おばあちゃんのレコード

 

僕の祖母はその昔、童謡や唱歌を歌う歌手だった・・・

戦前の昭和初期に活動していて、名は『高阪幸子』。

8年前に他界してしまったが、ほんとうに優しい祖母で、

とてもかわいがってもらった記憶が鮮明に残っている・・・

 

僕が幼少の頃、祖母は家族で経営していた録音会社の社長をやっていた。

母上から「おばあちゃんが昔は唄を歌っていた」と聞き、

祖母も鼻歌程度に歌ってみたりしてくれたが、

その時は『童謡の歌手』と言われてもあまり「ピン」と来なく、

「ふ〜ん、そうなんだ・・・」的な感じで思っていた。

 

たまたまインターネットで祖母の名前を検索してみたら・・・

出てくる!出てくる!祖母の名前が!

『美空ひばり』さんや『淡谷のり子』さんなど昭和を代表する歌手と同様に

祖母の名前が連なっているページなどもあるので、

戦前は精力的に活動していたのではないかと思う。

 

そして、僕はインターネットオークションで祖母のレコードを見つけた!

『鳩ぽっぽ』と『兎と亀』の2曲が収録されているSPレコードで、

相当年期の入った代物のよう・・・

早速落札して、そのレコードを手に入れた。

僕はそのレコードを手に取って、長い歴史と共に歩み続けてきた重みと

おばあちゃんのぬくもりが伝わるような気がしたのだ。

音はまだ聴けていないけど、いったいどんな声が流れてくるのか・・・

 

一度、祖母が僕のライブに来たことがある。

普段と変わらない祖母だったが、なぜか僕自身には変な緊張が漂っていた。

そんな孫の僕がいまだに歌を歌っているなんて、

天国でどんなふうに思っているのだろうと時々思うことがある・・・

 

拝 マーボ

           2006年10月20日 21時38分 自室にて