旅の記憶 2006 夏 Part2 『ピレウス港の朝日』

 

8月10日(木)の朝・・・

5時30分にかけておいた目覚ましより、30分も早く目が覚めてしまった・・・

長いフライトを経ての1日目の朝はさほど疲れていない。

空気が乾燥しているせいか、ミネラルウォーターを一気のみ・・・

外はまだちょっと薄暗い。

そして、とりあえずテレビを付けてみるが、当たり前のように、

訳の分からないギリシャ語の音声が流れてる・・・

訳の分からない「言葉のシャワー」を浴びるのも時にはいいもんだ・・・

ギリシャ語のシャワーを浴びた後、僕はホントのシャワーを浴び、

昨晩のうちにまとめておいた荷物をひっさげ、早々とホテルをチェックアウト。

地下鉄に乗るため、オモニア広場へと向かう・・・

 

それにしても、アテネの朝はすがすがしい!

東京のように蒸し暑さを感じることなく、ほどよい気温と湿度だった。

夜が明けたばかりの空は真っ青で、今日の暑さを予感させた・・・

 

ギリシャは年間の晴天日数が約300日とあって、夏はほとんど雨知らず・・・

まず天候を心配する必要がない。

 

さて、今日の目的地『ミコノス島』へは、アテネ中心部から地下鉄で

20分ほどの港町『ピレウス』から出航する客船に乗って行く。

広場にぽっかり空いた地下への階段を降り、薄暗い雰囲気の

『Omonia 駅』から乗り込んだ地下鉄の車内は、すでに多くの人達が乗っていた。

それにしても、仕事に行く人達と、島でバカンスを過ごすための

大きなリュックをしょったバックパッカー達が当たり前のように

入り乱れている車内は滑稽な光景だった・・・

 

『Omonia 駅』から3つ目くらいの駅を過ぎると、

車両は地下から抜け出し地上へ・・・

中心部から少し離れた街並みは、年期の入った建物がひしめきあい、

アテネの人々の暮らしがなんとなく垣間見ることが出来る・・

そして、『Kalithea 駅』という駅に停車したとき、

僕はふと10年前のある光景を思い出した・・・

『Kalithea 駅』はサッカー場が隣接されている駅で、ギリシャの名門チーム

オリンピアコスのホームグラウンドでもある。

 

僕は10年前、ピレウスからアテネ中心部へ向かっている車内から

『Kalithea 駅』の側で熱戦が繰り広げていたことを鮮明によく覚えていた。

それは・・・

サッカー場からの歓声とライトアップ、さらに地下鉄に乗っていたおじいさんが

普通にかけていたラジオから聞こえてくる実況がその場所を物語っていた・・・

 

そこは日本でいう『西が丘サッカー場』のようなこぢんまりとした作りで

車内からも、試合の模様が少しだけ覗けたのだ・・・

日本では考えられない立地構成だったので、

その場の臨場感が、今までとても印象に残っていた・・・

 

そして、あのときのサッカー場との再会と思いきや、サッカー場は

『Karaiskaki スタジアム』という名の大きなスタジアムに変身していた・・・

『鹿島サッカースタジアム』のような立派なスタジアム・・・

そして、赤を基調に、綺麗に整備された駅のプラットホームと

スタジアムまでの遊歩道・・・

 

10年前はホントに小さな駅で、小さなサッカー場に人が溢れかえっていたが、

やはり10年の月日は流れているんだなぁ〜っと実感したのだった・・・

 

さて、そんな思い出に浸っている間に、電車は港町の終点『Pireas 駅』に到着。

駅の雰囲気も辺りの光景も変わってしまっていたが、改札を出ると

目の前が海、そしてフェリー乗り場、という点は変わっていなかった・・・

 

僕は出航の30分前にフェリーに乗り込み、早々とデッキに腰をかける。

『ピレウス港』はエーゲ海に位置する様々な島への表玄関となっており、

大きな客船が何隻も停泊し、多くの車とバックパッカー達が港を徘徊していた。

そして、7時35分、船はミコノス島へと出航。

アテネ方向から朝日が昇る光景は、まさに出航にふさわしい

シチュエーションだった・・・

昇る朝日を背に、船は光輝くエーゲ海へと走り出した・・・

 

Part3 へつづく・・・

 

           2006年8月26日 4時01分 自室にて