奇跡の部分日食

 

 昨日7月22日、国内で観測される世紀の天体ショー、

46年ぶりの皆既日食に、多くの人が宇宙の神秘を目の当たりにしたと思う・・・

僕も1年半前からこの日を心待ちにしていて、出来る事なら奄美地方の方まで足を運び、

暗闇に包まれる瞬間を体感したいと思っていた。

でも仕事のため残念ながら諦め、せめて東京で75%ほど欠ける

部分日食を観測しようと思っていた・・・

わずかに欠ける部分日食は小学生の頃、一度だけ観測したことがあったが、

太陽が半分以上欠ける現象は、生まれて初めて見る天文ショーなのだ・・・

 

 しかし、2日前に発表された東京の天気予報は「曇りのち雨」と最悪の条件・・・

なんとか自分の晴れ男っぷりを発揮出来ればと、刻々と近づく世紀の瞬間を

心待ちにしていた。

 

 そして当日の朝8時に目が覚め、窓の外を見てみると・・・

悲しいことに東京の空は厚い雲に覆われ、霧雨が降っているホントに最悪の状態・・・

これはもう部分日食もあきらめ、テレビの中継で皆既日食を見る準備を整えた・・・

 

 午前9時30分頃、日本でいち早く太陽が欠ける始める沖縄の映像を見るため、

民放各局で特集されていた情報番組の中から、ザッピングでいい中継を探してみた。

ただ民放での放送が、訳もなく意味もなく煽るコメントと、訳の分からんタレントが出てきて、

好き勝手にリアクションするだけで、放送内容としては非常に残念なものだった・・・

特に日本テレビの中継は最悪そのもので、吐き気をもよおす程ひどい放送だった・・・

 

 そして、午前10時30分から始まったNHKの中継・・・

やはり作りがしっかりしていて、数多くの中継ポイントも確保しており、

さすがはNHKだと改めて感心した・・・

ブラウン管に太陽が欠けゆく模様が流れ、ついに皆既帯での皆既日食が始まり

僕はたまらなく目頭が熱くなる・・・

 

 残念ながら、皆既時間が今世紀最長の6分を超えるトカラ列島では、

嵐のような暴風雨で、避難する観測者と辺りが暗闇に包まれる模様が流れていた。

それにしても硫黄島からの中継は感動そのもので、

ダイヤモンドリング、コロナ、プロミネンスと美しい映像が流れ、

静寂のなかでの皆既日食に、NHKのリポーターが声を発するのを忘れるほどの

素晴らしい中継だった・・・

 

 僕の興奮は収まらず、なんとか東京でも雲の隙間から、少しでも欠けた太陽が覗かないかと、

ベランダから空を見上げてみたが、やはり雲に覆われ、

太陽がどこにあるのかすら分からない状況だった・・・

雲の上には欠けた太陽があるのだろうと想像を膨らませつつ、あきらめかけた時、

一瞬、薄い雲に覆われた欠けた太陽が顔を覗かせた・・・

僕はその光景に興奮し、上空を数分間見守っていると、

今度ははっきりと欠けた太陽が僕の目に入ってきた・・・ まさに奇跡と感動の瞬間!

時間はちょうど11時で、東京の最大食まで10分ほど猶予がある。

 

 僕はカメラを取り出し、なんとかこの瞬間をファインダーに収めようと

カメラを構え空を見上げ続けていた・・・

すると雲に隠れたり現れたりの、きれいに欠けた太陽が顔を覗かせる。

僕はたまらずシャッターをきり、なんとか美しい部分日食をカメラに収めることが出来た。

そして、東京最大食の午前11時13分、「どうぞあなたを待っていた!」のごとく

きれいに欠けた太陽が再び僕の目に飛び込んだ・・・

その時の僕は我を失い、喜びに満ちあふれ、奇跡の瞬間をカメラ、そして

心のファインダーに収めることが出来たんだ・・・

  

 想像していたほど辺りは暗くはならなかったけど、

待ち続けた世紀の一瞬に立ち会えた事に喜びは隠せない・・・

そして、最悪の条件の中でも観測する事が出来た今世紀最大の

「魅惑の天体ショー」に感謝したい・・・

 

 次回の日食(中心食)は、2012年5月21日の「金環食」

これは関東地方でも見れる数少ない中心食・・・ 再び3年後に期待したい・・・

 

 

拝 マーボ

                2009年7月23日 2時14分 自室にて