ギターメタボ健診!?
つい先日、いつもライブなどで愛用しているギター『YAMAHA FG-110』を修理に出してみた。
特に具合の悪い所もなく、『Martin』『TAKAMINE』などに負けていない
アコギ特有の美しい音を出してくれているのだが、相当年期の入ったギチギチ気味のペグを交換するのと、
弦高を少しだけ下げ、弾きやすさと愛着を増すためにギター屋さんに持って行ったのだ・・・
この『YAMAHA FG-110』は、20年前くらいに、おじさんから譲り受け、
製造は1967年製と、すでに40数年の月日が流れている・・・
『YAMAHA』がフォークギターを最初に作り始めた頃の古いギターで、
当時僕は、弾きつらさといつも戦っていた・・・
ナットとサドルを交換してみたり、弦をエキストラライトに変えてみたりと、いろいろ試行錯誤しつつ、
バスキング(路上演奏)や練習で使っていたギター・・・
3年前、ライブ活動を復活した時は、弾き易さと低音の響きに独特の味わいを出す
『Ovation Elite 1768』を使っていたのだが、僕のホームグラウンド『高円寺ALONE』のハコからして
マイクで音を拾い、ギター本来の音をダイレクトに客席へ伝えるため、
ここ1年半くらいは『YAMAHA FG-110』に切り替えて演奏している。
やっぱり、ライブを重ねるごとに、わずかな音へのこだわりや、
ベストアクトを飽くなく追求したいと、欲が出てくるんだよね・・・
でもって、初めて楽器屋さんにこのギターを持って行ったのだ。
持って行った楽器屋さんは、四谷にある『RING GUITAR』。
小さなお店で、マスター一人で切り盛りしている可愛らしいお店だ・・・
以前、たまたま通りかかって、「いい雰囲気のお店だな」って気になっていた。
マスターはギターを見て「このギターは音そのものが完成されているから、
リペアしてもそんなに変わらないよ」って言われ、さらに
「古いギターだから、弦高も低くはならないかな」なんて言われてしまった・・・
でも、「ネックの摺り合わせとペグ交換はしてもいいかな」なんて言っているので、
とりあえずお願いをして1週間ほど預けた・・・
そして、ギターを預けている期間、家に『YAMAHA FG-110』が無い違和感と、
寂しさ溢れ出す妙な気持ちが僕に襲いかかってきて、不思議な毎日が続いた・・・
ライブ活動をしていない7年ほどの長い期間も、常に部屋には置いていたし、
必ず目の付くところに存在していた・・・
それが突如、無くなった生活環境は、まるで長く長く同棲していたパートナーが突如消えてしまったような、
胸が締め付けられる寂しさと、哀愁漂う部屋の雰囲気が混じり合い、脱力感が抜けない変な毎日だった・・・
もう製作されてから40年ほどの月日が経っているのだから、
人間で例えるなら人間ドッグのようなもの・・・
すなわち『ギタードッグ』・・・
いや、現代的だと『ギターメタボ健診』のようなもんかな・・・(笑)
長く感じられた1週間が過ぎ、『RING GUITAR』に足を運ぶと、
ピカピカのペグ、そして、魔法をかけたように僅かながら弦高が低くなり、
握りやすいネックに生まれ変わっていた・・・
さらに! 音が明らかに違い、これには心底感動した!
音の説明って、ホントに言葉や文章では表せなくて、聴いて、弾いて分かるモンなのだ・・・
でも、自分が望んでいた音に生まれ変わっていて、嬉しさに心震えたのだ・・・
楽器店のマスターは、「マイクを通して聴いてみると、もっと音の違いが分かるし、
生きた音が体感できるよ!」って言っていたから、ホントに次回のライブが楽しみで仕方がない!
そして、その時のマスターの嬉しそうな顔がとても印象的だった・・・
今回は『YAMAHA FG-110』に対して、これまで付き合ってくれた感謝の気持ちと、
まだまだこれからもヨロシク!って感じでリペアに出したのだけれども、
ギター自身もきっと嬉しかったと信じている!
その気持ちを読み取るのは、やはり音そのものが、表現してくれるのだろう・・・
拝 マーボ
2008年7月1日 15時50分 東京・新橋にて