鮎の一生 |
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鮎は別名「年魚」と呼ばれています。 春先に現れて晩秋にはいなくなるその生態から、一年をその一生とする魚と言う事からつけられた名前です。
稚魚の時代は海で生活し、3月頃4〜5cmに成長すると河口に集まり、川を遡上し始めます。 海にいるときは主にプランクトンを食べて成長します。 川に入ると、河口付近では川虫などの小昆虫を主食としながら遡上し、7〜8cm位になると、石についているコケ(珪藻)だけを食べるようになります。 鮎はコケだけしか食べないと思われている人も多いと思いますが、河口付近の流れの緩いところでは石が泥をを被っていたり、砂地であったりして、鮎の好物である良質のコケが生えません。 鮎は已む無く水生昆虫を食べて生活します。成魚になっても、大水の後コケが流されて食べるものがなくなると、水生昆虫を食べます。 若 鮎の主食であるコケ(珪藻)はたんぱく質、繊維質、ミネラルなど栄養豊富で、鮎はコケを食べ始めると急激に成長し始めます。初夏から秋にかけての強いひざ日と水温の上昇でコケの成長が促進され、鮎の成長環境が整います。 この頃から鮎は自分の食糧を確保するために、良質なコケのつく石を中心にナワバリを持ち始めます。 成 魚 ナワバリを持った鮎は良質で豊富なコケを食んで、逞しく成長し20cm以上となります。鮎にとっても、釣り人にとっても最も華やかな時です。 落ち鮎 立秋を過ぎ、日が短くなり水温が下がり始めるとオスは精嚢が発達し、メスは卵巣が成熟して卵を持ち始めます。卵巣の成熟に従って鮎の腹の中は卵で一杯になり、オス、メスともコケを食べる量が減ってきます。 産 卵 産卵場所は主に下流域といわれています。下流域と言うと河口付近を指しますが、鮎の産卵場所は川底に石の多い中流域から砂泥の多い下流域にうつる境界付近です。あくまでも清流を好む鮎は河口付近の泥の多い所では産卵しません。 細かい砂のある中流域に近い所を選んで産卵します。 例えば小河川で河口付近まで急流が続く川では、河口付近の砂場が産卵場所となりますが、利根川の様な大河川では河口から500〜600km離れた前橋付近と言われています。 産卵場所に集まった鮎はオスが5〜10匹密集して、体を振るわせながら川底の砂を掘る。 メスが近づいてくると、一匹のメスと数匹のオスが一塊になって砂地の中で激しくもみ合いながら産卵と受精が行われる。このとき激しい砂煙と水飛沫が起こり、受精卵は砂粒に付着して川底に沈み、砂で覆われる。 孵 化 受精卵は2週間位で孵化し、砂の層を抜けて水面近くへ浮き上がり海へ向かって下り始める。 孵化して暫くの間は腹の部分につけた卵黄を栄養源とするが、海へ入る頃には体長1mmとなり、プランクトンを食べ始める。 サビ鮎 産卵を終わった親鮎は殆ど体力を使い果たし、黒く痩せて骨ばった体形となり川の流れに任せて河口から海へと落ちていく。 大半が鳥のえさになってしまう。 運良く海まで流れ着いてもスズキや他の魚の餌になってしまう。 下流域の砂地で生まれ海にくだり、再び川を上って約半年で数百キロにも及ぶ旅をした後、来年の子孫を残し、やせ衰えて死んでいく鮎の一生は、正に「年魚」の名にふさわしく1年間で終わります。
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