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もし不合格だったら


 試験はミズモノ。まるでいきもののように。“あの子は絶対大丈夫”と言われていたにも拘わらず不合格だったり“あの子はどうかなあ”って思っていたのに思いがけず合格したり。本当に分からないものです。

 今回は、何年間もその為に準備をしたにも拘わらず不合格だった時に、どのように考えて乗りきり、しかもいろいろ練習したことを「実」にし、親も子も成長することが出来るようにするのにはどうしたらいいか、どういう風に自分も子どもをも納得させて前に進むのか、ということを書いてみたいと思います。

 第一志望の学校に不合格になるということは、本当に悔しく、親子共に落ち込みます。子ども達も小学校受験ということになると“あそこの小学校に行くために、お友達と遊びたいけど我慢をして勉強する。そして頑張る”というはっきりとした目的意識がありますから、発表で不合格だった時は子どももその時にはそれなりにショックを受けます。

 また、2校3校と受験するところを、ことごとく不合格になる場合もあります。

 そんな時にはこっちも本当に辛い気持ちで一杯になります。毎年“小学校ぐらい、子どもや保護者が希望するところに入学できるようにどうしてならないのか?”と思うのが今の季節です。しかし、受け皿が決まっていて希望者がそれ以上いれば、試験をせざるを得ないのは世の常です。充分承知しながら、駄目だった子どもや保護者の様子は本当に胸が痛いです。

 受験の合否に拘わらず、やってきたことを必ず「実」として結ばせるためには、不合格だった時には、そのことを“事実”としてはっきりと子どもに伝えた方がいいと考えます。中には、不合格のことに対しては何も触れないで地元の小学校に入学しますと言われて、その結果を子どもには言わない親御さんもおられます。

 お気持ちは充分分かりますが、子どもには、何時合格発表があってどうなるのかというのは、それまでの親とか周りの人間の言葉でよく分かっています。だから親がそのことをあえて言わなくてもウスウス想像はしています。親がなんとなく隠しているなあというのを感じるから、自分の方からは言い出すことなく時間が過ぎていく、という形でしょうか。

 それも1つのやり方だとは思いますが、それでは何ヶ月〜何年間も親子で一生懸命勉強してきたことが、宙ぶらりんになってしまいます。

 一番大切なことは“試験を受けるために、親子、夫婦が、試験を通して1つの目的に向かって心を合わせて頑張ること”や“例えば「季節」を直に肌で分からせるために、家族で郊外に出かけ、回りの草花や生き物に触れ、その経験を大切にすること”だと理解しています。そしてそのことは、きっと将来において大きな力になります。
 ボール突きが出来るようになるために、お休みの度毎にお父さんと子どもが公園に行き、二人で一生懸命練習をして出来るようになったとする。
 その練習の時のコミュニケーションや、親子の間に流れるものこそが一番大切なものであり、試験の結果がどうであろうと、納得して小学校に進むために、苦しいけれども、不合格という事実をしっかり伝えてほしいと思うのです。

 「お母さんは、あなたは絶対に合格すると信じていたけど駄目だったの。本当に悔しいね。一生懸命に頑張って遊びたい時にも練習したのにね。残念だったね。悔しいねえ!!」などと言って、はっきりと伝え、「どうして駄目だったと思う?模擬テストみたいに、結果を見せてもらうことが出来ないから、考えてみて。どこか出来なかったところはない?」などと言ったりして“子ども自身の心当たり”を尋ねてみるのもいいでしょう。

 そして、子ども自身の心当たりがあれば、“多分そうじゃないか”というような言い方で納得させて「地元の小学校で頑張ろう」と言えばいいのです。「こんなこともあんなことも出来るようになった。ボール突きをいつも公園で練習したね。あんなに一生懸命練習する力があなたにはあるんだよ。○○小学校にはご縁がなくて行かれなかったけど、○○小学校でもきっと色々なことがあると思うよ。でも、苦しくてもあんなに頑張れるあなただから、どんなことがあっても大丈夫。しっかりやろうね。」というような言葉で。

 親御さんの辛い気持ちも20年間見てきました。第一希望に入れなかった人がいない年はありませんでした。

 でも、いつも思うことは、合格した人よりも、辛い経験をされた不合格だった人のほうが、本当に色々“人生勉強”をされ、人間として、親として、一回りもふた回りも大きくなられる場合が多いです。人間の成長は苦しいことや辛いことを通してなされると言われますが、本当にその通りだと思います。

 悔しい気持ちをどこかで発散出来れば一番です。カラオケでもいいし、ゲームセンターで大きなカナヅチを思いっきり叩いてもいいし、買い物を思う存分してもいいと思います。泣きたい人は、誰もいない時に部屋を締め切って、大声で枕を叩きながら泣くのもいいです。愚痴を聞いてもらえる人がいたら、とにかく悔しい気持ちを聞いてもらうことです。私のメール相談なども有効にお使いください。

 1つの目的に向かって、親子、夫婦がこんなに濃密に必死になれるものは、小学校受験をおいては他にはありません。色々なことを必死でやるなかで、子どもは本当に多くのことが出来るようになります。親も、受験をしなかったら経験しないことを沢山学びます。

 その分、絶対に親子共々に、成長しているのです。そのことを確信して、次ぎに向かって欲しい!!と願っています。

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