ちょっとだけ処方箋

サイトを立ち上げてから、一番多くいただくお手紙が「お友達の妊娠や出産を喜んであげられない・・・
そんな自分がイヤ」という、ご自分を責めてらっしゃる内容のご相談です。

その感情は当然だと思うの。
当然の感情だから、ご自分を絶対に責めないで欲しい。

だって、大切な赤ちゃんを失ってしまったんだもの。
自分の赤ちゃんがいなくなってしまって、自分の赤ちゃんを抱っこできないのに、
それなのに、他の方が赤ちゃんを抱っこしてる姿を見たら・・・胸が苦しくなってしまうのは当然だと思う。

立場が違うと、100%理解しあえるのは当然無理かも知れないけれど、
大切なお友達も、貴女の「素直に喜べない・・・」って感情を、理解してくれると思うんだ。
お友達と、またもとの様にお話ができるようになるまで、
時間が必要だったり、何かが必要だったりするのは、当然だと思います。

私自身のお話になりますが、私も当時かなり精神的にダメージが大きくて
親切で気を使ってくれる親友に対してでさえも完全に心を閉ざしてしまっていた状態が数年続いていました。

状況が悪化したのは、たまたま知人から聞いたお話が発端。
赤ちゃんを授かる為に頑張っている天使ママさんが、
別の妊娠中の天使ママさんに対して「素直に応援できない」と言ったという出来事。

言われた方も辛い。言った方も辛かったに違いない。
心からの言葉じゃないということは、同じ天使ママとして分かるから(そう信じたいし)
言われた方の痛みも、言った方の痛みも、両方伝わってきた感じがしました。

その痛み(ショック)は、私を変化させました。

自分がどんな表情で、妊婦さんを見ているのか不安になったのです。
それ以来、私は妊婦さんや赤ちゃん、育児中の親友達からできるだけ離れることに努めるようになりました。
見ないフリ。
感じないフリ。
話さない。話しかけない。

自分から遠ざかる事によって、少なくとも誰かに痛みを与えることはなくなるし
自分自身も痛みを感じる回数は確実に減るだろうから。

そんな状態は、ある意味、旦那や親、親友にさえも毎日のように牙を向いて食ってかかっていた当時よりも
遥かに精神的に酷い状態だったように思います。

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私を救い出してくれたのは、知人の一言。
「赤ちゃんや妊婦さんに触れると、体があったかくなるよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな馬鹿な。
その時は一瞬そう思いました。だって、その当時の私は妊婦さんを見ただけで胸が苦しくなって動悸がしてくるし、
赤ちゃんに至っては、心臓が破れそうになる位見るのが辛い。酷いときは実際にトイレで吐いたりしていたのですから。

だけどその方は続けておっしゃいました。
「私の知人がね、赤ちゃんや妊婦さんをたくさん触って触って妊娠したんだよ。
赤ちゃんからパワーもらったんだよ」って。

彼女のお友達は結構なお年で、お子さんの事は諦めていたらしいのだけど
たまたま妊婦さんや大勢の赤ちゃんと触れ合う機会があって、たくさん接しているうちに
ポコン・・・と妊娠されたらしいのです。本当に奇跡的なご懐妊だったそうです。
無事に出産されたときの笑顔、きっときっと素敵だっただろうな。

そのお話が、私が迷路から出るきっかけになりました。半分は「自分が妊娠したいから」というエゴから
始まったようなものですが(?)、できるだけ妊婦さんや赤ちゃんから目を逸らさずに・・・・
大切なお友達の育児のお話に耳を傾ける事ができるようになったのです。
私的に、一番必要だった「心のリハビリ」でした。

それ以降の事は、ハムライスのコーナーにも書いてありますが
ハムを飼い始めた頃の私は、既に街中で見かけた赤ちゃんに
「可愛いね」と笑顔で話しかけられるくらい、リハビリが進んでいました・・・という事も書き添えておきたいと思います。

時間はかかるかも知れない。
そして、その癒されるため、一歩前進する為に必要な時間は、その人それぞれによってぜんぜん違うと思います。
だから無理はしなくていいと思うんだ。

素直に喜べないときは喜ばなくっていい。

一歩前進した時に、心から、本当に心から「おめでとう」って言う事ができればいいんだと思う。
親友は必ず待っててくれる。
だって親友って、そういうものだろうなぁ・・・と思うから。



ライス