開拓の記録 何色の世界?

 『何色の世界?』は、現在、劇団「態変」の主宰者として活躍する金満里さんを中心軸として展開する映像である。彼女はその時、21才。自立障害者集団グループ・リボンに所属し、24時間介護が必要な「重度障害者」としては当時は画期的だった自立(単独)生活を始めていた。

 彼女は、10人きょうだいの末っ子として大阪に生まれた在日韓国人2世である。3才でポリオ(脊髄性小児マヒ)に罹患した彼女は、長い入院生活と韓国古典芸能を受け継ぐ家庭と日本人社会のただ中で思春期を迎え、自分という存在への疑問を次第にふくらませていくことになる。そして1973年、グループ・リボン、日本脳性マヒ者協会青い芝の会との出会いを通して、その疑問への回答を求めるはるかな旅に旅立ったのである。

 『何色の世界?』にはそれらの団体に属する障害者たちのほか、自立障害者集団友人組織グループ・ゴリラ、大阪「障害者」教育研究会の人たちも登場する。障害者たちが、閉じられた世界を脱出して世の不条理を告発する運動を始めると、彼らは「友人」という、それまでになかった障害者との関係性を前面に打ち出して共同行動を進めた。

 前作『カニは横に歩く』が、障害者という存在そのものも障害者問題という意識そのものも密閉された場からの「大脱走」の記録だとしたら、『何色の世界?』はその後、理念としての「障害者の自立と解放」を具体化し、新天地を開こうとする「開拓史」と言うことができるだろう。