■大祓詞
高天原に神鎮まります、(先唱者)
皇親神呂岐神呂美の命もちて、八百万の神等を、神集えに集えたまい、
神議りに議りたまいて、我が皇御孫の命は、豊葦原の瑞穂の国を、
安国と平けく知ろし召せと、こと依さしまつりき。
かく依さしまつりし国中に、荒降る神どもをば、神問わしに問わしたまい、
神払いに払いたまいて、こと問ひし磐根樹根立ち草の垣葉をもこと止めて、
天の磐座放ち天の八重雲をいつの千別きに千別きて、天降し依さしまつりき。
かく依さしまつりし、四方の国中と、大和日高見の国を、安国と定めまつりて、
下津岩根に宮柱太敷きたて、高天原に千木高知りて、皇御孫の命の瑞のみ舎仕えまつりて、
天のみかげ日のみかげと隠りまして、安国と平けく知ろし召さん国中に、
成り出でん天の益人らが過ち犯しけん 草々の罪事は、天津罪と、畔放ち、溝埋め、
樋放ち、頻播き、串刺し、生き剥ぎ、逆剥ぎ、糞戸、許々多久の罪を、天津罪と法り別けて、
国津罪とは、生膚断ち、死膚断ち、白 人、胡久美、己が母犯せる罪 、己が子犯せる罪、
母と子と犯せる罪、子と母と犯せる罪、 蓄犯せる罪、昆虫の災い、高津神の災い、
高津鳥の災い、蓄たおし、蠱物せる罪、許々多久の罪出でん。
かく出でば、天津宮事もて、大中臣、天津金木を本打ち切り末打ち断ちて、
千座の置座に置き足らわして、天津菅麻を本刈り断ち、末刈り切りて、
八針に取りさきて、天津祝詞の太祝詞事を宣れ。
かくのらば、(先唱者)
天津神は、天の磐戸を推し開きて、天の八重雲を、いつの千別きに千別きて聞こし召さん。
国津神は、高山の末低山の末に登りまして、高山の庵低山の庵を掻き別けて、聞こし召さん。
かく聞こし召しては、皇神孫の命の朝廷を始めて、命の天の下四方の国には、罪と言ふ罪はあらじと、
科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く、朝のみ霧夕のみ霧を、朝風夕風の吹き掃う事の如く、
大津辺に居る大船を、舳解き放ち、艪き解き放ちて、大海の原に押し放つことのごとく、
彼方の繁木が本を、焼鎌の利鎌もて打ち掃ふ事の如く、残る罪はあらじと、祓いたまい清めたまう事を、
高山の末低山の末より、さくなだりに落ちたぎつ速川の瀬にます、瀬織津姫という神、大海の原に持ち出でなん。
かく持ち出でいなば、荒潮の潮の八百道の、八潮道の潮の八百曾にます、速開都姫という神、持ちかか呑みてん。
かくかか呑みては、伊吹戸にます伊吹戸主という神、根の国底の国に伊吹放ちてん。
かく伊吹き放ちては、根の国底の国にます、速佐須良姫という神、持ち佐須良い失いてん。
かく失ひては、天の下四方には、罪と言ふ罪はあらじと、祓いたまい清めたまうことを、
天津神国津神八百万の神たち平けく安らけく聞こし召せと申す。