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「待つ」こと


 何もしないで待つ、という事が出来ない。ある国立幼稚園の先生の言葉。「何もしないでただ待つという事が出来ない子どもばかり。お母さんも、若いお母さんは待つことが出来ない」

 最後の言葉の「若いお母さん云々」というのはちょっと偏見きついかなとも思うけれど。

 確かに、順番に面接を1対1でするために、クラスの子ども達を廊下で椅子に座って待たせると、まず待つ事が出来ない。この場合は特に子ども達が集団になっているから、つい話をしてしまうという気持は分からなくもない。一人ずつだと大人しい子は待てる。

 しかし一人でもとにかく「何もしないで待つことが出来ない子」もいる。常にキョロキョロ見回して、手や足がよく動く。立ったり座ったりも激しい。こんな子は注意をしてもその場だけは直るが、直ぐに又同じ事の繰り返しが多い。

 やはり出来れば、小さい頃から「ただ待つこと」を生活の中で少しづつでもいいから取り入れておくと随分違うと思う。

 例えば、お母さんがトイレに行く間に「お母さんはちょっとトイレに行くから待っててね」と声をかけてから行く。その間に泣いたら「泣いちゃったの。お母さんの姿が見えなかったから寂しかったのね。わかるわかる。でも泣きながらでもちゃんと待てたね。えらいね。ありがとう」と抱っこをする。泣かないで待てたら「泣かないで待てたね。○○ちゃんはえらいね。寂しくなかった?賢かったね。ありがとう」と言う。

 等というような方法で、泣いても泣かなくても、少しづつ少しづつ「何もしないで待つ」ということを取り入れていく。ごみを捨てに行く間なども待たせる。そして、泣いても泣かなくても誉める。そして抱っこをする。その時に泣く事を問題にしない、といったようなやり方で徐々に時間を延ばしていく。

 ただし、小さい頃はお母さんの姿が無いところでは難しいので、家の中で練習するのがいい。

 そして、4〜5歳ぐらいになったら、何もしないで(もちろんテレビも点けないで)10分〜20分ぐらいはきちんとした姿勢でしずかに待てるよう、そういう場をつくっていただきたいと思う。

 電車を待つホームとか、乗っている間なども何も話し掛けたりしないで、ただひたすら黙って乗っている、といったこともいい練習になる。

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