明鏡




・はじめに
特には何も考えずに作ったシナリオです。まあ、作者自身がまだまだ未熟なマスター
なので、初心者マスター向けということになるのでしょうか?

・プレイするに当たって
注意点
なるべくPCに話術技能もしくは事情通技能を(できれば両方)持たせて下さい。

好ましくないアーキタイプ
ヨロイ乗り
金剛機

・NPC(主要人物)
坂井 朱緒(さかい あけお) 36歳 男性
乾凪国名代の樹朔夜に仕える一領主。
同じく領主の袴田家とは最近、やや対立関係にある。

紫苑(しおん) 25歳 男性
盗賊集団“阿修羅”の頭目。サムライにしてかつてのヨロイ乗り。


・シナリオの流れ
1、導入(明鏡の喪失、命令)
   ↓
2、情報収集(城内、城下)
   ↓
3、道中(遭遇)
   ↓
4、決戦(決戦、奪還、終幕)


・本編 セッション開始時に下の状況を説明する。(読むだけでよい) 「PCは西方大陸の桜州六ヶ国は乾凪の国、坂井朱緒の領地の中心都市、嵯峨根の都 にいる。PCは坂井氏に仕える家臣、もしくは傭兵である」 第一幕「宴の後」 嵯峨根の都では坂井氏の長男、尚志(ひさし)の婚礼を祝って都を上げての盛大な祭 りが催されている。 城の門は開放され、その庭には多くの町民が訪れ、宴を楽しんでいる。PC達が騒ぎ を嫌がるという素振りを見せなければ、PC達もその中にいる。 しばらくすると、部屋の方から縁側へと坂井氏と尚志がでてくる。 「皆、我が息子のためにお集まりいただき、感謝する。知っての通り、我が息子が嫁 を取ることになった。今宵はその祝いの席だ、すでに出来上がっている者もいるか も知れないがせいぜい楽しんでいってくれ。今夜だけは無礼講といこうではないか」 坂井氏のその声を受けて町民達が歓声を上げる。熱気に包まれながら、その楽しい晩 は更けていく。 PCが宴に積極的に参加するなら、何も起こらず第2幕へ。 参加せず、一人で静かな所に行くというのなら下の文章を参照。 城の表側は宴用に完全に開放されているので、静かになりたいというのであれば、裏 手に回ることになる。 城の中はに入れない。 (これは、町人と下級武士の区別が付けにくいので、混乱を避けるために閉ざしている ことに寄る。 PC達の扱いは上級武士といえるのかも知れないが、着流しを着たサムライや銃槍使 いなど傭兵的な人間が上級武士に見えるとも思えない。 また、武器は持っていたとしても脇差し程度。 銃槍使いやヨロイ狩りが武器を手放したくないのもわかるが、そのような武器を持っ ているのであれば、まず宴には参加させてもらえないだろう。その場合、城門の外に すら入れず、酒場や遊郭で一晩を過ごすことになる。) 城の裏手には蔵や武器庫、厩といった建物が並んでいる。蔵の前には灯りがともされ、 見張りが立っているとはいえ少し離れたところに行けばかなり暗い。そして、表の喧 噪が信じられないほどに静かで、聞こえる音といえば、木々がもえパチパチと鳴って いる音くらい。ほかには、時折、耳を澄ませば表のざわめきがうっすらと聞こえる程 度である。 PCの行動が一段落ついたところで、ぬるい風が吹き、灯されている篝火がふっと消 える。 観察<知覚>チェック。難易度は2とする。 成功した場合、失敗した場合ともに火はすぐに灯される。また、成功した場合、明る くなった瞬間にいくつかの影が塀を越えていったような気がする。ただし、あくまで も気がする程度。音も全くしない。 衛兵に聞いても「気のせいですよ、物音すら聞こえませんでしたよ」というだけ。蔵、 武器庫は共に鍵がしっかりとかかっているし、厩にも変化はない。 (暗闇で確認することができないだけだが・・・) 影が見えた塀は人間が音も立てずに飛び越せるような代物ではないし、よじ登ったと ころでごく普通の町並みが見えるだけ。 もし、坂井に報告するのなら「酔いが回っているのだよ、気にするな」といわれる。 一人で探しにいこうとしても「宴の席でまでそう神経をとがらせることはあるまい」 と引き留められる。 そして、夜は更けていく・・・ 第二幕「喪失」 坂井家では毎朝、主な家臣による話し合いのようなものが開かれる。PC達も家臣と して、あるいは傭兵部隊のまとめ役として出席している。 すべてが滞り無く進み、そろそろ終わろうかという頃、一人の武士が駆け込んでくる。 「申し上げます・・・」 「何事だ?そうぞうしい」 「何者かの手により、蔵の中から明鏡が持ち出されました・・・手の空いているものを  集め痕跡を探していますが・・・何も見つかっていません」 この言葉によって家臣の多くがざわめき、互いに顔を見合わせる。坂井も例外でなく、 驚きを隠せない。 「このことが他の領主に知れれば、大変なことになる。皆、手分けして直ちに・・・直  ちに発見しろ!針金が通るくらいに小さなものでも良い、必ず何か手がかりはあるは  ずだ」 「それと、正午に一度報告に来るように」 言葉を受け、次々と家臣が退出していく。 もし、昨日の時点で坂井に報告したものがいれば、苦々しそうに「お前の報告を素直 に受け取るべきだったな・・・よろしく頼む」と漏らす。 現在の段階で探せるところは次の通り。 ・蔵周辺 ・三方向にある街の出口に通じる大路(東、西、南大路) ・そこに立ち並ぶ食事処(開いていたのは東西大路に一店ずつ) 現在が朝の8時、PCは2時間に1回、1箇所を調べることができる。つまり、正午 までの間、1キャラにつき2箇所までということになる。 蔵周辺(観察<知覚>)難易度は0 複数人で捜索、成功した場合、成功数が一番高いものを採用すること。 ・失敗   大勢の人間がいすぎて何もわからない。 ・成功度1   篝火の影に酒の臭いがする竹筒。 ・成功度2〜3   塀に近い草むらの草が踏まれたように不自然に倒れている。(東大路より) ・成功度4〜   蔵にはまっている鉄格子が2、3本ガタガタする。さらに調べていると鉄格子が   外れる。そこには人間が一人くらい通れるような幅がある。 西大路(話術<共感>)難易度は0 複数人で捜索、成功した場合、成功数が一番高いものを採用すること。 ・失敗   「さぁねぇ・・・何せ俺も宴にいっていたからな・・・。役に立てなくて悪いな」 ・成功数1〜2   「外で騒ぐ音は聞いたな、けど、見ちゃいないからな。それより、城で何か盗ま    れたんだって?大変だねぇ」 ・成功数3〜   「俺ぁ、昨日、ここでぼーっと星を眺めてたんだ。だが、誰も通りはしなかった    ぜ。ただ、真っ赤な流星が見えたんだ。なんか悪いことはあったにちげえねえ」 西大路、食事処(話術<共感>)難易度は0 複数人で捜索、成功した場合、成功数が一番高いものを採用すること。 ・失敗   「昨日?知らないね・・・。城で盛大な宴をやってくれたおかげでこっちは商売    あがったりさ」 ・成功数1   「蔵のものが盗まれた?袴田の奴らの仕業じゃないのか?何せ、あそこの殿様と    朱緒さまは仲が悪いそうだしな」 ・成功数2〜3   「昨日、東大路の方で怪しい人影を見たとかいっていた奴がいたなぁ?」 「初めての客の顔まで覚えていられるかよ」 ・成功数4〜   「少なくとも、こっちの界隈では怪しい奴を見たってのは聞かないね。そういう    奴を見かけたら、たいていの人間が言いに来るからな」 東大路(話術<共感>)難易度は0 複数人で捜索、成功した場合、成功数が一番高いものを採用すること。 ・失敗〜成功数1   「ああ、見たよ。城からでてきた奴だろ?でも、どっちにいったんだっけかなぁ。    南の方に言ったような気がするんだよなぁ」 ・成功数2〜3   「この大路を歩いてたらな、怪しい連中とぶつかったんだ。すげえ形相でにらん    でこられて・・・恐くなって逃げだしちまった。でも、走っていった方向はこ    っちで間違いねぇよ」 ・成功数4〜   「城の方から来た怪しい奴ら?ああ、シノビ装束を着てた奴がいたな。数人組で    この大路をまっすぐ走っていったと思ったが」 東大路、食事処(話術<共感>)難易度は0 複数人で捜索、成功した場合、成功数が一番高いものを採用すること。 ・失敗   「昨日?知らないな・・・。城で盛大な宴をやってくれたおかげでこっちは商売    あがったりさ」 ・成功数1〜3   「盗賊団の仕業じゃねえのか?じゃなきゃ、やっぱり袴田だろうよ。あ、そうそ    う。この街で殿様と袴田の不仲をしらねえ奴はいない、って殿様に伝えときな。    隠すだけ無駄だぜ」 ・成功数4〜   「最近、この辺りで活動している盗賊団が2、3ある。確かこの手の情報は南大    路の(かきつばた)って店の親父が詳しかったと思うが・・・」 南大路(話術<共感>)難易度は0 複数人で捜索、成功した場合、成功数が一番高いものを採用すること。 ・失敗   「この都、北からはでれないからなぁ。北、ってことは無いんじゃねえか?」   (ケタケタと笑う) ・成功数1〜2   「昨日のこの大路ほど寂れてた所はねえよ、もし盗人がこっちにきてたとしても、    まぁ見てる奴はいないだろうしな、他の大路をあたった方がいいぜ」 ・成功数3   「城でモノを取られたのかい、おおかた盗賊の仕業じゃねえのかい?この大路に   (かきつばた)って店がある。そこの親父に聞いてみるといいぜ」 ・成功数4〜   「城でモノを取られたのかい、おおかた盗賊の仕業じゃねえのかい?だが、この    辺りの盗賊、モノを取って跡を残すような馬鹿はいねぇって話だ。手がかりを    探すなら悪いことはいわねぇ、専門家に聞きな。この大路の(かきつばた)っ    て店の親父に聞くといいんじゃねぇか?」 南大路、(かきつばた) 店の中はそれなりに賑わっている。身なりも柄の悪いごろつき風からごくごく普通の 町人までさまざま。のれんをくぐると店主らしき男が「いらっしゃい」と不愛想にい う。 「城での物盗り?ああ、話は聞いている。で、何のようだ?」 「袴田のモノによる可能性?直接動くほど馬鹿じゃないだろうよ。敵国のものを盗むに  しても、盗賊団か何かを雇うと思うぜ、ちがうかい?」 「この辺で動いている盗賊団?そうさなぁ、“阿修羅”“久遠”“四天王”・・・こん  なところだな」 (「シノビ装束か・・・それなら、まぁ“阿修羅”に間違いねぇと思うが。あそこは抜  け忍の集まり、って話だからな」) 「とりあえず、情報は仕入れて置いてやる。また、夕方頃くるといい。ただし・・・情  報料は奮発してもらうぜ」 再び城−正午− 「何か手がかりはあったか?」 次々に家臣が報告していくが、手がかりとなるような情報はない。 PCが盗賊団(かきつばたでの情報)のことを得ていなければ、 「それだけでは、足りない。それだけでは、動けないのだよ。頼む、頼りはお前達だけ  だ。先程の他の家臣達の報告・・・何のために調べているのか。もう一度、城下、城  内の探索を頼む」 PCが盗賊団(かきつばた)のことに関して情報を得ていて、話すのであれば、 「(どの盗賊団か)根城がどこか、早急に調べよ。こちらでも一応、調べておこう。根  城がわかり次第、即刻奪還に向かう」 再調査するのであれば、成功数を先程のものから−2する。 つまり、成功数4〜のものは成功数2〜という扱いにする。 また、与えるのが同じ情報になってしまった場合、基本的には+1のもの。 二度続けて、(かきつばた)の名がでてこない最高成功数のものになってしまった場 合は、(かきつばた)の情報を与える。 今度は正味6時間。1キャラにつき3回調査が可能。 再びかきつばた−夕刻− 「おお、まっていたぜ。盗んだやつ(“阿修羅”)の情報、きっちり仕入れて置いた。  まぁ、そこにかけな」 「おっと、他の客の皆さん。悪いが今日は店じまいだ。お城のお武家さんをもてなさな  いといけないんでね」 「盗んだ奴だが、まず“阿修羅”と見て間違いねぇ。根城は中郷って村だ。この都から  だと丁度、東大路の方にまっすぐの方向に2日足らずの所だ」 「何を盗まれたかしらねぇが、安いモノなら見過ごした方が良いんじゃねえか?あそこ  の頭目は腕の立つサムライって話だからな」 午後に初めてかきつばたの情報を得た場合 「最近、この辺で動いている盗賊団?“阿修羅”に間違いねえだろうよ」 「根城は中郷って村だ。この都からだと丁度、東大路の方にまっすぐの方向に2日足ら  ずの所だ」 「何を盗まれたかしらねぇが、安いモノなら見過ごした方が良いんじゃねえか?あそこ  の頭目は腕の立つサムライって話だからな」 この時点で情報0の場合、何か考えないとマズイなぁ・・・ 三たび城−夜− 「良くやった、何から何まで悪いが、早速出発してくれ。他の足軽100人ほどは明日  の朝、急ぎで出発させる。よろしくたのむぞ」  珠機構のある武器を持っている者にはその武器用の替え珠を渡してくれる。 第三幕「道中」 明日の昼前に小さな村を通る。入ったところ辺りでは閑散としたごく普通の農村とい う感じだが、村の中央に行くにしたがってだんだん騒がしくなってくる。 みると、 村の中央には人だかりができている。 「我は“阿修羅”天羅最強の盗賊集団なり。かなわぬとわかって、楯突こうとは・・・  愚かな奴だ。貴様には死よりも辛い苦を与えよう」 近づくと、声が聞こえる。人混みをかき分けて覗くというのであれば、一人の若い村 人がサムライらしき男に刀で斬りつけられている。 サムライの周りにはシノビ装束の3人の男。サムライ以外はそれぞれ、泣いている面 と怒っている面、微笑んでいる面をつけている。 刀傷はどれも、深くなく浅くなく。要は死なない程度に痛めつけている。 止めようとするならば、 「おや、もしや坂井のものか?こんな所で会うとは奇遇だな・・・私の居城で丁重にお 出迎えしようと思っていたのだが」 「貴様らの相手をするほど今は暇ではない。もっとも、今のままでも簡単に握りつぶす ことはできるが・・・。楽しみは後にとっておく主義なのでな」 「貴様らの恐怖に引きつった顔を見られるのを楽しみにしておくことにしよう」 そういって、逃げ去る。 若者は手当をしないといずれは死ぬような怪我を負っている。 治してあげるならば、お礼と一振りの刀(銘刀であるデータは後述)を差し出してく れる。 最終幕「中郷村」 村は完全に無人。すでに廃墟と化しつつある。村の中央に進んでいくと、このような 村には似使わないほど巨大な屋敷がある。 門の前には見張りが二人、PCの姿を見ると1人が奥へと入っていく。そして、もう 一人はPCの方へと近づいてくる。 隠れて様子をうかがうというのであれば全員が、隠身<敏捷>判定。難易度は5。一 人でも失敗した者がいれば、上の行動は実行される。 「(隠れても無駄だ)、奥で頭がお待ちだ。おとなしく、ついてくるんだな」 「帯刀はしていてかまわないそうだ」 5分くらい歩くとある部屋へと通される。かなり広いその部屋には、仮面をつけた3 人と門番の二人だけ。 「よく来たな、まぁ座るといい」 声だけが響く。声の出所がわからずにきょろきょろするなら、 「どこを見ている、貴様らの正面だ」 正面にはヨロイが鎮座している。 「これから、ゲームをしようではないか。この明鏡、そして生と死をかけたゲームをな。  お前らが勝てば、平和を乱す者はいなくなり、この明鏡も取り戻すことができる。私  たちが勝てば・・・まぁ、ありえん話だ。いくぞ!!」 紫苑(ヨロイ)のデータはNPCシート参照。 阿修羅衆×3、盗賊×2のデータは後述。 紫苑の活力が5を割った時点で、死亡にダメージをいれる。 死亡のダメージが入った瞬間に下の文章を読み、ヨロイが修羅化。 「どうやら見くびりすぎていたようだ、だが、一人くらいは冥土への旅の道連れに・・・  なんだ?なぜ動かない、なぜだ?お前は何者だ?やめろ、寄るな、俺様に寄るなぁ・・・」  だんだん声が小さくなり、やがて消える。しばらくはヨロイは動かない、が静かに動  き出す。 紫苑の活力が0になる。もしくは5ラウンド経過で戦闘終了。 その後、以下の文を読みセッション終了 「君たちはかろうじて明鏡を取り戻した。 払った代償もほとんど無かった・・・ 君たちが得たモノ、それは何だったのだろう? 修羅化したヨロイ、消えゆく魂。 神宮家が与える明鏡というモノは一体何なのだろうか? とりあえず、今は城へと戻るのみである」                           <終了> 敵データ 阿修羅衆 能力値:6 活力:12 負傷ゲージ:6/3/・/・(ダイス修正は無し) 判定値:中級(白兵戦闘に限る) 武器修正  珠刀:+3 射率:2 装填数:6 盗賊 能力値:5 活力:10 判定値:初級 武器修正 刀:+2 武器データ 逆刃刀「地刃」 価値:推定1千両 武器修正  逆刃:+2 射率:− 装填数:− 白兵戦闘(受動)の成功数に+1 刃 :+6 射率:− 装填数:− 白兵戦闘(能動)の成功数に−2  その他:刃の向きを変えるのには1ラウンド必要。その際の防御行動に白兵戦闘を  使うことはできない。 <背景>   諏深国に住む刀鍛冶、渚の作品です。殺人のための刀としてでなく、護身のため   の刀として作られているため、刃のついている方で相手を斬りつける、という行   動は非常にとりづらくなっています。   渚の作品は基本的に飾り立てず、美術的価値はさほど高くないのですが、彼女が   滅多に刀を打たないと言うことも影響してか、高額で取り引きされる傾向にある   ようです。
「作者の戯言みたいなもの」 シナリオ「明鏡」いかがでしたか?作風を変えて、初めて調査形のシナリオというモ ノを作ってみたのですが・・・テストプレイ後にこの戯言も変更されることでしょう(笑) ではでは・・・短いですが。失礼いたします。

 

 

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Written by kazuha kitouin