TRPGってなあに?



 テーブルトークロールプレイイングゲーム
(Table Talk Role Playing Game:TRPG)
 とはどんなゲームか?




まず初めにはっきりとさせたいことは TRPG とはカードゲーム(トランプやuno等)、
やボードゲーム(大雑把な分類でいけば、人生ゲーム、モノポリー、麻雀、チェス等
々)と同じように、固有のゲームのことを差す言葉ではなくゲームの、ある1ジャン
ルを差す言葉だということです。


では TRPG とはどういったゲームのことを差す言葉なのか例を交えて説明していきま
しょう。

まず、次の状況を思い浮かべてみて下さい。
「あなたは、今、薄暗くて、前と後ろにしか進めないような場所、にいます」

そして、次の問いかけにどういう事を思い浮かべますか?
「あなたはこれからどうしますか?」

おそらくほとんどの方は戸惑ったでしょう。何故なら、今の説明だけでは何が何だか
さっぱり分からないからです。そして、何かを思い浮かべられた方は、きっと自分を
ある環境にいると想像力を働かせているはずです。
それは、洞窟の中であったり、地下街の中であったり、下水道の中であったり...


それでは、もう少し説明を付け加えてみましょう。
「あなたは、今、昼でも陽があまり射さない、鬱蒼とした森の中にいます、あたりは
 薄暗く、また左右にも木々が茂り、道は前後にしか延びていません」

そして、同じ問いかけです。
「あなたはこれからどうしますか?」

先ほどの説明からはある程度得られる情報が明確になりました。それでも疑問は残る
はずです。自分は何故この場所にいるのか?何をしようとしていたのか?


それでは、さらに説明を付け加えてみましょう。
場所の説明は先程と同じです。
「あなたは、お母さんから、頼まれ物をして、これからおばあちゃんの所へ、お見舞
 いを持っていこうとしている、女の子、です。」

そして、また同じ問いかけです。
「あなたはこれからどうしますか?」

ここまで説明を聞けば大概の方は何か行動を始めるはずです。おそらくほとんどの方
はおばあちゃんの所へお見舞いを持っていこうとするでしょう。それでも、疑問は残
るでしょう。今の時間は?何故この場面でそんなことを聞くのか。


さて、ここであなたの現在置かれている状況に変化を付けてみます。
「そして、今あなたは、この薄暗い森の中で、道に迷っている最中です。前の道も後
 ろの道も同じ様にしか見えません。少なくとも日が暮れるまでには、おばあちゃん
 のお家に、たどり着かなければ、危険でしょう。森の中には恐いオオカミやクマが
 住んでいる、のですから」

だいぶ今の状況が分かってきました。そして何をすべきかも。それでも疑問を持つ方
はいるでしょう。女の子は何歳ぐらいの子なのか、また、オオカミやクマに出会った
としたらどの位の早さで走って逃げることが出来るのか、そして方向を知る術を持っ
て(知って)いるのかと。
(いままでの例ではある一場面を切り取って説明してみました。本来はこうしたやり
 とりをどんどん積み重ねていきます)


 TRPG では自分の受け持つ役割や状況を明確に数値化しています。

行動しようとしたことが必ずしも成功するとは限りません、こうした試みにはある一
定の基準が設けられていて「成功する確率」が与えられます。そしてそれを「サイコ
ロ(ダイスと呼ぶこともあります)」でうまくいったかどうか判定するわけです。
(例えば、クマに出会った場合、この女の子は逃げようとするならば 30%の確率で走
 って逃げることが出来るといったようなことです) 

どの位の重さまで物を持てるのか
どの位の早さで走れるのか
どの位手先は器用なのか
どの位頭が良いのか
どの位病気に対して体は丈夫なのか
どの位の顔(魅力)なのだろうか

こうした肉体的な特徴以外にも
どういった知識を身につけているのか
どういった技術・技能を身につけているのか
といった教養関係のことから

月々どの位お金を稼いでいるのか
どの位の学歴を持っているのか
今現在どんな物を所持しているのか
という事まで、これは選んだ TRPG によって(通常は「システム」といいます)決め
られることは様々です。

そして、そのシステムではどういった世界を再現しているのか、ファンタジー世界で
あったり、SFの世界であったり、ホラーを扱った世界であったり、今とそう変わり
のない現代であったり、これも様々です。
また、他のゲームと大きく違う点が競い合ったり、戦うわけでもないのにゲームを遊
ぶ人間が二種類(もしくは二手)に分かれるということです。ちょっと考えれば分か
りますよね?先ほどの説明の中で「状況を説明し質問した側の人間」と、「説明を聞
き自分の受け持つ役割においてどう行動するかを判断した側の人間」です。

一般的に TRPG の中では前者を「ゲームマスター」、後者を「プレイヤー」と呼び、
区別しています。


 TRPG とは、こうした明確に「数値化」された「役割」(一般的には「キャラクター」
と呼びます)を受け持ち、場面場面での自分の受け持つ役割による「意志決定」を積
み重ねて行き、最終的に「ゲームマスター」が設定した「目的を達成する」までを楽
しむゲームです。その中では他のゲームのように単純に他者と競い合ったり戦うとい
った行為は存在していません。そうした行動さえも受け持った役割の意志決定(この
場合は戦い競う理由)に因っているのです。他のボードゲームのように戦い競わねば
ならない状況が必ずしも与えられているわけではないということです。ここら辺も他
のゲームと違う点でしょう。

通常、「プレイヤー」となる人間は複数です。そして各「プレイヤー」の「キャラク
ター」同士が時には競い合い、時には協力しあって「目的」に向かっていきます。
ここで言う「キャラクター」の「意志決定」とは必ずしもその場面、状況において最
善手を選ぶものではないということです。「このキャラクターならば、ここではこう
するはずだ」とか「普通ならここで、このキャラクターは関わることは出来ないがこ
うすれば関われるはずだ」といったようなものが「意志決定」に関わってきます。


ここまでの話を聞いて TRPG という物に思い当たる物はありませんか?
会社の新人研修などで、ある人が会社の接待をする人間になり、ある人が会社に訪れ
たお客様になる、そしてそのお客様に窓口で受付をする受付係の人がいる、これを各
自に割り当ててお客様に対する応対の仕方を勉強したり、おもちゃの電話を渡されて
お客様からの電話への出方、応対の仕方を勉強したり...
これは、「役割」をその会社の社員に限定し、「意志決定」をお客様に応対するとい
うことに限定し、「達成されるべき目的」をお客様に不快感を与えないように応対す
るということに限定した TRPG と言えるでしょう。そして、さらに最終的な「ゲーム
マスターの目的」として応対マナーを「プレイヤー」に身につけてもらうということ
が設定されています(普通 TRPG ではこうした「目指すべき目的」は「プレイヤー」
にではなく「キャラクター」に課せられます)。


今までの説明で充分な説明がなされたとは思っていません。興味を持たれた方ならば
実際に仲間を集めてプレイしてみることをおすすめいたします。そこから得られる情
報の方が遙かに密度は濃い物になりますから。
 TRPG には無限の、際限なく楽しめる可能性が秘められています。

私からの説明はここまでです。
少しでも TRPG を身近に感じていただき、興味を持っていただけることを祈っていま
す。

 

 

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Written by ragou