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これから必要とされるもの


 これからの日本あるいは世界の教育に一番必要とされるものはトマス・ゴードンが提唱する「親業」だと感じている。関係無い事だけど、この間本を読んでいて、ゴードンさんはカウンセリングの神様と言われるカール・ロジャースのお弟子さんだという事を初めて知った。 

 先日の新聞に昨年の神戸の少年の事件のその後が報じられていた。その中で本当にそうだなあと思った事は、親は“子どもを厳しくしつける”つもりで体罰をしながら子育てをする。その体罰を受けた子どもは“叩かれるのが恐くて”親に自分の気持ちを喋るなどということは到底出来なくなり、小さい時に必要な“適当に甘える”ことすら出来なくなっていく。

 小さい頃に親に甘える事が出来なかった人間は「甘える」事の出来ない、自分に厳しい人間になる。もちろん人が甘えるのも許せない。人が上手に甘えるのを見ると“甘えるな!”と“厳しく”注意をする。

 人を甘えさせる事が出来る人はそれだけ器が大きいとも言えるし、愛があるともいえる。もちろん人から嫌われるのが恐いから人の甘えを許している人もいるが、そんな人は大抵体にひずみが出ている。

 それはさて置き、「親に甘えられなかった親」も例外なく親に甘えられなかったこどもなのである。だからけっして親の責任などでは無い。親自身もそうされて育って来たのである。「子育て」は自分がされたようにしか出来ないのだから。 

 私は、小さい頃に甘える事が出来なかった愛に飢えた人間の代表的な存在だと思っている。もちろん私の両親も。でもそれが私。しょうがないね。

 で、子育てが下手だけど、だからこそ入った幼児教育の世界で、色々勉強していく中で「とても具体的で誰にでもその気になれば出来るもの」と思ったのが「親業」だった。

 基本的には相手の言葉をオオム返しで言い返しながら気持の受容をしていく。カウンセリングの技法にも通じるものである。

 ああそうか、ここでゴードンさんとロジャースさんが繋がった。なるほど。

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