TRPGのプレイに望んで気をつけること




この雑想ノートもとうとう五回目の連載となりました。
みなさんもシステムを手に入れ、必要な周辺アクセサリーも揃え、さぁやってみようと
思い始めていることでしょう。

今回は私が今まで見聞きしてきたことの中から、TRPGをプレイヤーとして遊ぶ場合
どんなことに気をつければ楽しく遊べるかを箇条書き形式で書いてみようと思います。

いくつかのことはプレイヤーではなく、TRPGを遊ぶ上で必要なことも含まれている
と思いますし、「TRPGを実際にプレイするためには?」の「常識、あるいは良識」
も、もちろん踏まえた上でのお話になります。

・約束の時間に遅刻をしない
 くどくどとは書きませんが、何事に際しても大切なことだと思います。

・体調が悪い、気分が悪い時には無理をして遊ばない
 TRPGがどんなものか理解すれば分かることですが、TRPGはほっといても漫然
 と勝手に物事が進むゲームではありません。時には頭も使いますし、会話も煩雑に行
 われるでしょう。そんな中で具合の悪そうな顔をしている、ゲームに積極的に参加し
 ない、という行動を取る人がいたら...
 場の雰囲気がまずくなるのは当然ですね?
 当たり前のことですがTRPGは無理して遊ばなければならないものではありません。
 具合が悪ければ辞退するということも必要でしょう。
 一番前向きな対処法は、約束をしたときはきちんと遊べるように体調管理に気を配る
 と言うことなのですが(これは肉体面、精神面のどちらにも言えることです)...
 案外と難しいようです。

・遊ぼうとするシステムの目指すものを把握する
 使用するシステムによって、TRPGはいろいろな遊び方が存在します。
 ヒーロー、英雄的な行動を楽しむものがあれば、リアリティのある別の人格を演じる
 ことを楽しむものがあり...
 また、こうした単純な方向性以外にも、その世界、舞台でプレイヤーキャラクターが
 しなければならないことが決まっていたりするシステムもあります。

 そうした、システムの目指すべき方向性は、是非遊ぶ前に把握しておきたいものです。
 この把握を曖昧なものにしておくと、プレイヤーキャラクターがプレイ中に(そのシ
 ステムでは)イレギュラーな行動を取りかねないと言うことです。

 例えば...

 ・「クトゥルフの呼び声」でクトゥルフに対してショットガンをぶっ放す。
 ・「メガトラベラー」で危険を顧みず戦闘行為を好んで取る。
 ・「熱血専用」でヒーロー、ヒロインが平気で卑劣な行為を取る。
 ・「アースドーン」でホラーを目の前にして逃げ腰になる。

 などなど、例は挙げようと思えばいくらでも挙げることができます。
 こうした行為は、「このキャラクターはこういう性格だから」と言ってしまえば理由
 付けはできますが、周りを納得させるに足る理由でなければ周りの人たちが興醒めし
 てしまうでしょう。
 場の雰囲気を壊しかねません。
 システムの目指すところを理解することは大切なことです。

・自分のキャラクターのイメージをしっかり持つ
 自分のキャラクターのイメージというのは、「〜という格好の戦士」とか「〜という
 性格の〜」といった自分から決定する能動的なイメージのことだけを言っているので
 はありません。
 おそらくほとんどのシステムではサイコロなどのランダム性(偶然性)で能力値など
 が決まってきます。

  システムによってはそうしたことも含めて、完全に自分の思ったように(ルールの
  制限内でですが)キャラクターを作れるシステムもあります。
  (例:ガープスなどがそうでしょう、イメージと言った意味ではトーキョーNOV
   Aなども例として挙げられるかもしれません)
 
 そうした能力値からそのキャラクターの肉体的特徴を把握したり、といった受動的な
 視点からキャラクターをイメージする事も大切です。
 「戦士」と一言で言っても、「力」の強い戦士もいれば、「敏捷性」が高い俊敏な戦
 士もいます。
 また、怪我に対する耐性の高い戦士ならば、怪我をすることも恐れず前に出ていく戦
 士なのかもしれません。
 怪我に対する耐性が低く、敏捷性の高い戦士ならば、相手の攻撃を受けないように、
 攻撃を避けるために軽い装備になっているかもしれません。
 さらに、怪我に対する耐性の低い戦士ならば、本来ならば戦士となるべき素養を持っ
 ていなかったにもかかわらず、何らかの理由で戦士にならなければならなかったのか
 もしれないと、どんどんイメージが膨らんでいきます。
 こうした、能力値から推測される身体的特徴を反映させたりしてみると、そのキャラ
 クターの存在感に厚みを増すことができ(リアリティが増すともいえます)、感情移
 入(自分のキャラクターに愛着を持つ、ということですね)もしやすくなったりしま
 す。

・「〜のような」、「〜みたいな」という表現の使用は慎重に
 よく何かの情報をイメージ的に伝えるために「〜のような」とか「〜みたいな」とい
 った言い回しで情報を伝えることがあります。
 しかし、ちょっと待って下さい。あなたがそうした言い方で伝えた情報は正確に相手
 に伝わっているのでしょうか?
 「〜」の部分に入る語句が特殊であれば特殊であるほど伝えた相手は実はイメージで
 きていないという危険性は増していきます。
 まずは、その場の全員がイメージできるものなのか確認する必要があるでしょう。

 例として挙げるならば、自分のキャラクターイメージを伝えるために「アニメの誰そ
 れのような髪型のキャラクター」といった表現をした場合、そのアニメのことをその
 場の全員が知っている必要があるということです。

 これはアニメを引用することを否定するものではありません。

 ある意味こうした例えで伝達する情報の密度を高くするのは、迅速に情報を伝えるた
 めに必要だと私は思っています。

 ただし、引用した「元ネタ」を知らないために正確に情報が伝わらなかったり、あろ
 うことか元ネタを話のネタにTRPGのプレイ中に話が脱線することは好ましいこと
 ではないでしょう。
 避けるべき事です。

・他のプレイヤーキャラクターとの関係を考える
 せっかく作ったキャラクターも他のキャラクターと関わりを持っていないとおもしろ
 くありません。
 他のプレイヤーキャラクターが味方にせよ敵にせよ、存在を認知してこそ自分のキャ
 ラクターの行動に反映させることができます。
 そうでなければ各自バラバラにゲームマスターとマンツーマンで遊んでいることにも
 なりかねませんよね?
 ですから、他のプレイヤーキャラクターとの人間関係はできる限りじっくりと考えて
 みて下さい。
 なかには、スタート時ではお互いの存在を知らない状態から始めることもあります。
 そうした場合は、どんなことをすればお互いマスターの用意したシナリオに関わって
 いけるかを考えるようにしましょう。
 そうすれば話の流れの中で、協調関係を保ちつつ話を進めていくのか、敵対関係を維
 持していくのか、またはお互いが競争相手なのかがはっきりとして、プレイにメリハ
 リがつきます。

 逆に他のプレイヤーがキャラクターをどう動かしていいか分からない状態にあったら、
 積極的に働きかけて人間関係を作ってしまうくらいのバイタリティーは必要かもしれ
 ません。
 強引すぎて相手があまり望んでいない方に人間関係を持っていくのも問題ではありま
 す。ここら辺は相手プレイヤーとの駆け引きですね。

 気が付いたらクライマックスシーンに居合わせたというのでは、多人数でプレイをす
 るという楽しみが味わえていませんよね?

・最初から独自的なイメージを作りすぎない
 いままでも書いてきているようにTRPGは基本的に他のプレイヤーと一緒に多人数
 で遊ぶのが普通です。
 最初から「このキャラクターは〜で〜で〜なんだ」といろいろ決めてしまっては、他
 のキャラクターと繋がりが持てなくなり、自分のキャラクター中心で話が進んだとき
 に他のプレイヤーが退屈したり、他のキャラクターが中心になったとき自分のキャラ
 クターが話に関われなくなって、自分が退屈したりという事態を招きかねません。

 「このキャラクターは特別に〜なんだ」という発言を目にすることもあります。
 そうした場合、その発言をした方はそのシステムでの「普通」をきちんと認識して、
 「特別な」設定を持ち出しているのでしょうか?
 システムの意味することを理解しようとせずに、ただ「独善的な」設定を持ち出して
 いるわけではないと言い切れるのでしょうか?

 よほどのことがなければ、キャラクターの背景や特徴はTRPGをプレイしながら作
 っていっても良いのではないでしょうか?
 これは初めの方に書いた「・自分のキャラクターのイメージをしっかり持つ」とある
 意味相反することです。
 要はバランス、程度の問題ということですね。
 どこまで自由度のある(後から追加変更のできる)設定を作れるかと言い換えても良
 いでしょう。

つらつらと書き出してみましたが、いかがだったでしょうか?まだまだ書き足すことは
あると思いますが、気が付いた時点で追記していきたいと思います。

一応、初めてTRPGを遊んでみようという方のプレイヤーに関する注意すべき事は大
部分提示できたのではないかと思います。
プレイイングに関する方法論というのは、残念ながら私の方から提示することはできま
せん。

なぜなら、気を付けなければならないことはあっても型にはまった(これさえやれば良
い的な)遊び方はないのではと、私が思っているからです。

そういった意味では今まで書いてきたことを気を付けつつ、TRPGをより楽しもうと
する姿勢を持つことこそが、プレイイングとしての方法論なのかもしれません。

  マスタリングに関しては方法論を提示したサイトがあります。
  このHPからもリンクを張らせていただいている、馬場秀和さんという方のHPで、
  タイトルもそのもの「馬場秀和のマスタリング講座」という読み物があります。
  内容に関してはいずれマスターをやってみようという方は見ておいた方が良いと思
  います。
  TRPGに対する接し方が変わるのではないかと、より真剣に考えることができる
  ようになるのではないかと思います。
  視点を変える、こんな考え方もあるんだ、と思える方にお勧めです。

さぁ、今度こそゲームマスターのストーリーに誘われるままに遊んでみましょう。

道は開かれました!

 

 

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Written by ragou