クラミジア・ニューモニエ抗体 IgA、IgGの解釈 三菱油化検査より |
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クラミジア・ニューモニエに対する青年期以降の健常者の感染既往率が高く(報告によっては60%以上)、単なる“陽性/陰性”の判定のみでは初感染との鑑別が困難である。
■IgAとIgGの組み合わせ判定の解釈■判定基準 新旧対比表
■IgAとIgGの組み合わせ判定の解釈
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クラミジア抗体の認められる症例は、 虚血性心疾患が起こりやすい
近年このクラミジア・ニューモニエによる持続性感染が、 機序は明らかではないが、虚血性心疾患の引き金になるという傍証が挙げられている。 1773人の英国中年男性を13年間追跡し、その血液検査からクラミジア・ニューモニエ感染と虚血性心疾患の関係を調査した。その結果、20.6%の男性にIgA抗体の上昇がみられ、これらの症例では、他の危険因子を補正して比較した場合でも、虚血性心疾患の発生率が有意に高かった。 odds ratioでみた場合、致死的な虚血性心疾患の発生率は抗体の検出されなかった症例の1.83倍にのぼった。また血漿粘稠度と抗体価には正の相関がみられたが、抗体価と虚血性心疾患発生率の間に相関は認められなかった。IgG抗体では、IgAのような発生率の差はみられなかった。 クラミジア・ニューモニエの持続感染は、何らかの機序で虚血性心疾患の発症に関わっているものと考えられ、将来は発症リスク推定の指標となる可能性がある。 |
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クラミジア・ニューモニエ感染症の現状 メディカルトリビューン感染症版より抜粋
クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae;以下C.pneumoniae)感染症は世界的に蔓延しており,欧米では成人の抗体保有率は40〜50%と言われる。わが国の抗体保有率は欧米より高率で,5 歳以降に急激に保有率が上昇し,15歳以上で約60%と報告されている。高齢者では抗体保有率はさらに上昇し,約70%にのぼるという。1999年10月14日 (VOL.32 NO.41) p.21 ・IFN-γが著明に上昇 ・サルコイドーシス,気管支喘息にも関与の疑い サルコイドーシス合併患者の抗体保有率は正常対照群や他の疾患(ベーチェット病など)を合併した内因性ブドウ膜炎患者より高率であり,特にIgM抗体保有率が他の群に比べて有意に高率 今のところC.pneumoniaeのみが強く関与している証拠はないが,持続感染で抗原刺激が持続することにより,病態を修飾する有力なファクターとして働いているのではないか ・動脈硬化症との関連 “Presence of viable C.pneumoniae is a common phenomenon” 92年にShorらが電子顕微鏡で冠動脈のアテローム病変部にC. pneumoniaeと見られる構造物を発見 93年Kuoらが冠動脈アテローム病変部からPCR法と免疫染色でC.pneumoniaeを検出 96年にRamirezら,97年にJacksonら,98年にMaassらが冠動脈病変部と頸動脈病変部からのC.pneumoniaeの 分離培養 ・動物モデルへの抗菌薬投与で有効性を確認 C.pneumoniaeを経鼻感染させ,無処置群とマクロライド系のアジスロマイシン投与群とでコレステロール食餌による動脈硬化促進実験、アジスロマイシン投与群で動脈硬化の頻度が少なかった。 ・欧米で臨床試験が進行中 Guptaらのstudyで,心筋梗塞の既往を持つ男性220例をC.pneumoniae抗体陰性群,中等度陽性群,高度陽 性群に分け,さらに高度陽性群を無治療群,アジスロマイシン投与群(500mg/日を 3 〜 6 日),プラセボ群の 3 群に分けて平均 1 年 6 か月間観察した。観察期間中に冠動脈になんらかのeventが生じたのは抗体陰性群で 7 %,中等度陽性群で15%,抗体高度陽性で無治療群は30%,プラセボ群で25%だった。しかし,抗菌薬投与群のevent発生率は抗体陰性群と同等だった。ちなみに,アジスロマイシンは非常に半減期が長いため,通常 3 日間の投与でよく,安全性も高いとされる(わが国では来春発売予定)。 |
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