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テクノプラザ岡谷再訪 & 矢鹿光機訪問記

 この記事を書いている一ヶ月くらい前ですが、長野県岡谷市に京セラ岡谷工場(旧ヤシカの本社工場)、から207点寄贈された、という情報がmixiに登場し、10月8日に一度出かけました。

 参考 ⇒ ヤシカ・コンタックス寄贈品の掲示板

 その時は岡谷市役所と駅横のテクノプラザ(小さめの産業展示場と商工会議所、と言ったところでしょうか)に行って、写真をいくらか撮ってきたものの....。なんか舞い上がっていたのか、ML 55mm f:1.2の開放状態で撮影したり、平均測光で撮ってしまい、肝心のカメラが真っ暗に潰れていたりと(^^;、ろくな絵が撮れていなかったので、翌々週末の10月23日に再訪問しました。

 今回はmixi(では別のハンドルですが)で知り合った個人経営のカメラ修理屋さん、矢鹿光機(まぁ、ヤシカのもじりですね。ヤシカは八州光機ですが)さんとテクノプラザで落ち合う約束だったんですが....。

 その日の午前中に以前から行きたかった、ハンス・コパー展(@岐阜県現代陶芸美術館)に寄ってから行くという(^^;。東海北陸道をほぼ全線走破し、中央道経由で岡谷に行くという強行軍で。途中で渋滞に引っかかって(休日の中央道じゃあたりまえなんですが)、着いたのは約束の時間ギリギリ。到着までの行程を話したら、矢鹿光機さんから「あんたバカ?」というような事を言われてしまい、誠に返す言葉もない状態でした。

 ちなみに、「ハンス・コパー展」ですが、わたしは陶芸にはそれほど興味は無く、現代彫刻に近いノリで見に行った次第。いや、やっぱ本物の持つ迫力は違いますね。....っと、それはまた別のお話。

 現在ヤシカのカメラ、特に一眼レフ系の修理が出来るのは日本でも数えるほどしかいらっしゃらないそうで(そのうち看板掲げてやっているのは札幌の小畑カメラサービスさんくらい)、そのうちの大半の方も元ヤシカ岡谷工場で実際に製造に関わり、リタイヤされたあとに趣味の延長線上でやっておられる方だそうです。たぶん、新宿戸山の極楽堂さんあたりもこういうエンジニアの方と個人契約しているんじゃないかな? と推察できます。

 テクノプラザではRTSの初期ロットとそれ以降の見分け方とか、レンズ番号やボディ番号の見方とか書いちゃって差し支えのない物から、ここでは書けないディープなヤバい話までいろいろ教えていただきました(どこまで書いて良い物やら、線引きに悩んでこの記事を書くのにもちょっと時間を要しましたが)。

 ちなみに、ここには極楽堂のO氏も驚いた、581番台のPlanar 50mm f:1.4が複数展示されていますが、元を質せば品質管理用のサンプルで、いわゆるマスターレンズではないもののそれに近い物だそうです。まぁ、工場の品管からの放出品なので、それなりの物の筈なのは容易に想像できますが、性能もオーバーコッヘンのCarl Zeissが保証した折り紙付きのものだそうです。
581番台のPlanar 50mm f:1.4(付けるんならAriaじゃなくてせめて131RTS...) と、ヤシカ製ポラロイド・カメラ(日本国内向け)。

テクノプラザ外側のショーケース(レンジファインダー機が多い)と、室内のショーケース(二眼レフ、一眼レフが多い)。前回無かった説明表示が増えてました。

 その後、岡谷工場の前で記念写真を撮って、諏訪湖をぐるっとめぐって、蕎麦をご馳走になり(蕎麦はやっぱり信州だぜ)、諏訪大社を見学し、当初は予定していなかった矢鹿光機さんの仕事場へ招待していただきました。

 その仕事場、撮影しても良いですよ、とは言われた物の、なんか写るとヤバいものがあったら大変なので、さすがにちょっと気が引けてしまい、今回は遠慮しましたが....。
 いや凄い、部品の山、山、山。

 岡谷市も面している諏訪湖の周囲という地の利もあるんだと思いますが、京セラのサービスから直接入手出来るようで、今となっては結構手に入りづらい新品の交換部品を大量にストックされていました。
 これは札幌の小畑さんのところもそうらしいのですが、特に電気系のパーツは壊れると交換するしかないので、修理保証期間が過ぎて、PL法的にも保有する必要がなくなった部品なんかは処分される前に「じゃぁ、引き取ります」で根こそぎ仕入れてしまうそうです(やっかい払いなので安くなったりする場合もあるとか)。
 まぁ、メーカー側としても廃棄処分費用がかからなくなるので(産業廃棄物は費用を払って処分します)、願ったりかなったりですしね。

 ちょっと手に入りづらくなった交換用の外装パーツや、電装系のアンプ類、壊れやすいメカ系(フィルムカウンターとか)の補修用部品なんかは入手が難しいので、ストックが無いと対応が難しいですしね。
 あと、純正品では問題がある事が判明している部品(スプリングなんかが多いそうです)は自分で図面引いて作っちゃったりもするそうです。
 それから、貼り革は、実はサービスに問い合わせると在庫のある物は意外と安価で手に入るそうです。ヤフオクやe-Bayで高い価格で落札する前に、一度問い合わせてみた方が良いかもしれませんね(ただし、これは時期的には急いだ方が良いかも)。

 ここでも、ちょっと書けないヤバイものも含めていろいろ教えてもらいました。

 あ、そうそう、岡谷市のヤシカのカメラ展示ですが、将来的には常設になる可能性もあるそうです。個人からの寄贈も受けているそうです(ただし、「○○寄贈」とかいう表示をしてくれとかいうのは受けられないそうで)。わたしも多少の足しになればと思い、不動品のFX-Aを矢鹿光機さんに預けてきました。

 カメラの修理というのは技術も必要ですが、それ以前にカメラという機械に対する愛情と情熱がないと出来ない仕事ですよね。
 あと、普通、個人商店の場合、対応できるのはせいぜい十機種前後。それ以上は類似の機構を持つ機種ならばある程度対応できるそうですが(動作復帰...いわゆる応急修理...レベルだともうちょっと出来るらしいですが)、メーカーが違ったりしたら、趣味で修理するレベルでなければ、もう全然ダメ。個人商店で大風呂敷を広げているところは端から疑った方が良いですね(上のリンク先の掲示板から更にリンクが張られている所なんか)。
 それと時間もかかります。個人商店だと一年分くらいバックオーダーを抱えていることもざらにあるそうなので、最初にいつ頃から掛かれそうかは確認しておいた方が良いでしょう。これの返事が出来ない所もダメでしょうね。

 上の写真意外にも、そこそこ撮ってきているのですが、まだフィルムがNXの中なので(以前は半端な撮り方をしてもすぐに現像していたんですが、最近はさすがにフィルムが勿体なくなってきて)、後日追加します(記事も追加するかも)。

at: 2010/11/03(Wed)
Copylight 2010 by Masanori Okie
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