プラド美術館展

 

待望の「プラド美術館展」に上野の東京美術館へ行ってきた。

プラド美術館とはスペインのマドリッドにある国立美術館で

貴重な絵画が数千点展示されているヨーロッパでも名高い美術館だ。

 

僕はヨーロッパへ旅に行くと、1日を費やして美術館に足を運ぶことがある。

パリのルーヴルやオルセー、ロンドンのナショナルギャラリーなど

有名な美術館には結構足を踏み入れたし、一日の見学者が僕一人だけのような

人里離れた町立美術館などにも足を踏み入れる・・・

プラド美術館はヨーロッパの美術館の中で僕がもっとも好きな美術館だ。

 

ヨーロッパ各国の美術館の良さはなんといってもスケールの大きさ!

さらに田舎町の美術館だと、何とも言えない静寂が宿っている。

どんな美術館でも個性的に『絵画と対話』できる環境が整っているんだよね!

 

ちょっと話を脱線させると、ヨーロッパの美術館はなんとなく

京都の町並に似ていると思う。僕自身の感覚なんだけど・・・

そう・・・京都は僕が『天井のない日本美術館』と称している。

さらに、ベルギーのブルージュという街はまさに!『天井のない美術館』

街全体が美しさを象徴しているような、なんというか・・・

もう言葉には表せない感じ・・・

日本にもそういう所があることはとても恵まれている国なんだなぁ〜と思う。

お〜っと、話を元に戻そう・・・

今回のプラド美術館展ではスケール感も静寂もなく、

ふつ〜うに壁に絵画が飾られといるという印象だった。

仕方のないことだけど、本来の『純粋に絵を楽しむ』ということは出来ず、

人間の固まりと共に喧噪の中で「絵画を見学する」という感じだった・・・

それでも、いくつかの絵画には引き込まれる素晴らしさがあった。

やはり、ムリーリョの「貝殻の子供たち」やティツィアーノの

「アモールと音楽にくつろぐヴィーナス」はあまりにも有名で

間近で見れた感動はあったし、絵画との再会という点で

僕の心を打ち抜いた絵画だったけど、一番感動を与えてくれたのは

ゴヤの作品『魔女の飛翔』・・・

ゴヤの絵のタッチは昔から好きだったけど、初めて見た「魔女の飛翔」には

なぜか絵の前から足が動けなくなってしまう魔力があった。

魔女が踊り狂う場面に・・・

そう、ゴヤの多く作品には視覚的に僕の脳を揺さぶる何かがあるんだ。

「トビアスと大天使ラファエル」などもゴヤの心の釣り鐘が

大いに僕の心を響かせた。

 

僕は、描かれた絵画のように作者の喜びや苦悩をうまく歌に

表現出来ればな〜と常に思っている。

歌は言葉を発することによって、単純に分かりやすさがつきまとうけど、

視覚的な感じ方を奏でることで、僕自身をうまく表現出来ればと思っている。

刺激的な絵画を見ると脳裏に描かれ、目をつぶると鮮明に映し出される。

僕は、マドリッドにある「ゴヤ」という駅のプラットホームに立ちすくみ

ゴヤの描かれた絵画たちを万華鏡をのぞき込んだような魅惑の世界に

再び引き込まれるのだろう・・・

今日はいい夢が見れるかな〜

 

           2006年4月24日 0時55分 自室にて