環境ホルモンに関する本
ホルモンについては性ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど、一通りの知識は持っていました。しかし、ダイオキシン問題でマスコミに登場するまでは「環境ホルモン」は全く知らない言葉でした。その後、テレビや雑誌,新聞等で多少の知識を得て、環境ホルモン、正確には内分泌撹乱化学物質の恐ろしさを知りました。
この夏、立花隆の「環境ホルモン入門」の発刊を知り、早速購入して読みました。私は以前から立花隆のファンでして、彼の著作は多数読んでおり、蔵書も20冊はあります。そんな彼の本ならば読んでも期待を裏切られることはないだろう、と信じていたからです。
そこで、最近の話題でもあることなので、「環境ホルモン」を最初のテーマに取り上げ、「環境ホルモン入門」から入って行きます。
なお、本の紹介は上から順に、書名・著者・出版社・初版発行日・頁数・価格(税抜き)となっています。
「環境ホルモン入門」
立花 隆+東京大学教養学部立花隆ゼミ
新潮社(新潮選書)
1998.7.15
286頁
1400円
本書は三部構成になっており、第一部は日本テレビの笹尾敬子氏との対談(中央公論98.4.掲載を加筆修正)「環境ホルモンは人類を滅ぼす」、第二部は東大・立花ゼミの学生グループが作成した資料集「環境ホルモンの基礎知識」、第三部が著者の「環境ホルモンの真の怖さ」という内容です。
第一部では、ゴミ処理問題からダイオキシン、母乳や食品汚染、それらに対する日本の役所の対応の悪さ、などがジャーナリスト笹尾氏の取材によって語られ、著者が世界で発表されている諸々の現象、精子の減少・生殖器官関係のガンの増加・脳に対する影響からキレる子供の増加、等と環境ホルモンとの関連性についての疑いを提起する、という環境ホルモン問題の総論ともいえる内容となっています。
第二部のいきさつは、著者が「はじめに」で説明していますが、ゼミ「調べて書く」のメンバーで、シーア・コルボーン他の「奪われし未来」を担当した学生たちがまとめたもので、動物や人に対する影響、そのメカニズム、どういう化学物質が環境ホルモンに該当するか、などがかなり詳細に書かれています。また、参考文献、掲載された記事の目録、用語集、ホームページの関連リンク集などもまとめられており、この問題を調べるのには絶好の参考書といえるでしょう。
第三部で著者がこの問題は如何にに重要かについて詳しく語り、それに対して日本の、特に厚生省の官僚の認識と対応の悪さ、日本の政治家の先見性のなさ等を怒り、化学産業界も「結論が出ていない」「科学的に証明されていない」などとPRするだけでなく、新しいビジネスチャンスの到来と捕らえて対応すべきだ、フロンや地球温暖化対策の国際合意のように、環境ホルモン問題も国際的な対応が必要である、と説いています。
環境ホルモンについては、我々は今どう考え、どう行動すべきか、非常に考えさせられる問題ですが、皆様もぜひ本書を読んで頂きたいと思います。
この問題の怖さは、他の化学物質による汚染と違い、胎児の時の暴露(環境ホルモンに晒されること)の影響が、誕生直後に出る場合もあるけど、十数年以上も経って思春期になり、性ホルモンが活発に活動をはじめる時に現れる、ということだと思います。その原因を動物実験では確認されても、人間では証明することが出来ません。また、原因と考えられている化学物質の種類が多く、現在では日常生活に密接に関わっている多くのものが疑われています。一体どうすれば良いのか、皆様方と一緒に考えてみようではありませんか。
第二部には相当専門的な内容まで載っているので、文系の人で、化学が大嫌いで亀の甲は見るのも嫌だ、という人は飛ばして読んでも良いですが、第三部で著者の言わんとすることを理解するには、ざっとでも目を通してください。
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