once ダブリンの街角で

 

まるで自分が辿っていた人生の一部を、長〜いジェットコースターに乗って、

過去へタイムスリップしたような映画を観た・・・

「once ダブリンの街角で」

ストリートで歌うアイルランド人の男と、チェコからの移民の女性が

音楽を通じて出会う物語・・・

スクリーンに映し出される街並み全てが、鮮明に僕の脳裏に映し出され

感極まる場面がたくさんあった・・・

 

僕が歌っていたあの「グラフトンストリート」

映画のシーンと同じようにたたずんでいたカフェの風景

ピアノを自由に弾かせてくれて、ボイストレーニングにも通っていた楽器店「WALTONS」

 

この映画は当初、アメリカの2つのシアターのみで上映されるだけだったが、

映画の高評価はアイルランド国内はもちろん、全米に瞬く間に広がり、

さらに世界中に広まり、日本でも公開に踏み切ったようなのだ・・・

何よりも音楽の完成度の高さに加え、映像とサウンドとのリンクが純粋に描き出されている。

 

90年代後半による好景気、いわゆる「アイリッシュ・タイガー」によって急成長した

アイルランドの首都 ダブリンは、今では高級ブティックなどが建ち並び、

街の近代化が急速に進んでいるとの事・・・

そんな現状とは裏腹に、古き良きダブリンの街並みを見事に投影しているのだ。

そして、映像全てが優しさに包まれている・・・

 

アイルランドの音楽は、ジャンルを問わず心にカウンターを食らうような衝撃がある。

いわゆる、ふにゃふにゃの商業音楽ではなく、悲しみ、喜びなどが

リアルに映し出される、現代版プロテストソング・・・

僕はそんな音楽を求めアイルランドに旅立ち、人生における価値ある心の財産を手に入れた。

 

この映画に出演するグレン・ハンサードの「The Frames」の音楽は

原石が散りばめられた宝石箱のように輝きを放つ。そしてサウンドトラックで新たに収録された

マルケタ・イルグロヴァとの絶妙なハーモニーは、まさに音の世界遺産・・・

この音楽は、世界中の多くの人達の心に深く刻み込まれる。

なぜなら、そこには嘘のない真実の歌があるのだから・・・

 

古き良きあのダブリンの街並みに心奪われて・・・

http://www.oncethemovie.jp/

拝 マーボ

               2007年11月10日 12時25分 自室にて