TOP 
RICOH XR-X / XR-M MULTI-PROGRAM


“RICOH XR-X / XR-M MULTI-PROGRAM”

 リコーが金型を一新し(というか、コシナやチノンからフレームを買わないでというか)ワインダー内蔵タイプに移行した最初のモデルです。リコーのSLRは海外モデルは北米向けだけモデル番号が違ったりしますが、ご多分に漏れず、このXR-Xも米国でのみ“XR-M”です(どういうわけか、販売は北米の方が先だったようですが)。
 これは実は意外な理由があって、北米では“X”というと、映画の“X Rated”(成人指定)を連想させてしまうため。日本では“X”というと『謎』を連想させるエキゾチックなイメージがありますが、北米圏ではセクシャルなイメージになってしまうわけです。リコーのカメラの型式で北米だけ“KR”系統があるのも同じ理由です。
 同じ理由で、トヨタ自動車のセリカXX(ダブルエックス)も北米ではスープラで販売されていました(後に、このスープラの名前は逆輸入されて、国内でも次の世代のセリカで使われましたが)。
 ただ、同じ英語圏でも英国は違っていて、欧州向けは普通に“XR-X”になっています。
 あと、リコーのSLRのモデル銘は向かって左側に入って居るんですが、唯一このXR-Xのみ、右下に配置されています。

 Webの記事なんかではリコーのカメラがコシナのOEMだと断言している人もいますが、周辺関係者やリコーの人から聞いた話では、OEMではなくて、ボディ・ダイキャストを供給して貰い、共用可能な部品を買ってきて自社で機能を追加して生産したものが多いようです。終焉期はほとんどコシナですが、初期の頃はご存じのように、チノンと同じダイキャストが主流。もっとも、リコー、チノン、コシナは3社で部品の相互共用をしていたので、どれがどこの生まれなのかはメーカー担当者じゃないとはっきり解らないというのが真相ですけどね(笑)。中にはリコーが更に改造してシグマに供給したSa-1なんてのありますから(中身はXR-7)。これがレンズまで及ぶとさらにヤシカと富岡、トキナー、マミヤまで入ってきます。
 それ相応の開発力が無ければ、ライカのOEM(ライカの安い日本製のフィルム・コンパクトはリコーと松下電器がOEM供給していました。LUMIXのライカ・レンズはこの繋がりなんです)なんか出来ませんし、GRシリーズだって開発できませんよ。

 XR-Xの悲劇は国内で単4グリップを標準でリリースしたことでしょうね。実は単3グリップだとレリーズ・スイッチはきっちり人差し指とフィットします。その為か、後に続くXR-10MやXR-10P系の電池ボックスは単3タイプになっています。


“単4グリップと単3グリップの比較”

 まぁ、わたしもそれに気づいて(というか、カタログか取説に書いてあったような気が....)、以前持っていた個体も早々に単3グリップに替えてたんですが。

 リコーSLRのユニークな特徴としてTV画面を撮影するモードがありますが、実際に搭載されているのはXR-Pと、このXR-X、そして一般にはほとんど流通していないXR-10PFTVの3機種のみです。

“TV露出モード”

 TVモードの設定画面。XR-Xは基本的にレリーズ横の矢印キーと液晶の前にあるスライドスイッチでモード設定を行いますが、唯一、巻き上げモードの変更のみが独立していて、メインスイッチの手前の[C・S]ボタンで切り替えます(取説を一読すると結構わかりやすい操作系だなとわかりますね)。まぁ、完全新規開発なのでこなれていない感はありますが、結構考えている操作系です。
 ちなみに、巻き上げモード切り替えスイッチの下にあるのはレリーズ・ソケット。オーディオ用ミニジャックタイプなので、CONTAX N用が使えるかもしれません(^^;。
 そのTV撮影モードですが、NTSC、PAL、CRTの3モードに対応していて、基本的なシャッタ制御回路はXR-Pと同じそうです。

 この個体は最近安く買った中古なんですが(安いのは訳があって、レンズ取り外しのロックピンのプラ製の頭が無くなってます。無くても困りませんが、見た目がね)、以前持っていた個体はCONTAX 159MMの次に買ったもので、新品では2台目のカメラでした。
 XR-X自体はCRTの画面を撮影する為に買ったんですが、実はその前に持っていたXR-P(ディスコンになっていたため、中古で買いました)でも撮影出来たのを知ったのがつい最近。当時、取扱説明書が入手出来ずに使い方がわからなかったという(^^;。

 あと、リコーのWebサイトの全機種リストの記載も間違っているんですが、国内向けのXR-Xの電源は単4×4です。

 主な緒言は以下の通り

外寸(D×W×H):51mm×142mm(単3グリップ装着時は151mm)×91mm、重量:495g
シャッタースピード:1/2000〜30(sec:AE、〜1/12:Manual)、B、NTSC、PAL、CRT、シンクロ:1/100
ファインダー:視野率 91%、倍率 0.8倍
フィルム感度設定:DX対応、12〜3200
定価(当時):\55,000
国内発売:1987年11月


専用ストロボのPXを装着した状態。
ペンタプリズム部のカバーが別パーツになっていて、なんとなく『蒼き流星SPTレイズナー』を連想してしまいます。
照明窓の位置がなんとなくレイズナーの目に似てるんですよね。


でもって、こちらが“XR-M”。ほぼ新品を入手(2009/09/19)。ついてるレンズは“KR-5”向けの“Riconar 55mm f:2.2”。


at: 2005/10/09(Sun)
Copylight 2003-2009 by Masanori Okie
Any copy, reference and Hyper-link from commercial site (include e-Bay, Yahoo! Auction and any other auction sites) without permission is forbidden (non-commercial site is without this limitation).
商用サイト(特にe-Bay、Yahoo! Auction等のオークション・サイト)からの無許可のリンク、参照、転載は堅くお断りいたします。発見の場合は状況に応じ、ホスティングを行っている企業を含めて損害賠償を請求する場合があります。


TOP