<野球部>

部員「監督。消える魔球が完成しました!」
監督「あっそう」
部員「素っ気無いですね」
監督「今までが、今までだからな」
部員「まあ、そう言わずに見て下さい」

部員はマウンドに、監督はバッターボックスに立った。
部員は高々と足を上げ振りかぶり投げた。
ボールはバッターボックス直前で消え、ホームベース通過後に現れた。

部員「どうです監督?完璧でしょ」
監督「おお!もう一球投げてみろ」
部員「え!」

監督「どうした?もう一度みたいから投げてみろ」
部員「駄目です」
監督「?」
部員「消えるタイミングと現れるタイミングを合わせるには凄い体力を
   使うんです。だから1日に一球しか投げられません」
監督「あっそう」
部員「またまた、そんな素っ気無い返事を。」
監督「一球だけじゃ使い物にならんだろが」
部員「だから普段は制球力で勝負して、消える魔球はここ一番のピンチに使うんです。」
監督「お前にそんな制球力あったのか?」
部員「あっ!」
監督「お前がマウンドに立っている間は常にここ一番のピンチだろうが」
部員「再びあっ!」


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