人権の設計図を創りましょう 

 あなたのために、わたしのために、みんなのために、お届けしてきた、箕面市人権啓発推進協議会の「人権のメッセージ・人権啓発絵本」も、やっと2ケタの発行号数になりました。今回も、障害者問題資料センターりぼん社、人工呼吸器をつけた子の親の会(バクバクの会)のご協力をいただき、さまざまに資料の提供を受けました。感謝するばかりです。また、箕面市人権啓発推進協議会障害者市民問題啓発研究部会メンバーの継続する踏ん張りもあります。こうした、様々なひとたちの透き通った暖かい血潮と、心、汗の結晶として、この絵本は生命を得ました。だから、地域や、職場、教育現場で、この絵本がたくさんのおとな、こどもたちに出会い、夏のスッキリとした青空に、ムクムクと天を覆う真っ白な雲のように、自由に広がってほしいなぁと、心から念じます。

 21世紀は、人権の世紀といわれますが、現実のひとびとの暮らし、こどもたちの生活のなかの「人権状況」がよくなっているのか、悪くなっているのか、サッパリ分からないような事件、事柄が世間にいっぱいです。そのなかで、わたしたちは、にんげん力、人権力と向き合い、時間を食べ、「人権の設計図」を描こうとしてきました。でも、人権の窓は無数にあって、わたしたちがどの窓をのぞいても、その闇の深さに胸が騒ぐばかりです。おとなですら、こうなのですから、こどもたちは、もっと困っているのではありますまいか。だから、わたしたちは、絵本を創るのです。こどもたちに「おとなは、七転八倒しながら、にんげんとはナニか。人権の正体はナニか、と探検と冒険をしているよ」と、メッセージしたいのです。世界や時代は、わたしたちに問い続けています。「ひとでありうるヒューマン・スケールと設計図を創造できましたか?」と。それに応えるために、世界で、日本の各地で、取り組みのオーラの立ち昇るのが遠く見えます。長い時間をかけて「部落解放教育」が実践され、少なくとも「差別をすると、差別されたひとたちが悲しみ、苦しむ。だから、差別をしてはいけない」という気風と文化を危ういけれど創り出せました。でもそれは「悲喜」の悲の部分の設計図でしかありません。「差別をすると、差別をしたひとが、自我を無くしてしまう。そうならないために、差別される側にいるといわれるひとたちとともに、みんなで差別するひとたちを、にんげんとして解き放つことが大切なのだ」という、「悲喜」の喜の設計図を描きあげるまでに、成熟はしていないのです。

 だからこそ、わたしたちは、拙い方法であったとしても、挑戦しなければならないと考えています。まだまだ学び、発言しなければなりません。「勝ち組」や「負け組」などという薄っぺらな人間の幸福設計図ではなく、地域、障害、性、国籍、病、など、数え切れない事柄のなかにこそ、にんげん総体を解放する人権の設計図があるハズだからです。  にんげんは、どのような困難のなかでも、ひととして輝けることを、地震や災害から学びました。その学びをやわらかなこどもたちと一緒に、ふんわり大きくしていきたい。この絵本を、すべてのひとに、春の虹の橋のようにかけ渡したいから、人権の夢を実現させようとしているひとびとに、捧げます!  

箕面市人権啓発推進協議会障害者市民問題啓発研究部会

 

 


 

 

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