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比較:こんなに違うぞ“FX-3 Super 2000”vs“COSINA C1s”

 随分前から、YASHICA FX-3 Super 2000がコシナのCT1/C1系のOEMであるという風評が流れていた。実際、わたし自身も割と最近まで信じていたし、どちらも1/2000シャッタを搭載するメカ・シャッタ機で機器レイアウトもよく似ていることから、誤解がずっとされ続けていた。
 でも、断言しよう。FX-3 Super 2000はCOSINA C1sとは全く違う。

 つい最近、某巨大掲示板を何気なく覗いていたら、わざわざウチのFX-3 Super 2000のページが引用されて、それを基にOEMを否定する書き込みがあった。
 なんかリクエストされたような気がしたので、こんなページを即席で作ってみた。
 まぁ、資料は持ってるんだから、なんかの役に立てば幸いだ。

 ということで、まずは下の画像を参照してもらいたい。



ぱっと見は確かに似ている“FX3 Super 2000”と“C1s”

 確かに機器の配置などを見ると、両者とも非常に似ている。シャッタ・ダイヤルとシャッタの位置、巻き上げレバーの位置、巻き戻しクランクの位置など。でも実際に計ってみると、両者には互換性が無いことがすぐわかる。
 たとえば、巻き戻しクランクとシャッタ・ダイヤルの中心軸の距離はFX-3 Super 2000が約77mmで、C1sは74mm。シャッタ・ボタンの中心と巻き戻しクランクの位置関係も約2mm違う。
 他にもC1sにあって、FX-3 Super 2000に無い機構があるし、フィルム室もスプロケットの形状等が実は全然違う。

 他にも決定的な差がある。
 下の画像を見て頂きたい。わたしの私見では、両者に共通するのは電池室の蓋のみ。露出計のLEDも動作は同じなのだが、どうも似て非なる物のようだ。



内部構造“YASHICA FX-3 Super 2000”vs“COSINA C1s”

 どうかな? 全然違うだろう? 上がC1sで下がFX-3 Super 2000。まず、すぐわかるのが三脚穴の位置。これだけでダイキャスト・フレームが全く異なることがわかるだろう。だめ押しで、底板を固定するネジの位置も本数も異なる。さらには中身が....全然違う。
 もう、なにも追加する必要は無いだろう。

 実は、C1sの原型のCT1系のCT1G(C1sとは、フィルム感度設定の位置が違う、が、あとは一緒)や、C-1sの電子シャッタ版であるRICOH XR-8 Super、FX-3をベースにするPHENIX DC-303等も入手し、比較画像は撮影しているのだが、この2枚だけで説明には充分だと思う。
 ちなみに、FX-3 Super 2000を持ってる人は是非CONTAX 139 Quartzも入手して、底板を外して比較してみて欲しい。中身のメカこそ異なるものの、ダイキャスト・フレームはまさに直系だということがはっきりわかる。
 逆にCT1系は現在のBessaflexに至るまでそのレイアウトは一緒。

 CONTAX 139系のFX-3/7シリーズと、CT1系は過去から現在に至るまで、金型デザインが交わったことは一度もないのだ。

 ただし、FX-3 Super 2000がコシナの工場のラインで組み立てられていたらしい、ということは、否定する物ではない!

 じゃ、まあ、そういうことで。

(2004/06/13:追記)
 CONTAX 139 Quartz(上)とYASHICA FX-3 Super 2000(下)の底板を外して比較してみた。

 CONTAX 139 Quartzがこの系統の初代で、FX-3 Super 2000のモノクロ京セラロゴ・モデル(上の画像のFX-3 Super 2000よりかなり後に生産された個体で、ボディはクロームシルバー)が最終形態になる(これがコシナに金型ごと渡され、生産委託されたモデルらしい)。
 ボディ・デザインが異なるのでフレームの形状は若干異なるが、巻き上げメカニズムなどに同一部品が使われているため、同じ思想で開発された事が一目でわかる。
 良く見ると、FX-3 Super 2000のフレーム金型が139 Quartzを基本としてヤシカ・スタイルの八角形に設計変更されたようで、その部分以外は全く一緒だ。

 もっとも、電子式と機械式の差があるので、内部の部品数はかなり異なる。


内部構造“YASHICA FX-3 Super 2000”vs“CONTAX 139 Quartz”


(2007/06/13:追記)
 まぁ、さすがに今頃このページを見ている人はそんなに居ないとは思うが....。
 結論から言うと、FX-3 Super 2000には中国製がある。ただし、それは偽物。中身はPHENIX DC-303で、EYEOPTICOMのオーダーでPHENIXがY/Cマウント版のDC303を再生産し始めた頃から市場に出回り始めたらしい。悲しい話だが、EYEOPTICOMのオーダーでY/Cマウント版を作ればそこそこ売れると踏んだのだろう。ベースは1/1000シャッタ搭載のオリジナルのYASHICA FX-3だが、クオリティはとうてい及ばない。
 ML50mm f:1.7の偽物のページにも書いているが、外箱に決定的な間違いがあるので、わかる人ならすぐに偽物とわかるはずだ。
 その後、アメリカのVIVITARやドイツのBRAUNもPHENIXのOEMでY/CマウントのFX-3のコピーカメラを売っている。
 だが、このFX-3コピーのボディは残念ながらホットシューの接点が一本足りないため、ファインダー内にストロボ・チャージ・ランプが無い。

 ちなみに、業界関係者(まだ銀座にショールームがあった頃のヤシカ出身の京セラの人や、若松河田や中野の某カメラ屋さん、ときのんの常連さん等々)の話を総合するとヤシカのFXシリーズはFX-1のみがヤシカ製で、FX-2以降はFX-3 Super 2000に至るまで、ほぼ旧富士光機製(富士フイルムのカメラ製造部門。どこの工場なのかまではわからない)というのが真相らしい。
 ただし、FX-3 Super 2000の後期型(京セラのロゴが黒一色なのですぐにわかる)は委託生産が富士光機からコシナに移管され(これは、中野の某カメラ店の某氏から聞いた話。小林社長が「金型捨てちゃった」と話していた、という話も聞いたな、そう言えば)、同じ頃からレンズもトキナ製OEM品やマミヤ製OEM品に代わってコシナ製OEM品が出回り始めている(それまでY/Cマウントが無かったコシナのMFレンズ群に突如Y/Cマウント版が登場したのもこの頃と推測される)。
 今でもGoogleのキャッシュに引っかかってくる数年前の某巨大掲示板の論争の中に、富士フイルムの名前が全く出てこないのが逆に笑える。
 もちろん、CONTAX S2/S2bも委託生産先はコシナ。ただしベースはSuper 2000ではなく、同じFX-3系の血を引くCONTAX 159MMである。
at: 2004/06/04(Fri)
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