復活した銘器『YAMAHA FG-110 (赤ラベル) 』

    

今月行ったライブは、約10年振りにギターの音をマイクで拾う形で演奏してみた。

普段は『Ovation Elite 1768』をライン接続で行うのだが、

今回は『YAMAHA FG-110』をマイクで拾う形で・・・

 

この『YAMAHA FG-110(通称・赤ラベルモデル)』は

ヤマハがフォークギターを最初に作り始めた貴重なギターなのだ・・・

 

資料によると・・・

1966年に発売されたヤマハ初の本格的アコースティックギター『FG-150』の廉価版として、

1967年から72年の期間に販売されていた。

 

ボディ内部には、掠れてすでに読み取れない7行のシリアルナンバーがスタンプされている。

でも内部サイド側に42.5.3のスタンプが押してあるので

『110シリーズ』の中では最初に作られた1967年製(昭和42年)のようだ。

つまり、僕が生まれる前に作られたギターで、

制作されてから約40年の月日が流れている・・・

 

廉価版ということで、当時の値段は11,000円と比較的安価だったようだが、

今では非常に深みのあるなんとも表現できない素晴らしい音色を奏でてくれる。

この『YAMAHA FG-110』は、

僕がギターを弾き始めた学生時代、当時、音楽プロデューサーをやっていた

親戚のおじさんから譲ってもらった・・・

そのおじさん自身が学生時代に使っていたものらしく、

長〜い間、押入に眠っていたようだった・・・

譲り受けた時は、ケースもなく、弦もさびついており、ネックも少し反っていた。

おまけに弦高が高く、非常に弾きづらく、練習に使用する程度で使っていた。

 

当時、とあるライブハウスで年輩の方に「そんなヤマハのギター」を持っていると

話したところ、そのギターが『通称 赤ラベル』という年代物で

とても貴重なギターだということを知った。

 

僕はさっそく、楽器屋さんに走り、壊れかけていたペグ部分を取り替えて

ネックの反りを調整し、もろもろ修復したら、これまた良い音を出すではないか!

そしてある日、たまたまデパートでやっていた古道具市に通りかかったところ、

薄茶色のギターケースが目に止まった。

3,000円で売られていたので「これは!」と思い、サイズが合うか分からないまま購入し、

家でギターをケースに入れてみたら、まさにピッタリのサイズ!

このケースはまさに僕が持っていた『YAMAHA FG-110』を収めるため、

「僕に買われるのを待っていた!」と、そんな偶然を今でも信じている。

 

そんな貴重なギターを入れるケースなので、「何か特別な事を・・・」と思い

僕は尊敬する『友部正人』さんの事務所に電話を入れ、本人と直接お話をして

ケースにサインをしてもらった。それもオリジナルのイラスト付きで・・・(感激!)

そのギターケースに入れた『YAMAHA FG-110』を抱えて、

僕は様々なライブハウスで、歌と共に音を大いに奏でた記憶がある・・・

『YAMAHA FG-110』と共にこのギターケースも僕の宝物のひとつであり、

この先、一生手放すことはないだろう・・・

 

ライブ活動を復活させ2年の月日が経ち、

ようやく、ライブハウスでの音へのこだわりが目覚めてきた・・・

しかしながら、僕のホームタウン『高円寺ALONE』は

僕のこだわりにさらに磨きをかけた音を作り上げてくれる・・・

久々にマイクを通して出した『YAMAHA FG-110』の音色は

胸に染みいる深みのある音を奏でてくれ、時の流れを遡るかのよう様々な想いを馳せて、

高円寺の夜に『斉藤マーボ』という輝きを放ってくれた・・・

  

拝 マーボ

           2007年1月28日 5時25分 自室にて