第1章 アナログデータの種類


この講座で取り扱うアナログデータの種類について基本的な説明をします。
1)動画 2)音声 3)静止画
① β(ベータ)ビデオテープ
② VHSビデオテープ(S-VHS、VHS-C)
③ 8ミリビデオテープ(Hi8)
① カセットテープ
② オープンリールテープ
③ レコード(33、45、78回転)

① ネガフィルム
② ポジフィルム
③ 写真、ポスター
④ 書籍、雑誌

1)動画

① ベータビデオテープ     
ベータビデオテープはVHSと共に本格的家庭用規格として大々的に販売されたカセット型ビデオテープレコーダー(VTR)規格で使用されたビデオテープであります。1号機(SL-6300、SONY)のカセット型ビデオテープレコーダーは、1975年4月16日に発表され、同年5月10日に発売されました。
このベータマックスのヒットにより家庭用VTR市場が開拓され、その初期段階では相応のシェアを占めていましたが、その後の熾烈な販売競争でVTRの世帯普及率が高まる中ではシェアを拡大できず2002年に規格主幹のソニーも生産を終了し、市場から姿を消してしまいました。
ソニー、東芝、三洋電機、アイワ、NEC、ゼネラル、パイオニア等がベータフォーマットのデッキを販売していました。
VHS規格と比較した特徴として、
*カセットが小さい。ソニーの社員手帳サイズと言われている。
*テープとヘッドの相対速度が大きく、画質面で有利。
*初期の機種でも特殊再生が行えた。
*テープが常にヘッドドラムへ巻き付けられているフルローディング(Uローディング)が基本とされ、初期の機械でも動作が俊敏でリニアタイムカウンターが搭載できた。
などがあります。

② VHSビデオテープ(S-VHS、VHS-C)
VHSビデオテープは1975年にソニーが開発・発売した家庭用ビデオベータマックスの対抗規格として脚光を浴びて登場し、約10年間も続いたベータとの規格争いを制して生き残り、現在においてもビデオテープの標準となっています。
1976年10月に日本ビクターが発売したVHS第1号ビデオデッキ(HR-3300)は、当時の金額で定価25万6000円と非常に高価で、VHSの録画テープも当初は120分が6000円もしました。
1977年には松下電器産業が普及型のVHSビデオデッキ「マックロード」を発売し、VHSヒットのきっかけにもなりました。
VHSのハードの普及台数は全世界で約9億台以上、テープに至っては推定300億巻以上と言われていいます。
2007年5月30日、日本ビクターは経営不振による事業再建策として、VHSビデオ事業からの撤退を発表しました。2008年1月15日にS-VHS単体機を全機種生産終了したと発表し、同年10月27日にはVHS方式単体機の生産を終了しました。在庫が無くなり次第、販売も終了とのことでした。ビクターの撤退により、国内メーカーのVHSビデオ単体機の製造は完全に終了し、今後はDVD、HDD等の複合機として展開されることとなります。

③ 8ミリビデオテープ(Hi8)
8ミリビデオは家電業界を二分したVHSとベータとの間の激しい規格争いにより、統一された規格がないことのデメリットを痛感したメーカー各社により「8ミリビデオ懇話会」が設けられ、次世代のビデオ規格として検討が行われた結果、ビデオにおける初の世界127社による統一規格として誕生しました。
テープ幅が8ミリであり、規格名はそこから取られています。 ビデオカセットはコンパクトカセットとほぼ同じ大きさで、VHSやベータと比較して大幅に小型化されています。 テープはメタルテープ(塗布型または蒸着型)を採用し、高密度記録により、当初より標準モードで120分の長時間記録が可能でありました。
1985年1月8日、ソニーが8ミリビデオの第1号機「CCD-V8」を発表しました。
しかしながら、1995年9月に、より小型で鮮明なデジタル録画ができる「DV規格」を採用したデジタルビデオカメラの第1号機「NV-DJ1」が松下電器産業から発売され、それ以降DV規格との世代交代が始まってしまいました。初期の頃にはDVテープの入手が困難な状態がありましたが、テープの生産体制が軌道に乗るに連れて8ミリビデオカメラは急速に売れ行きを落とし、多くのメーカーが製造から撤退していきました。
2006年10月1日に行なわれた持株会社制への移行に伴い、旧富士写真フイルムの事業は現富士フイルムに引き継がれましたが、富士写真フイルムはこの分社化よりも以前に8ミリビデオ分野から撤退しており、継続していた8ミリビデオテープの製造・販売も分社化2006年の9月末日をもって打ちきっています。

2)音声

① カセットテープ
カセットテープは、磁気テープメディアで、テープがむき出しのオープンリールに対し、カセットに入った状態のものであります。
長所として、汚れにくく、取り扱いが容易であることが挙げられます。
短所としては、切り張り編集が難しくプロユースには不向きであります。
基本的に、カセットテープは幅狭で短く、そのため、コンパクトで持ち運びやすい反面、収録時間か音質が犠牲となっていることがあります。

② オープンリールテープ
オープンリールは、テープを巻いたリールのままの状態のものを示します。オープンリールは和製英語であり、英語圏ではリール・トゥ・リールと呼びます。
取り扱いが結構面倒でありますが、高速・大容量の記録ができるため音質に優れています。また、オーディオ用アナログテープにおいては音源の頭出しがわかりやすく、テープを直接切って繋ぐ編集が容易であるなど操作性に優れています。
テープの走行スピードが4.75cm/s(1.875インチ/秒)、9.5cm/s(3.75インチ/秒)、19cm/s(7.5インチ/秒) 、38cm/s(15インチ/秒)、76cm/s(30インチ/秒)と、コンパクトカセットのスピードよりも早く、またトラック幅も広いため、その分音質は良くなります。しかし、テープの大きさ(リールの直径)が5インチ、7インチ、10インチ、12インチ、14インチと記録時間に比例して大きくなってしまいます。

③ レコード
レコードは、円盤状の樹脂等に凹凸を刻むことで音楽などの音響情報を記録したメディアの一種で、音の情報が集録された物をです。音盤と呼ばれることもあるそうです。
音の再生にはレコードプレーヤーと針を用い手行います。レコードの回転とともに、そのレコードに刻まれた溝の凹凸が針に振動を与え、それが電気信号に変換されて増幅回路を通してスピーカーから音が発せられることになります。
世界で初めて実際に稼動した、再生可能なレコードは、エジソンが 1877年12月6日(のちの「音の日」)に発明した「フォノグラフ」であります。直径 8 cm の、錫箔を貼った真鍮の円筒に針で音溝を記録するという、基本原理は後のレコードと同じものでありました。
レコード盤の形状には次のようなものがあります。
*SP盤(Standard Playing)
回転数 78r.p.m.、直径 30cm(12インチ)または25cm(10インチ)
*LP盤(Long Playing)
回転数 33 1/3r.p.m. 、直径 30cm または 25cm 両面
*EP盤(Extended Playing)
回転数 45r.p.m. 、直径 17cm(7インチ)
*コンパクト盤
回転数 33 1/3r.p.m. 、直径 17cm(7インチ)
*12インチシングル盤
回転数 45r.p.m. 、直径 30cm(12インチ)
初期の円盤式レコードは、ゴムやエボナイトなどが原料であったといわれているが、やがて酸化アルミニウムや硫酸バリウムなどの粉末をシェラック(カイガラムシの分泌する天然樹脂)で固めた混合物がレコードの主原料となり、シェラック盤と呼ばれました。その後の化学技術の進歩により、ポリ塩化ビニルを用いることによって細密な記録が可能となり、長時間再生・音質向上が実現されました。


3)静止画

① ネガフィルム
ネガフィルムは被写体の色や濃度が反転するフィルムのことで、プリント用などに一般に広く利用されているものです。ネガと略称することもあります。
カラーフィルムではフィルムベースはオレンジ色に着色されています。これは画像を構成する色素は微妙な濁りを含みますが、これを打ち消すためで、各フィルムごとに最適な色表現を得られるように調整されている様です。
また、使用される感光剤の関係で、ネガフィルムの方が現像や焼き付けの処理が簡素であるため広く普及しました。高感度と高画質を両立する開発競争が進み、現在ではISO800、1600といった高感度フィルムでもざらつきの少ない高画質なものになってきています。

② ポジフィルム
ポジフィルムは被写体の色がそのまま再現されるフィルムのことで、リバーサルフィルムとも言います。透過原稿用・スライドプロジェクタでの鑑賞用に使われるものです。スライドプロジェクタで拡大投影して使われることも多く、「スライドフィルム」とも呼ばれています。
ポジフィルムの現像を注文すると、マウント仕上げかスリーブ仕上げのどちらにするか尋ねられることがあります。マウント仕上げとはフィルムを1コマごとにカットしてスライドプロジェクターに挿入するホルダー(マウント)に挟んだ状態で仕上げるものです。一方スリーブ仕上げは通常のネガシートに数コマずつフィルムを入れて仕上げるものです。

③ 写真、ポスター
写真やポスターなどはスキャナーで取り込んでデジタル化しますが、そのままでは一つのファイルとしてパソコンなどで見るしかありません。これらのファイルをDVDビデオデッキでスライドショーにして見ることが出来たらパーティーや宴会の盛り上がり方が断然違ってきます。

 

④ 書籍、雑誌
書籍や雑誌の活字はスキャナーで取り込んでも画像のままです。このまま利用する場合はそれで十分ですが、テキストに変換したい場合があります。この操作はOCR(Optical Character Recognition)と呼ばれ、活字の文書の画像をコンピュータが編集できる形式(文字コードの列)に変換するソフトウェアの総称です。


 

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