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図形について(2)


 小学校受験の図形の出題という事になると、言葉としては耳慣れないとは思いますが例えば、後ろから見た図、四方からの観察、上から見た図、鏡、同図形発見、異図形発見、回転図形、点図形、対称図形、重ね図形、図形合成、折りたたみ図形、図形の欠所補完、などパッと挙げただけでもこのような種類があります。

 これで13種類といったところでしょうか。でも、初めからこれを一度に理解させようと思うと、それだけでもう焦ってしまいそうですよね。

 それではどのようにすればいいかというと、例えば始めの4つに関しては小さい頃から毎日の生活の中で、お母さんが意識的にその都度言葉をかけておけば自然に身につく事でもあります。 

 鏡などはその最たるもので、毎日の洗面と歯磨きの時に片方の手を挙げたらどのように写るかとか、どっちの耳が隠れているかなどといった、なぞなぞ遊びなどを取り入れられる事をお勧めします。

 また、上から見た図などは、お鍋に蓋をして、それを真上から見たらどんな形に見えたか描いてみるとか、積み木を積んでそれを真上から見るとどんな形になっているか確かめてみる、といった事を少しずつやっていくのもいいと思います。

 同じように後ろから見た図、四方からの観察なども、色々な生活の道具や、自分達を、前後左右から見て「どんな形に見えたか、何が見えたか」という事を、親子で確かめてみる、ということを取り入れたらいいと思います。

 また、考えさせるために「お母さんの右手はあなたから見るとどっちに見えるの?」などという事を質問し、教えるなど。

 また、対称図形は、「うつし絵」そのものだから、時には絵の具で「うつし絵」を楽しみ、片方に描いた形がどんな風にもう片方に写るのかという事を親子で遊びながら教えていくといいでしょう。

 点図形などは、“写真やさんごっこ”などと言って、お母さんが簡単な形を書き、子どもに真似をさせたり、反対に子どもの書いた形をお母さんが真似たり、などの遊びを取り入れていくのも1つの方法です。

 このように、テレビを止めて“形あそび”をするのです。やりようによっては子どもはとても喜ぶので、工夫をしながら“押し付けないで”興味を持たせるように一緒に遊び、3〜4歳ぐらいまでに“図形に対しての基礎づくり”をします。

 そして、最終的に回転図形、重ね図形などほとんどの図形の問題は、問題集を買ってきて少しずつ教えていくということになります。

 この時に心構えとして知っておいて頂きたい事は、子どもは教えたら案外すっと理解しますが、ほんの2、3日もその問題から遠ざかるとすぐに忘れるということがあります。

 でもその“忘れる”という事は、子どもなら当たり前なのだと思っておいてほしいと思います。

 覚えて忘れて、覚えて忘れて、覚えて忘れて、、、、という繰り返しが、受験のその日まで続くと思って頂きたいです。究極言ってしまえば、忘れるから次の事も入るのですから。

 そして、そういう練習をいっぱいした子は“覚える”ということが難なく出来るようになります。  

 また、図形に対して、小さい頃から遊んでいた子どもはそんなにやっきにならなくてもちょっと説明をすると理解をするが多いですが、ただ、上にも挙げたとおり種類がたくさんあるので、ひとつひとつ丁寧に教えていって、理解させることが必要です。また、図形の問題は子ども達にとってはとても難しいジャンルですので、苦手な子が多いのも事実です。

 今の小学校受験の現場で子ども達に要求されている事は“早く、確実に、丁寧に”ということがあります。現場で難しい問題を教えながら、本音としては“小学校受験でここまでやる必要があるのだろうか”という疑問はいつもありました。そういう意味では本当に厳しい現状だと感じています。

 でもこれをやり遂げて自信を付けて、さなぎから孵った蝶のように大変身する子どもがいるのも、また事実です。 子どもにしても、ペーパーを毎日するようになる後半は、いやいややっている時の方が時間的にも多いように思います。それこそ泣きながらやったり、叱られながらやったりという事の繰り返しです。チック症状が出てくる子どももいます。

 でも、そうしてやってきた事が“合格”という1つの“実”になり、親は涙を流して喜んでくれるのですから“自信”のつかないはずがありません。

 蚊の泣くような声で、いつもオドオドしていたような子が“合格”という結果の後は、思わず目を疑いたくなるほど変った例を毎年目の当たりにしてきました。

 そんな子ども達を見てきたから、多少の疑問をもちながらも20年この畑にいたのかもしれないなあと今更ながらに思ったりすることもあります。

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