探訪・・・東京湾アクアライン
ゴルデンウィークの中日、まぶしいほどの好天である。
どこか近場へ、と考えていたところ、横浜に「汽車道」(旧貨物線跡地の遊歩道<map>)ができたというので、出かけることにした。
ただの往復ではもったいないので、往きは、まだ通ったことのないアクアライン経由とし、車がたまたま手元にないのと、混みそうなこともあって、バスに乗ることにした。
木更津発、川崎行きの路線バス(ルートマップ)は、20人ほどの乗客をのせ、内陸側の国道16号線を千葉側に向かってしばらく走り、やがて袖ヶ浦バスターミナル着。
ここは市が設けたパークアンドバスライド用の連絡施設。有料道路の料金が高いせいもあって、ここに車を置いてバスに乗り換える乗客が多い。
となりの羽田空港往きのバスストップは黒山の人だが、こちらには余り乗ってこない。
さて、バスは、アクアライン連絡道を経由して、いよいよ、木更津側約5kmの橋梁部へと入り、海上を快調に走りぬける。
やがて、海上パーキングエリア「海ほたる」に停車。アクアラインを走るバスには多くの系統があるが、海ほたるに寄るのは、川崎駅と木更津、袖ヶ浦駅を結ぶ便だけ。
GW休みのせいで、駐車場に入ろうとする車が本線近くまで路側に並んで規制されている。バスは、その列を横目に、海ほたるのバス停へ停まった。
海ほたるは、家族連れの観光客などで大混雑。さすがに一大観光スポットというだけのことはある。場内のレストラン、なぜかあるゲームセンターなどは芋の子を洗うよう。
最上階の5階デッキにでてみると、一応遠望は利くが、さすがに富士山などは目を凝らしても見えない。羽田空港の航空機の離発着が思いの外、近く見える。
「東京湾アクアライン」であるが、
ご存じのとおり、今から4年半前の1997年12月に開通した巨大な海の道。
路線名は、一般国道409号、全長15.1km、4車線の有料道路。
公共事業をめぐる議論の中でも注目を浴びている存在である。
この事業のスキームは、民間も入った第3セクターである東京湾横断道路株式会社が建設し、工事完成後、これを所有主体である日本道路公団に一括譲渡。
同社は運営主体でもある道路公団から対価(建設費用)を供用後長期分割で受け取ることとなっている。いわゆるPFI方式のうちのBTO(build>transfer>operate)方式とされる。総事業費は、工事中に大幅に膨らみ、利息込みで約1兆4400億円、1メートル1億円と言われる。
開通当初の交通量の見込みは、3万3000台/日から開通前に2万5000台/日に下方修正されたが、結果は約1万台。
普通車4000円という料金がネックとなったことから、開通2年半後に、償還年次の延長など資金スキームなどを見直して、25%値下げ、普通車3000円となった。
これにより、約3割通行量が増えたとされる。
しかし、地元からは、さらに値下げの要求が出されており、検討が始められている。
川崎方10kmの海底トンエルは、特段変哲はない。口径14.14mの大断面シールドトンネルも、大型バスから見ると、それほど大きく感じない。
やがて、首都高湾岸線や最近開通した川崎縦貫線などとのジャンクション、浮島に到着。さすがにあっと言うまである。
この道路の開通により、川崎〜木更津間の所要時間が3分の1の30分になり、観光需要なども喚起されたとされるが、事業そのものの現時点での評価は必ずしも定着しているとはいえないようだ。
公団自身が委員会を作って発表した「事業事後評価 中間報告」でも、
「・・・・大幅な時間と距離の短縮を実現したものの、物流面での利用は低調、・・・
バス利用が約100便/日と多く、人の流れは約4万人/日と好調。
既存の京葉道路や東関道の代替路として首都圏の南回りバイパスの役割も果たしつつあるがまだ不十分。
・・・巨大な社会基盤施設の効果は数十年以上に及ぶ。
東京湾周辺の地域構造の再編に貢献するよう、長い将来を見据えて、有効活用を図るための方策を積極的に講じることが重要。・・・」
としている。