・・・逆立体
(01年3月)


 3月3日深夜、場所は練馬区中村陸橋、放射7号線目白通りとの立体交差が、道路の跨線橋から鉄道高架に変更された。4車線もある大規模な道路との交差変更、しかも道路の仮設二重立体の切り替えは余り例はないかもしれない。昭和46年に西武池袋線の連続立体が決まり、そのときから予定されていたものの、今回30年越しで完成した。
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 そもそも逆立体とは、すでに立体交差になっている構造を文字通り逆の方式に変更するもので、今回と同じく道路の跨線橋を鉄道高架に変更するケースが多い。過去にも、総武線の連続立交に伴う小岩の柴又新道、小田急線狛江市内の世田谷通り、東武伊勢崎線などでもあった。

 小岩では、道路の陸橋時に縦断勾配の関係で交差する蔵前通りも勾配になっていたが、これは逆立体後にも残されてしまった。中央線では、青梅街道との立体交差がすでにあったJRが、逆立体を避けて、鉄道が地平のままに残された荻窪では、踏切はないものの、駅構内で市街地が分断され、現在に至るまで地元の不便はこのうえない。

 一方、鉄道同士での逆立体という荒技だってある。東急二子玉川駅では、計画が未熟だったのか施工技術が優秀なのかしらないが、玉川線と大井町線の、コンクリートで作った構造物同士を逆に切り替えるなどというすごいのもやっている。東急ではほかにも旧目蒲線改良関連など数多いが、同社は面倒な切り替え工事を得意とするのであろう。

 昨年実施された、品川駅構内で貨物の引き込み線との交差のため高架だった新幹線を地平に降ろした工事なども珍しいタイプの逆立体といえるかもしれない。また、過去に一度、東武亀戸線と京成押上線との逆立体が企画されたこともあった曳舟駅付近では実現せずじまいである。


 都市内の踏切は交通渋滞の元凶で、早期立体化の要請は強い。しかしわざわざ逆立体工事をするのは、もかかるし、できれば避けるに越したことはない。混雑箇所を優先し段取りも大変、費用て急いで道路の単発立体をやるか、頑張って連続立体に取り組むか、長期的視野にたち都市側と鉄道側が検討する必要がある。東京都内では、小規模だが陸橋のある東武東上線、JR中央線八王子市内などが今後の課題となろう。


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