「結ぶしあわせ」と「切るしあわせ」


                         窪 誠

 みんなしあわせになりたい……よね。みんながしあわせになりたいと思っているのに、世界中のひとたちが、しあわせにならないのはなぜなんだろうか?

 それはね、同じしあわせでも、ふたつのちがうしあわせがあるからなんだよ。ひとつはね、「あなたがしあわせだから、わたしもしあわせ」と感じるしあわせ。みんなは、自分のお父さん、お母さんやきょうだいがニコニコしていたら、自分もうれしくなるよね。ともだちと何かをいっしょにやれたら、そのともだちといっしょに、よろこぶよね。そんなように、人と人が結びついていっしょによろこぶしあわせは、「 結ぶしあわせ」。もうひとつのしあわせは、「あなたが不幸だから、わたしはしあわせ」と感じるしあわせ。学校の成績がともだちよりもよかったら、「 勝った」と思ってうれしくなる。ゲームでもスポーツでも、他の人に勝つのはうれしいよね。イジメられている友だちや、からだや心にしょうがい(障害)があるひとをみて、「自分でなくて、よかった」と思ってしまうこともある。そんなように、他の人が負けたから、他の人が不幸だから、自分はしあわせと感じるしあわせは、「切るしあわせ」。

 「 切るしあわせ」が強ければ、切られてしまう不幸なひとがふえてくる。「 切るしあわせ」のなかでも、一番ひどいのは、戦争です。自分たちのしあわせのために、他の人を殺して、よろこぶんだから。 本当にみんながしあわせになりたいと思うなら、「 結ぶしあわせ」の世界をつくるしかないのです。でも、だれもが心のなかに、「 結ぶしあわせ」を感じる心と、「切るしあわせ」を感じる心のふたつを持っている。だから、「 結ぶしあわせ」を感じる心を大きくして、「切るしあわせ」を感じる心を小さくすればいいんだ。どうすれば、「 結ぶしあわせ」を感じる心が大きくなるのかな。それはね、「ホメホメ大作戦」をはじめるといいんだよ。ともだちやきょうだいのいいところを発見して、「スゴイね」、「ウマイね」、「カッコいいね」と、声に出してホメて、はげましてあげるといいんだよ。みんなホメられたらうれしいもんね。そして、ホメてもらったことをのばすもんね。それから、自分がホメられたら、自分も相手のいいところをさがして、「ホメホメ大作戦」をはじめる。こうすればあなたのまわりは、ホメるひと、ホメてくれるひとがどんどんふえて、「 結ぶしあわせ」が、グングン大きくなるよ。

 でも、自分がイジメられていたり、ツライことがあったときは、がまんして「ホメホメ大作戦」をしなくてもいいんだよ。そんなときは、自分が、自分に「ホメホメ大作戦」をするんだ。「イジメられてもヘコたれない、わたしはエライ」、「ツラクても負けない、わたしはエライ」ってね。
 いつか、どこかで、あなたに出会ったら、あなたのナニをホメようかな。あなたは、ボクのナニをホメてくれるかな。そのときは、うーんとヨロシクね。

くぼまこと/箕面市人権施策審議会委員・大阪産業大学助教(国際人権法)

 

 

 

 


 

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