第4章 編集方法


1)オーサリングソフトについて

パソコンに取り込んだ動画をDVD化するにはオーサリングソフトが必要です。
ここで言うオーサリングソフトとは、動画や音声、画像などのデータを編集してDVDの素材を作り上げるソフトを指します(一般的には動画に限らず様々な素材からある一定のアプリケーションを形作るソフトを意味します)。
どうしてオーサリングソフトが必要かと言えば、動画ファイルをそのままDVDに書き出してもパソコンでは見ることができても、市販のDVDプレーヤーでは再生できないからです。市販のDVDプレーヤーで見るにはDVD-Videoの規格に合うように変換しなければならないのです。

あまり気にしなくても良いのですが、次の表にDVD-Videoの規格の抜粋を示します。

DVD VIDEO(NTSC) の仕様

ディスク径・厚等

12cm(CD と同じ)・0.6mm×2(二枚張合せ)
トラックピッチ 0.74μm・最短ピット長 0.4μm
セクター配置 CLV・変調方式 8-16 ビット変調
誤り訂正 RS-PC 方式・使用レーザー 650/635nm

記録容量

片面一層 4.7GB・二層 8.5GB
両面一層 9.4GB・二層 17GB

記録時間等

全合計平均記録レート 4.692Mbps として、約133分
※片面一層あたり喚算

映像記録方式及び
コーデック
720x480 画素・29.97 フレーム/秒(2:1 インターレース)
コンポーネントデジタル(4:2:0)
MPEG-2 MP@ML 符号化・約 1/40 圧縮(適応可変レート
※ビデオ部分の最大ビットレート 9.8Mbps
音声記録方式等

PCM 直線 16/20/24bit(最大)量子化・96KHz もしくは 48KHz標本化(32/44.1KHz 含む)
もしくは、DOLBY AC-3 5.1ch デジタルサラウンド

オーサリングソフトは取り込まれた動画ファイルを最終的にこれらの規格に合うように変換して、DVDに書き込んでくれます。
また、DVDに書き込む前に不要部分をカットしたり、メニューの作成やチャプターの設定、トラジッションの挿入等、動画ファイルの編集もやってくれます。
最近のソフトは高画質の動画に対応したものが続々と登場していますが、この講座においてはまだ必要がありませんので素通りしますが、下によく知られていて手頃な価格のオーサリングソフトをいくつか示します。フリーのオーサリングソフトも数多くありますが、とっかかりには製品版を使いこなして理解を深めてから、フリーのソフトを使った方が良いと思います。

 
ソフト名
TMPGEnc Authoring Works 4
MyDVD 10 Studio Premier
PowerDirector 7 Ultra
MovieWriter7
メイカー名
ペガシス
ソニック・ソルーションズ
サイバーリンク
コーレル
価格
約14,000円
約8,000円
約12,000円
約14,000円

2005年頃はソフトによってかなり大きな違いがありましたが、最近のものは基本的な部分について大きな差はほとんどなくなって来たと言っても良いでしょう。
ただし、動画部分の取り込み時のビットレートは必要以上に高くしても意味がないので10Mbps以下で設定することをお薦めします。



2)編集方法の具体例

ペガシスのTMPGEnc DVD Author 3 with DivX Authoring(TMPGEnc Authoring Works 4の前ヴァージョン)を例にとって編集作業の具体的な例を紹介します。

① TMPGEnc DVD Author 3を起動すると下の画面になります。ここで「新規プロジェクトを開始する」 をクリックします。

② 取り込んだ動画ファイルを呼び出す下の画面に変わりますので「ファイルを追加」をクリックして、編集する動画ファイルを指定します。


③ 取り込まれた動画ファイルの情報が表示されます。ここには取り込んだ動画ファイル、画像および音声の情報がそれぞれ表示されますので、興味のある方はじっくりご覧下さい。
右下の「OK」をクリックします。

④-1 「編集」ボタンをクリックすると要らない映像をカットしたり、好みの場所でチャプターを挿入できる画面になります。(チャプターとは頭出し用のマークと思って下さい)

⑤-1 「設定」ボタンをクリックすると「映像フォーマット」の設定画面と「音声フォーマット」の設定画面になります。


カット&チャプター編集画面

④-2 ここでは不要な部分を選択して削除(カット)することや、チャプター(頭出し用のマーク)の設定が出来ます。
元のファイルには何の変更も加えませんので安心して編集を行って下さい。
スライダーを使って編集したいところを容易に探し出せます。また、フレーム単位での編集も可能ですが、トランジッションなどの編集はこのソフトではできません。
編集作業が終了したら右下の「OK」ボタンをクリックします。
次に、上部の「メニュー」ボタンをクリックします。メニュー作成ウィザードが開きます(⑥~⑨)。

「映像フォーマット」の設定画
「音声フォーマット」の設定画面
⑤-2 「アスペクト比」「レート調整」「映像品質」など好みの設定にします。先にも書きましたが、ビットレートが9,800kbps以上になると後で警告が出されます。

⑤-3 「ストリーム形式」「サンプリング周波数」など好みの設定に変更できます。
(注:ここで「ストリーム形式」をDolby DigitalあるいはLinear PCMに設定しないと後で警告が出されます)
サンプリング周波数および量子化ビット数は、普通DVDでは48KHz、16bitを使用します。


⑥メニュー作成ウィザードが始まります。メニュー画面のレイアウトや設定は自由に選ぶことができますが、最初は既存テンプレートから好みのメニューを選んだ方が無難です。「次へ」をクリックします。 ⑦既存テンプレートを選択します。「次へ」をクリックします。
⑧メニュー構成の設定画面ですが、とりあえず「自動設定」で良いと思います。慣れてきたらトップメニューを作ったりしてオリジナルをお楽しみ下さい。「次へ」をクリックします。 ⑨DVDプレーヤーにDVDを挿入した時、およびトラック再生終了時の表示画面設定をします。特に気にせず、一番上のボタンを選択して下さい。「次へ」をクリックします。

⑩ 画面⑨の「OK」ボタンをクリックすると下の画面になります。「ページ1」をダブルクリックするとメニュー画面の編集ができます。

⑪-1 下の画面が「ページ編集画面」です。テンプレートを使用した場合「トラック1」と「チャプター1」のテキストが編集出来ます。それぞれの文字をダブルクリックすれば個々の編集画面がポップアップ画面として現れます。

編集が終了したら、上部の「シミュレーション」ボタンをクリックします。

⑪-2 文字のフォント、大きさ、色などの設定が可能です。 ⑪-3 ドロップシャドウ、文字の回転、ぼかしなどの様々な文字の修飾が可能です。

⑫ 下の画面が「シミュレーション」の画面です。「開始」ボタンをクリックすればシミュレーションが始まりますが、この時DVD-Video規格に反している場合警告画面が表示されます。内容を確認し⑤-1と⑤-2画面で設定を変更して下さい。再度この画面で「開始」ボタンをクリックした時に警告が出なければOKです。

シミュレーションが終了したら、いよいよDVDに書き込みを行います。上部の「書き出し」ボタンをクリックします。


⑬ 書き出しの画面では
A:書き出し先のフォルダーを指定します。第一段階としてパソコン内のフォルダーに書き込みを行いますので、空のフォルダーを予め作成して下さい。
B:容量調整の設定を行います。編集したファイルのサイズは画面右下の最初に表示されている数字になります。1枚のDVD(4.7GB)に入りきるサイズであれば調整の必要はありませんが、それ以上の大きなサイズの場合ここで1枚(4.7GB)に入るよう設定することができます(トランスコードという機能)。二層のDVD(8.5GB)に書き込む設定もあります。
C:最後にパソコン内のフォルダーに書き出した後の処理を指定します。普通ですとDVDに書き込みを行うのですが、編集のし直しを行うかもしれない場合や、他の書き込みソフトで書き込みを行う場合などはこのチェックをはずして下さい。

⑭ 設定が終了すれば空のDVDをセットして「書き出し開始」ボタンをクリックして下さい。DVD-RWなどをセットすると自動的にフォーマットしてくれます。

ここで作成されたDVDは自動的に「ファイナライズ」処理がなされていますので市販のDVDプレーヤーで見ることができます。

 

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