がむき出しです。マンドレイクはまず最初に前衛の2 人に『ストーンブラスト』をかけます。次に『ホールド』をかけます。以降は普通 に戦闘します。 もし悲鳴で発狂した場合はごめんなさい。 Vol.4 戦いすんで マンドレイクを倒して男が消えたところの観察はVol.3を参照。 少年の父はPC達のお礼をいう。そしてこの花壇は燃やすことを進言し、PC達が何 も言わない場合は上の研究所から油のようなものを持ってきて一気に燃やしてしま います。 そして遺跡の近くでアルニカ(注4)を採取し無事町に戻ります。 町に滞在しているなら、その翌日、二人がやってきてお礼を述べると主にズルカ マラの種子を一人6粒(3粒で一回分320Gとして6粒全部売ると半値の320Gになる。 ただしこの町で売っても買い手がつくか不明)もらえる。 (注4)追加ルールブックP.256、完全版P.180参照。 基本経験点 1000 少年を先行させた場合は-200 とします。

 

 

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Written by katana