TRPGを実際にプレイするためには?




さて、「TRPGってなあに?」で解説を読み、興味を持たれた方ならばこの文章も読
んでいることでしょう。「実際に仲間を集めてプレイしてみることをおすすめいたしま
す。そこから得られる情報の方が遙かに密度は濃い物になりますから」と言った以上実
際にプレイするために必要な準備について書いていきたいと思います。

どんなもの(こと)を準備すればよいのか?
たいていの TRPG 未経験者向けの雑誌記事、本などでは
「紙と鉛筆とサイコロと一緒に遊んでくれる仲間がいれば良い」
と謳っているものが多いのですが、なぜ必要なのかきちんと説明している文章は意外と
少ないものです。
それだけでは不十分だと感じたので、私からもう少し付け加えていこうと思います。


「メモ用紙」
ゲームマスターが与えてくれる情報を書き留めておくのに必要です。
よく「パーティメンバーの内、誰か一人がメモっておけば良いんだ」などと言われる方
がいらっしゃいます。しかし、出来る限り個人でメモをとった方が良いと思います。
パーティ全体に提示された情報でも、もし誰か一人にメモを頼っていて、その人が情報
を聞き逃した場合はそれだけパーティが不利になる可能性があります。
もし各人でメモを取るのが面倒ならば、誰かがメモしながら全員で情報をチェックする
といった方法を採るのも良いでしょう。
しかし、ゲーム中では各個人に向けて情報が提示されることもあります。そういう点を
考えると、やはり自分でメモを取るようにした方が良いと思います。その方が自分自身
で話全体を把握することができ、より楽しむことが出来ます。
ゲームマスターの話を聞き逃すと言うことは、それだけパーティを不利な状況に追い込
んでいると思った方が良いでしょう。
後からの「そんな話、聞いてなかった」は、目的が達成できなかった時の言い訳にはな
りません。

もちろんメモ用紙を用意しなくてもキャラクターシート(後述)の裏など、メモが出来
るところはいくらでもあります。


「筆記用具」
自分の役割(キャラクター)を数値化した後、その数値を記録したり(通常はキャラク
ターシートと呼ばれる記録用紙に記録しておきます)ゲームマスターからの情報をメモ
用紙にメモしたりするのに必要です。
キャラクターシートに記録されている数値は、例えば何かと戦って怪我をしたときなど
に変わることがあります。そのためにも筆記用具(書いたり消したりするので鉛筆また
はシャープペンシル、消しゴムなど)は必要です。
また、大概のキャラクターシートには自分のキャラクターのイメージイラストを描くス
ペースが設けられています。絵心のある人は書いてみたくなるでしょう。
このスペースはイラストを描くのも自由ですし、先述したメモ用紙の代わりに使うのも
自由です。

中には「筆記用具くらい誰かが持っているし、ペンの一本くらい迷惑じゃないだろう」
と言う方もいるかもしれません。しかし、筆記用具も出来る限り自分で用意した方が良
いと思います。
「迷惑じゃないだろう」と思っているのは自分だけで、他人に迷惑をかけている場合も
あり得るからです。


「サイコロ(ダイス)(必要な数、種類)」
サイコロには、おおよそ4面体、6面体、8面体、10面体、12面体、20面体、
30面体、100面体などの種類があります。
サイコロに関しては、遊ぼうとしている TRPG システムで必要とされている種類のサイ
コロ、そして必要数をなるべく用意しましょう(システムによっては明確に記されてい
ないモノもありますが)。
ながく TRPG をやっている人などでは、かなりの数や種類のサイコロを持っていること
もあります。そのため始めたばかりの方が、サイコロを借りることは可能な場合が多い
です。
しかし、これは私見になりますが、人から借りたサイコロであまりいい結果がでないと
何か釈然としないものです。
自分のサイコロを使った方が気分的にも割り切れるのではないでしょうか?

余談になりますが、皆さんは正多面体という言葉を知っていますか?
正多面体とは「4つ以上の合同な正多角形によって囲まれ、どの頂点に集まる面の数も
等しい、へこみの無い多面体」(三省堂「新明解国語辞典第5版」より)です。
そして、正多面体と呼ばれるものは「正4面体、正6面体、正8面体、正12面体、
正20面体」しか存在しません。
これがどういうことかと言うと、この5種類のサイコロ以外は立体的に安定な形を取っ
ている訳ではない、と言うことです。
おそらく、他のサイコロも確率的にどの面も均一に出る様に工夫されているとは思いま
すが、私は結構気にしていて、例えば 00〜99 までの確率を表すために通常10面体の
サイコロを2つ使いますが(片方を10の位、もう片方を1の位として用います)、私
は20面体のサイコロを2つ用いて10の位の目を1の位の目に読み替えて使ったりし
ています(つまり11なら1といったようにです)。
ちょっとしたこだわりですね。


「一緒にプレイしてくれる人」
自分の周りの人で一緒に興味を示してくれた人や、前から TRPG をやっている知り合い
がいる方は、その人たちに声をかければすぐにでも遊ぶメンバーは揃います。
しかし、そううまくメンバーが揃えられない方がいるというのも事実です。
「せっかく興味を持ったけど、周りに一緒に遊んでくれる人がいないや」と言って TRPG 
を遊ぶきっかけが持てない潜在的な TRPG ゲーマーはかなりいるのではないでしょうか?
そういう人たちはどうすれば良いのか?

今のところ有効な手段としては

1.周りの人間に積極的に誘いをかけてみる。

自分の知り合いの中で興味を持ってくれそうな人に話を持ちかけてみる。または、自分が
「 TRPG はとっても面白い遊びなんだ」と言うことに自信を持っているのなら「一度でも
良いから付き合ってみてよ」といった風に誘って一緒の趣味にしてしまうと言うのも良い
かもしれません。
少し遊んでみれば分かると思いますが、様々のものを TRPG と言う趣味に結びつけること
が出来ます。
言ってみれば自分の人生経験が全て生かせると言っても過言ではないような気がします。

2.手頃な TRPG を取り扱った雑誌に載っている TRPG サークル、コンベンションに連絡を
 取り、参加してみる。

コンベンションというのはサークルのような固定メンバー(ゲストを歓迎しているサーク
ルもあります)で遊ぶところではなく TRPG を遊びたい不特定多数の人が集まります。
その日何を遊ぶのか、などはコンベンションを運営している方や、当日ゲームマスターと
して参加する人が決める事が多いです。
初めて遊んでみようという方には参加しづらいものがあると思います。まずは自分を受け
入れてくれるサークルを捜した方が良いように思われます。

3.インターネット上の TRPG を取り扱ったHPをまわってみて TRPG を教えてくれる、あ
 るいは一緒にこれから遊ぼうという知り合いを作る。

4.インターネットなどで行われているオンラインセッションに参加してみる。

 TRPG を遊ぶことをよく「セッションを開く」というような言い方をします。
3.4.に関しては1.2.の様な現実世界での行動をインターネット上に移しただけですね。

と言ったところが挙げられるのではないでしょうか?
他にもこんな方法があるということを知っている方がいましたら私にも教えて下さい。


さて、よく雑誌や本に書かれているものを揃える理由は分かりました。本当にこれだけで
良いのでしょうか?私はもう少し付け加えておいた方が良いのではないかと思っています。
何を付け加えるかというと...


「 TRPG システムのルールブック」
初めて遊ぶ場合、知り合いのゲームマスターをしてくれる人がいる場合ならばすぐに買
う必要はないでしょう。ただし、もし少し遊んでみてその TRPG システムを気に入って、
なおかつしばらく遊べるような環境を手に入れることが出来たなら買うことをおすすめ
いたします。
何故か?
 TRPG のルールブックに一度でも目を通してもらえれば分かると思いますが、一つの 
TRPG を取ってもかなりいろいろなルールが載っています。そしてルールを知れば知るほ
ど、そのシステムで遊ぶ場合においての「優れた意志決定」を助けることになります。
目的を達成できなかった時に「そのルールを知っていたらそうしていたのに」というの
は初めて遊ぶ人ならまだしも、少し馴れた方ならば苦しい言い訳にしかなりません
TRPG に限ったことではありませんが「たら、れば」は言い訳にしかなり得ないのです。
まず、自分でその TRPG システムのルールを理解しようとすることが大切です。そうす
ることによってより一層 TRPG を楽しむことが出来ると思います。


「常識、あるいは良識」
暗黙の了解とでも言うのでしょうか?
結構この話題に触れられている記事を目にしたことがないのですが、そういう方たちの
文章ではこういうことは「当たり前」の事なのでしょう。ただし、実際にはそれほど当
たり前と受け取られていない場合もあるということもあるようです。
ここで事細かに「こういう時はこうした方が良い」と書き出すことは出来ません。そう
いう事例を書き出したらきりがないからです。

2点だけ心がけた方が良いと思われることを書いておきます。

1.相手を不愉快にさせる発言は控える。
  結構難しいのです。役割(キャラクター)の人間関係上どうしても仲違いするようなキ
  ャラクター同士のやりとりを行わなければならないときもあるでしょう。それを現実世
  界の人間関係にまで発展させるような不用意な発言はしないように気をつけるべきです
  。また、初対面の人と遊ぶときなども、まずは丁寧語を使った方が無難です。

2.セッション中は常に周りに気を配る。
 これは 1. とかなりの部分で重複しています。
 貴方は TRPG を楽しんでいますか?
 もし、楽しいと答えられる方。
  常に「自分だけ」楽しんでいないか注意していますか?
 そしてあまり楽しくないと答えた方。
  自分から積極的に楽しもうと努力していますか?
 やはり、参加している全員が楽しもうと努力する事は必要だと思います。口下手な人も
 いるでしょう。でも遊ぶからには参加する努力を、周りは取り込む努力を怠ってはいけ
 ないと思います。


「遊ぶための場所」
これは雑誌記事や本に書かれていることが多々あります。
通常 TRPG のセッションを開くために、ゲームマスター1人、プレイヤー3〜4人、結果
として最低でも4〜5人位の人間が無理なく収まるスペースが必要になってきます。
この人数より多くなる場合、少なくなる場合というケースもありますが、一般的な人数で
言えば4〜5人と考えてもらって間違いはないでしょう。
そして4〜5人の人数が無理なく収まるには、あまり物を置いてない4畳半から6畳間く
らいの広さがあればいいのですが、どうでしょうか?このスペースを確保できない方も結
構いると思います。

では、どうすればよいのか?

自分の住んでいる所の公共施設を利用するという手があります。
私が住んでいる所の場合、一日 13:00〜21:30 まで使用して20〜30人くらい入れる会議室
(集会所)が1500円くらいです。施設の使用料金は場所によって様々ですが、使わない手
はないと思います。
これらの施設は他の人の迷惑を考えたときも、そして料金的にも優れているからです。
しかし、何も聞かれずにお金だけ払えば使用できるか?というと、そうでもありません。
大概の場合は利用申し込みをするときに使用目的を聞かれる所がほとんどです。
中には「ゲーム」と聞いただけで嫌な顔をしたり利用許諾を渋るところもあります。
しかし、大前提として
「不特定多数が利用するわけではないこと(何かのイベントと間違われないようにするためです)」
「営利目的ではないこと」
「周囲に迷惑が決してかからない」
と言うようなことを述べて、丁寧に説明すれば理解を示してくれると思います(ただ、中
には本当に「ゲーム」と言うだけで申し込みを拒否する施設もあるようです)。
この方法にもいくつか難題が立ちふさがります。
それは、こうした公共施設の場合、利用申込受付時間が平日に限られると言うことです。
これは社会人の方にはかなり厳しい条件です。また、社会人でなくとも、先着順のため申
込日初日に並ばなければならない可能性がある、と言う点も大変です。
こうしたいろいろなことを考えるに自分の家でセッションを開けるのはかなり恵まれた環
境なんだなぁと思って下さい。
たまに、「ファミリーレストランやカラオケボックスで遊べばいいのでは?」と言った意
見を耳にしますがよく思い出して下さい。この項の前で述べた「常識、あるいは良識」を
持つと言うことを。それらの行為が常識的な行動かどうか常に念頭に置いて下さい。
TRPGを趣味にしている人間が世間一般からどんな風に見られるかはTRPGを遊んで
いる人、これから遊ぼうとしている人、一人一人の行動にかかっているのです。わざわざ
自らTRPGを傍迷惑な趣味に貶めることもないのではと思います。


この辺りまで読み進めてもらえれば、
何を用意すべきか?
何に注意すべきか?
を分かってもらえたのではないかと思います。
あとは今読んできた中で、自分に足りないもの(人それぞれなので一概には言えませんが)
を補うだけです。

 

 

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Written by ragou