TRPGのルールを読んでみよう




さて、現時点では TRPG を初めて遊んでみようと思っている方は、ゲームマスターより
もプレイヤーをやることの方が多いのでは、という見地に立って書いています。

今回は、前回までの「TRPG雑想ノート」を読んだ上で TRPG のルールブックを手に
入れた場合と仮定して、「買ったら次は、どうすれば良いのか」を書いていこうと思い
ます。

手元にあるルールブックを見て下さい。
おそらくどんなルールブックでも、数百ページはあると思います。
ここで、「この本に書かれていることを、すべて熟知しなければ TRPG は遊べないんだ
ろうか?」と不安になる方もいるのではないでしょうか?
そして、「 TRPG は難しいゲームなのではないか?」と思われましたか?

そんなことはありません。

確かに、一般的なパーティゲームやシミュレーションゲームに比べるとルールブックの
厚さだけは、ほかのゲームとは比較にならないくらい厚かったりします。
また「TRPGを実際にプレイするためには?」でも述べているように、ルールを知れ
ば知るほど、より深く TRPG を楽しむことができるようになる、とも言いました。

ですが、だからと言って初めから全てのルールを知っている必要はありません。
全てのルールを知っているのに越したことはありませんが、物事には必要最低限という
考え方もあります。
 TRPG は全てのルールを知っていなくても、一部分のルールを知っているだけでも、充
分に遊ぶ事ができるのです。

では実際にルールブックはどういう風に読んでいけば良いのか、ルールはどの順で覚え
ていけば良いのかを、私なりにベターと思える方法(決してベストではありません)で
述べていきましょう。

まず、ルールブックを読み始める前に、次の物を用意して下さい。
・買ってきた TRPG のルールブック
・筆記用具
・必要なだけのサイコロ(ダイス)
・キャラクターシートのコピー

どこでどう揃えたらいいのか分からない方は、「 TRPG を買いに行こう!」をもう一度
読んでみて下さい。
それでも分からない方は、 TRPG を知っている知り合いに聞くか、私にメールを下され
ばもう少し詳しく教えることもできるかと思います。

ここで、「なぜキャラクターシートを用意するんだろう?」
とか、「なぜサイコロを用意するんだろう?」
と思われた方のために説明しておきますと、

キャラクターシートは、視覚的に TRPG システムの特徴を捉えるために、用意してもら
いました。
そしてサイコロ(ダイス)は、今度は実際に手を動かして、体感的にゲームの雰囲気を
掴むために用意してもらっています。

中には、判定にサイコロ(ダイス)を使わないようなシステムもありますので、その場
合はキャラクターシートがあれば良いでしょう。

それでは、ルールブックを読んでいきましょう。

とは言ったものの、その前にまず目次に目を通して下さい。
ルールブックに書かれていることを大雑把に分解していくと、およそ次のような構成に
なるのではないかと思います(順番はシステムによって変わります)。

プレイヤーセクション

・ゲームの舞台となる世界の解説
 世界の創世神話
 歴史
 現在の地誌、動物誌
 貨幣の概念、流通している商品
             etc.

・自分の受け持つ役割、キャラクターメイキング
 ・キャラクターの持つ肉体的、精神的な能力値の解説
 キャラクターのクラス(職業)という概念があれば
 ・各クラス(職業)の解説
 技能という概念があれば
 ・各技能の解説
 ・装備品のリスト及び買い物の仕方

・一般的な技能を用いた判定の仕方

 戦闘がある TRPG ならば
・戦闘の行い方

・一般的ではない技能の解説
 ファンタジー世界ならば、
  魔法使いが魔法を使うとき
  盗賊が仕事をするとき
             etc.

・そのシステムを特徴付けている特別なルール

経験点によるキャラクターの成長があるのならば
・キャラクターの成長のさせ方

ゲームマスターセクション

深い世界観を持っているのならば
・一般的には知られていない世界の事実

・特殊な状況での一般技能の用い方

・特殊な状況での一般的ではない技能の用い方

戦闘がある TRPG ならば
・特殊な状況での戦闘の行い方
 ・キャラクターと戦わせる、敵や怪物のデータ

・様々な選択ルール

基本的なものを抽出して書き出せばこんなものでしょう。


まず初めに、背景世界の説明にざっと目を通します。
ここに目を通すのは、プレイヤーキャラクターがどんな立場の人間か(なにをなすべき
なのか)、クラス(職業)ごとの社会的地位(社会的に認められた立場なのかそうでは
ないのか)といったキャラクターをイメージする上で、必要な基本情報を読みとるため
です。
一般的にキャラクターメイキングは、サイコロを使って各数値を決めていくのでランダ
ムな部分が多いのですが、中には自分の思ったとおりに(あくまでルールの制限の中で
ですが)、キャラクターを作ることのできるシステムもあり、そういったシステムでキ
ャラクターを作る上では重要でしょう。


キャラクターに関する世界観が理解できたら、実際にキャラクターメイキングをしてみ
ましょう。
キャラクターメイキングといっても実際のところはルールに従ってキャラクターシート
の空欄を埋めて行くだけです。

まずは各能力値を決めていきましょう。
そして、能力値が決まったら各能力値がどんな意味を持つものなのか、じっくり能力値
の解説を読んでみます。

例えば、
筋力が高ければ力仕事に向いている人間、
器用度が高ければ細かい作業をするのに向いている人間、
といった具合です。

決まった能力値の傾向と見比べて下さい。
そうすることによって、このキャラクターはどんな職業に向いていて、どんな技能でそ
の能力を最大に発揮できるかが見えてくるはずです。

一般的には、決定した能力値の傾向に沿ったクラス(職業)、技能を選択するのが一番
遊びやすいのです。
中には、のろまな盗賊、魔法が下手な魔法使いといった、あえて短所を職業にする方も
いますが、そういった遊び方はもう少し慣れてきてから挑戦しても遅くはないでしょう。
また、キャラクターの個性の付け方として「この盗賊は、鍵開けは得意だが、聞き耳は
苦手」といった個性の強調ができるシステムもあります。

ですがこうしたことは慣れないうちからやると、他の方に迷惑をかけるばかりか、自分
も楽しめないことの方が多いので、初めのうちは避けた方がいいと思います。

そうして、能力値からある程度の傾向が見えてきたら、職業について解説してある部分
をざっと見て、自分のキャラクターに合った職業は何なのかを考えます。
自分のキャラクターに合った職業が決まったら、その決まった職業の解説のところをじ
っくりと読んでみます。

ここで、またいくつかの数値がキャラクターシートに書き込まれることもあります。

次に、そのキャラクターの職業や能力値が生かせる技能はどれなのかを知るために、技
能を解説している部分をざっと目を通します。
その技能ではどんな能力値が要求されているのか、自分のクラス(職業)でどんな風に
生きてくるのか、といったことから取るべき技能の目安が付いたら技能の解説をじっく
り読みます。
クラス(職業)によっては特別な技能(魔法技能とかです)を持つことが許されること
もあるので、その部分もじっくり読みます。

あとは、初めの所持金が決定していれば、そのキャラクターにふさわしい物を買い物す
ればほぼ完成でしょう。

まだキャラクターシートの埋まっていない部分も、買ってきたルールブックに書かれて
いることに従えばほどなく埋まるはずです。

システムによっては、能力値と技能が密接に結びついていて、キャラクターメイキング
自体が難解で手間のかかるシステムもあります。

そんな時はどうすればよいか?

おそらくサンプルキャラクターとして、いくつかの例が示されているはずです。
そうしたサンプルキャラクターのデータを元にして、自分のイメージしたキャラクター
にデータを少しずつ変えていくとキャラクターメイキングがかなり楽に出来ます。
最初から全部を決めていくのは慣れてからでも良いでしょう。
今はとにかくルールの流れを把握することに集中して下さい。

キャラクターシートが全て埋まったら、実際に自分のキャラクターが技能の判定や戦闘
を行う時は、といった感じでルールブックを読んでいけば、そして実際にサイコロを振
ったりしてみれば、かなり理解しやすいと思います。
特に技能判定でのサイコロの基本的な用い方は、しっかり覚えておく必要があります。
サイコロの用い方はそのシステムの中では、基本的にどんなことをする場合でも同じ処
理をする場合が多いからです。

また、そのシステムに特徴的なルールも完全に理解できなくても、目を通して出てくる
単語の意味くらいは覚えるようにしておきましょう。
そうすれば、ゲームマスターから説明してもらったときの理解も早まりますし、ゲーム
マスターも単語の説明までしなくて済むので説明がスムーズになります。

ここまでで、プレイヤーが読むべき事のほとんどは済んでしまっています。

特殊な状況で、技能判定や戦闘行為に修正を加えるのはゲームマスターのするべき事で
すし、敵のデータなんかも読む必要はないでしょう。
敵の強い弱いなどの情報は実際に戦ってみて肌で感じるものです(なかには圧倒的に強
い存在しか出てこないシステムもあるのですが、ここでは一般的な話として話していま
す)。

ゲームをするに望んで、ここら辺までをプレイヤーが理解しているとゲームマスターに
かかる負担はかなり軽くなります。

「まだ、読んでないルールがたくさんあって不安だなぁ」
と思われる方もいると思います。

ですが、ルールの構成を書き出したところをもう一度見てみて下さい。
「〜であれば」とか「〜ならば」といった書き方をしている部分がありますね?
そして、実際のルールブックでもそういった書き方をされているルールがあります。

これらのような、「場合分けのルール」はそのような状況にならない限り適用されるこ
とはまずありません。
ですからそういった状況になって初めてゲームマスターから教えてもらっても、問題は
ないわけです。
もちろん知っていれば、それに応じた適切な対応を取ることができたり、未然に最悪の
事態を回避することができたりします。
そうした対応は、あくまでキャラクターが対処の仕方を知っていたり、事前に起こるべ
き事を予測できた場合においてのことです。

また、ゲームマスターが読むべきルールもプレイヤーで遊ぶのであれば読む必要はあり
ませんね。
選択ルールも、ゲームマスターが使うと言わなければ読む必要はないでしょう。
逆説的な言い方をすればゲームマスターをやる場合は、そういったルールも含めて熟知
する必要があるわけです。

プレイヤーとして遊ぶのならば、あとは TRPG を遊んでいる最中に適宜必要なページを
開いて、その部分を読むだけで大丈夫です、遊ぶことができます。

中には、サイバーパンク物のように自分の体を改造するなんていうことができるシステ
ムもありますが、混乱する前にじっくり見て下さい。
このパーツを体に埋め込むと、この能力値が(もしくはこの技能が)修正を加えられて
変わるだけだと。
結局のところ、能力値や技能に修正が付くアイテムを購入しているのに過ぎません。そ
してその制限が、体には「〜までしか」埋め込むことができない、といった表現に置き
換えられているだけです。
普通ならば、持てる範囲までしかアイテムは持つことができないと言っているのと何ら
変わりません。
こうして自分に理解しやすいようにルールを置き換えていくと理解はいっそう早まりま
す。

後はゲームマスターをしてくれる人を呼んで遊ぶだけです。


 

 

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Written by ragou