【肺真菌症の臨床】 肺カンジダ症(抜粋) 吉田耕一郎/二木芳人 川崎医料大学呼吸器内科 臨床と微生物 27(2):031-034 2000.3 |
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●病 態 肺カンジダ症は種々の要因により宿主の免疫能が低下した状態で発症する.すなわち,表11に示すように血液悪性腫瘍や各種固形癌,コントロール不良の糖尿病,重度の熟傷の存在,あるいはエイズなどが主な基礎疾患となる.加えて,副腎皮質ステロイドホルモン,免疫抑制剤,抗痛剤などの使用が大きな誘因となり,感染防御の中心をなす好中球やマクロフアージなど食細胞の減少や質的異常,また液性免疫の破綻などをきたした状態で発症する.さらに長期間に及ぶ広域スペクトルの抗菌薬投与は正常な細菌叢を破壊して菌交代現象を招き,カンジダの増殖,さらには感染発症を助長する. 肺カンジダ症は主に,C.albicans, C.tropicalis, C.paraposilosis, C.krusei, C.glabata,などが原因菌種となるが、これらはヒトの口腔内や消化管,皮膚などに常在し,日和見的に内因性感染を引き起こす.肺へのカンジダの感染経路には2つの経路が考えられる.すなわち口腔内に常在するカンジダの誤嚥による経気道的感染と,中心静脈留置カテーテルを介する,あるいは消化管,尿路カンジダ症などを侵入門戸とする血行性感染の2つである. 口腔内カンジダの誤頓による嚥下性肺炎としての肺カンジグ症は,嚥下にかかわる反射機能の低下した高齢者や長期臥床中の意識障害愚者あるいは術後患者などで特に問題となる.この場合,口腔内の一般細菌や嫌気性菌の重複感染も十分考慮にいれて治療にあたる必要がある.また血行性感染経路で生じた肺カンジダ症は,カンジダ血症の一分症として他臓器にも同時多発的に発症する可能性がある.このため全身の播種性カンジダ症としてとらえる必要がある. ■臨床像 呼吸器系のカンジダ感染症は,気管,気管支に限局する気管支炎型と,肺炎,肺膿瘍などを形成する肺実質型に分類できる.いずれも特異的な症状はなく,咳嚇,喀疾,発熱など一般的な呼吸器感染症状を認める. 後者では,血行性散布により肺病変を形成した場合には胸部]線写真上,小粒状陰影の多発など,特徴的な所見の認められることがあるものの,一般にカンジダ肺炎特有の画像所見はなく、 細菌性肺炎との鑑別は困難である. さらに肺カンジダ症例では細菌性肺炎を合併することが多く,このような例では炎症反応などの臨床検査値や画像がさまざまに修飾を受けることにより,肺カンジダ症の臨床像がより複雑になる場合があり,注意を要する. 表1肺カンジダ症発症の危険因子 宿主側因子 血液悪性疾患,各種固形癌,重症糖尿病,膠原病,慢性腎不全,熟傷,気遣損傷,中枢神経系疾患,長期臥床中の高齢者など 宿主側因子 a.薬剤投与:副腎ステロイドホルモン,広域スペクトル抗菌薬,抗癌化学療法,免疫抑制剤など b.検査,処置:気管支鏡,気管内挿管,気管切開,各種留置カテーテル(血管内,尿路)など c.手 術:開胸,開腹手術,臓器移植など 二本芳人ほか:肺真菌症の基礎と臨床 肺カンジダ症.臨床と微生物20 : 163-168, 1993.から引用. (一部改編) ■診断 感染症の診断は病原微生物を病巣から分離・同定することが原則である.肺カンジダ症の場合も同様にカンジダの分離に努力を惜しんではならない.しかしカンジデは口腔内の常在微生物であるため,喀痰培養で分離されてもそれだけでは原因微生物と確定することはできない. 病巣以外の口腔,気道での汚染を避けるため,気管支鏡を用いて局所から無菌的に気遣分泌物や気管支肺胞洗浄液を採取する必要がある.また,このような方法で採取された検体では培養でカンジダを分離する以外に,病理学的に菌体を証明することで肺カンジダ症の診断がある程度可能であり,有用な診断法といえる. さらに経気管支的肺生検で病巣にカンジダの浸潤,増殖像を証明することは診断上,きわめて有用である.しかし,肺カンジダ症を発症するような宿主においては,その全身状態の不良さや出血傾向などから気管支鏡を用いた侵襲的な検体採取が実施不能な場合も少なくない. そこで補助珍断法として,衰2に示すようないくつかの血清学的診断法,遺伝子診断法などが開発され,すでにその一部は広く臨床応用されている.現在,わが国で臨床使用可能なカンジデ症の血清学的診断法はカンジダ抗原検出系ではCAND−TECとPASTOREX Candida 2法がある. 表2 肺カンジダ症の血清診断法
CAND−TECは易熱性糖蛋白抗原を,PAS−TOREXCandidaはマンナン抗原をそれぞれ標的検出物とするラテックス凝集法である.CAND−TECは半定量的な抗療測定が可能で,治療効果の指標としても用いられている.しかし感度,特異度ともに問題があり,特に偽陽性の多く認められる点が臨床応用に際して混乱の元となっている. PASTOREX CandidaはCAND−TECと比較してさらに感度の低いことが指摘されている.マンナン抗原の血中からの半減期が短時間であることから,繰り返し測定することが肝要であるとされる.また,カンジダの特異的代謝産物であるD一アラビニトールを標的検出物とするラボフィットも使用可能であるが,本法は高い特異度を示すものの満足する感度の得られない点と,煩雑な手技を要する点が問題である.昨今では,研究室レベルで遺伝子診断法としてPCRを応用したカンジデ症の診断が試みられている.すでに良好な成績も報告されているようで6ゝ 今後,臨床への応用が期待される. 他方,真菌に共通の主要な細胞壁構成成分の一つである〈1−3)β一D−グルカン(以下β−グルカン〉の測定は,わが国では広く臨床に用いられ属特異性は示さないものの,深在性真菌症の早期診断にはすでに高い評価を得ている.定量的な測定が可能で,肺カンジダ症においてもきわめて早期から高値を示すことが知られており,治療経過との相閑も良好である.本法で肺カンジダ症の確定診断をすることはできないが,深在性真菌症のスタリーニング,早期診断,あるいは診断確定後の経過を追う目的においては有用性が高いと考えられる.
■治 療 現在,わが国で深在性真菌症に対して使用可能な抗真菌薬はamphotericinB(AMPH〉,flucytosine(5−FC),miconazole(MCZ),Fuconazole(FLCZ),itraconazole(ITCZ)の5薬剤に限定される(表3〉. 表3 現在わが国で深在性莫菌症に対して使用可能な抗真菌薬
トリアゾール系のFLCZには経口と注射の2剤型があり,投与法にかかわらず高い血中濃度が得られる.カンジダに対し強い抗菌活性を示すことが知られており,副作用も比較的少ないことから,肺カンジダ症治療の第1選択薬と考えられている.しかしC.kruseiやC.glabataは本来FLCZ(ジフルカン)に耐性傾向がありがあり、これらによる感染症の増加が最近問題となっている.この場合にはこれらの菌にも比較的良好な抗菌活性を有するITCZを選択する場合もある. ITCZ(イトリゾール)もトリアゾール系の抗真菌薬で,優れた体内動態を有し,肺への移行性もきわめて良好であるため,肺カンジダ症に対して十分な有効性が期待できる.ただし剤型が経口剤に限られ,内服不可能な患者や,消化管の吸収不良を認める患者では使用に限界がある. また,ポリエン系のAMPH(ファンギゾン)は現在,上市されている抗真菌薬中,最も幅広く優れた抗菌活性を示し,その作用様式も唯一殺菌的である.肺カンジダ症に対しても有効であるが副作用が強く,その出現頻度も高いので,empiric therapyや第1選択薬としては使いづらい点もある.肺カンジダ症においてAMPHのはたす役割は,アゾール系薬が無効,またはその使用が不可能な場合の第2次選択に限られてきている. 一方,血液悪性腫瘍の症例など,真菌感染症のハイリスク患者では,アゾール系抗真菌薬の予防的内服やempiric therapyが広く行われているようであり,カンジデ感染発症の抑制や予後の改善効果などにそれなりに寄与しているものと考えられる.FLCZを中心とするアゾール系抗真菌薬の肺カンジデ症に対する有用性は,現時点では高く評価できるが,すでに一部ではアゾール耐性のC.albicansの増加も問題となっており,新しい抗真菌薬の開発が滞っている現状では,アゾール系抗真菌薬の使用は慎重になされるべきである. 新しい診断法や治凍薬の開発,臨床応用によって,肺カンジデ症は早期診断に基づいた適切な治療を行うことが可能となりつつある.このため,本症が直接の原因となって症例を失うことも少なくなってきている.しかしアゾール耐性菌の出現, non albicans Candidaによる感染症の増加など 新たな問題の浮上も指摘されており,今後の動勢 が注目される. |
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真菌症の治療−アメリカ感染症学会のガイドライン− 河野 茂 長崎大学医学部教授 日本医師会雑誌124(11)1597-16022000.12.1(抜粋) |
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はじめに 真菌症の診断と治療は一般に困難であり,EBM(evidence based medicine)に基づく客観的なガイドラインの作成が模索されていたが,肝心のエビデンスが少なく,今までは作るのが躊躇されていた.しかし,最近になってヨーロッパのEuropean Organization of Research andTreatmentofCancer(EORTC)や,アメリカ感染症学会(IDSA)が真菌症の治療のための臨床実地のガイドラインを発表した.また,わが国でも深在性真菌症の診断と治療に分けたガイドラインの作成が模索されている.本稿ではIDSAのガイドラインについて概説する. T.ガイドラインのEBMと抗真菌薬 真菌症は,AIDSなど高リスク患者の増加と臓器移植や抗癌化学療法など医療の進歩に伴う免疫不全患者の増加のため,近年さらに問題となっている.このような状況でガイドラインの必要性が強く認識され,IDSAは,EBMとして1,000以上の論文と40人以上の専門家の意見を参考にして,今年,ガイドラインを発表した. その根拠となった引用論文の質をカテゴリーやグレードにより格付けし,ガイドラインとして推薦する根拠の判断基準として示している. 米国では現在10種類の抗真菌薬がFDAに認可されている.わが国では半分の5種類のみである.この大きな違いはアムホテリシンBの3種類の脂質製剤(アムホテリシンBリピッドコンプレックス,リボソーム封入アムホテリシンB,コレステロールサルファイトアムホテリシンB)や,アゾール系抗真菌薬であるケトコナゾールなどが日本では認められていない点である. 1.アムホテリシンB 1960年に市販され,現在でも頻用されているポリエン系抗真菌薬であるアムホテリシンBは,その使い方について種々の意見がある.たとえばアレルギーを予測するための試験的投与はあまり役立たないとされており,むしろ初回投与は注意深く観察しながら点滴静注を行うことが勧められている. 投与量に関しては,糖尿病性ケトアシドーシス患者に合併する鼻脳ムコール症や好中球減少患者の侵襲性肺アスペルギルス症などのきわめて重篤な深在性真菌症では初期投与から1〜1.5mg/kgのアムホテリシンBの投与を推奨している.一方,慢性に経過し,それほど垂篤でない大部分の深在性真菌症では,初回投与は予定されている最高用量の半量を投与し,2日日から最高用量を投与することが勧められている. また,点滴時間に関しても1〜2時間の速い点滴と,3〜6時間の持続点滴では副作用の頻度や程度も変わらないとしている.ただ,クレアチニンクリアランスが25ml/min以下の腎機能が低下した患者や高カリウム血症の患者,1mg/kg以上の高用量を投与する患者,中心静脈栄養(IVH)のカテーテルが右心房まで達している患者などでは急速な点滴はすべきではない. アムホテリシンBによる副作用で最も問題となる腎障害をできるだけ防ぐための方法として,血管内体液量を保つため利尿薬の使用を制限し,500〜1,000mlの生理的食塩水をアムホテリシンBの点滴前に投与することが推奨されている.もちろん腎毒性を示す造影剤や非ステロイド系消炎薬,アミノ配糖体薬,シクロス ポリン,タクロリムスの併用をできるだけ避けることが必要である. また,静注に関連した副作用である発熱を防ぐため,前投薬としてジフェンヒドラミンやアセトアミノフェン,ステロイド,ヘパリンなどが用いられるが,多くの患者はアムホテリシンBに次第に慣れてくるため,これら前投薬をルーチンに投与することは勧められない.もし発熱や悪寒が続くならばメペリジンやイブプロフェン,ダントロレンが選択される. 2.アムホテリシンB脂質製剤 脂質製剤の適応は欧米ではきわめて重要で,@抗真菌薬で治療中にクレアチニンが2.5mg/dl以上になってきた腎障害や,AアムホテリシンBの静注に伴う発熱や嘔気,嘔吐などの副作用がそれらを軽減するための前投薬や併用薬にかかわらず,強いか持続する場合,BアムホテリシンBを総量500mg投与しても真菌症が改善しないとき,などとされている. なお,アスペルギルス症やムコール症のように免疫不全患者に発症する侵襲性の重篤な糸状菌による深在性真菌症では,初期治療として選択する専門家もいる.この適応に関してわが国では,まだすぐには必要とされていないが,移植症例などで発症する深在性真菌症に対し,海外からの特別な輸入により投与されている事例もあり,この適応は参考となる. 3.フルシトシン(5−FC) ピリミジン系抗真菌薬のフルシトシン(5−FC)(アンコチル)はカンジダ属とクリプトコックスネオフオルマンスに抗真菌スペクトルが限られ,皮疹や嘔気,嘔吐,下痢,肝障害,骨髄抑制などの副作用と,治療中に耐性化しやすいことなどにより使用が限定されている.しかし,クリプトコックス髄膜炎やカンジダ症のなかでも心内膜炎や髄膜炎,肝脾カンジダ症に対して,アムホテリシンBとの併用で用いられる.その用量は100mg/kgとやや少ない用量で,腎機能による補正が必要となる. 4.アゾール系抗真菌薬 アゾール系抗真菌薬にはミコナゾール(フロリード),フルコナゾール(ジフルカン),イトラコナゾール(イトリゾール)があり,抗真菌スペクトルが広く,副作用も少なく大変使用しやすい薬剤である.特にフルコナゾールは高い生物学的利用率と高い水溶性,低い蛋白結合率,脳脊髄液や尿などへの高い組織臓器移行性と長い半減期により,体内動態の面では理想的である. しかし,アゾール系抗真菌薬は他薬剤との相互作用が問題となる.@消化管からの吸収の低下やアゾールの代謝克進により,アゾールの血中濃度が低下する.また,AチトクロームP450を介して肝臓での代謝が変化し,併用薬の血中濃度が増加し,他薬剤の副作用が出る,などが知られている. さらに耐性菌の出現がアゾールの問題として知られている.フルコナゾールが予防投与や治療に用いられる機会が増加し,フルコナゾール耐性カンジダ属や非アルビカンスのカンジダ属が血中から分離される頻度が増加し,特にAIDS患者では口腔カンジダ症でのフルコナゾール耐性が問題となっている. U.カンジダ症に対するガイドライン カンジダ血症や播種性カンジダ症では,アムホテリシンBの点滴静注やフルコナゾールの点滴ないし経口投与を行い,重症例ではフルシトシンの併用を考慮する. 1.カテーテルと治療選択 可能であればTVHカテーテルの抜去を,特に好中球が減少していない患者の場合には行うべきである.好中球減少患者では消化管からの播種が重要な感染源になるが,IVHカテーテルを留置していれば,どちらの可能性も否定できない.ただ,Candida parapsilosisが分離されれば,カテーテルを感染源と考えてよい. わが国ではまだ認可されていないが,欧米ではイトラコナゾールのハイドロオキシプロピルβ−シクロデキストリンによる静注製剤を400mg/日(分2)を2日間投与し,その後200mg/日の投与を行う. これら疾患では敗血症の症状を呈し,多臓器に病変を形成することが多く,カンジダ性眼内炎や晩期の血行性播種に注意し,十分な経過の観察が必要である. フルコナゾール400mg/日とアムホテリシンB 0.5〜0.6mg/kg/日の効果は同等と考えられている.安定した状態でアゾール系抗真菌薬による最近の治療歴がない患者ではフルコナゾール≧6mg/kg/日で治療を開始し,臨床的に不安定な患者ではアムホテリシンB≧0.7mg/kg/日を投与することが多い. 2.各種カンジダ属による治療法の選択 菌種別の治療法として,Candida albicans, C.tropicalis, C.parapsilosisによるカンジダ症ではアムホテリシンB 0.6mg/kg/日かフルコナゾール(ジフルカン) 6mg/kg/日が選択される.C.grabataの場合は感受性が低いため,アムホテリシンB≧0.7mg/kg/日か,あまり重篤でなければフルコナゾール 12mg/kg/日が選択される.C.kruseiの場合にはアムホテリシンB lmg/kg/日が選択される. 3.治療の開始時期と治療期間 好中球が正常な発熱患者で播種性カンジダ症疑われる場合にエンピリックセラピーを開始する時期としては,@無菌的でない複数の検体でカンジダの定着がみられるとき,A長期間の抗菌薬の投与が行われている場合,BIVH留置や腹部手術後などの患者の場合,などでは侵襲性カンジダ症のリスクが高く,治療開始のタイミングとして考慮される. 治療期間に関しては,カンジダ血症では症状や兆候が改善し,血液培養の最後の陽性日から2週間は治療を継続すべきである.もちろんアムホテリシンBからフルコナゾールへのスイッチ療法は可能であり,好中球減少があればG−CSFやGM−CSFを投与する. |
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抗其菌薬の薬剤感受性試験 抗真菌薬の感受性試験は抗生物質ほど確立されておらず,米国のNCCLSが標準法として知られ,酵母状真菌に対してはM27−A法がアゾールの感受性試験として認知されている.しかし,本法もアムホテリシンBやクリプトコックスに対する感受性には有用ではない. 感受性試験が有用な場合は,血液などの無菌的な検体から分離されたカンジダ属のフルコナゾールに対する感受性を検討する必要があるときや,無菌的な検体からのカンジダの定期的な感受性検査によるエンピリッタセラピーの参考にするとき,さらには粘膜カンジダ症が従来の治療に抵抗性のため感受性を知りたいとき,などである. 一般にほとんどのカンジダ属はアムホテリシンBに感受性であるが,Candida glabrataやCandida kruseiはやや感受性が低く,アムホテリシンBでも最高用量が必要といわれており,治療上きわめて重要な情報となる. さらに,感受性(sensitive)と耐性(resistant)の中間の新しいカテゴリーとしてS−DD(susceptible−dose/delively dependent)という概念が提唱され,これらに対しては最高用量の投与と良好な生物学的利用率が治療の成功のために重要と強調されている. すなわちフルコナゾールの場合には1日投与量が12mg/kgで治療すべきであり,初期投与量として1日量の倍量を投与するのが望ましい.イトラコナゾールの場合には消化管からの吸収が予測しにくいため,血中濃度が500ng/mlに達するようにすべきである. |
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注)酵母真菌薬剤感受性キツト(極東製薬工業) 『ASTY(Antifungal Susceptibility Testing of Yeasts) 4薬剤』説明文書より 近年、醇忠真菌による深在性真菌症は、エイズ、悪性煙霧、曽髄移植、臓器移植等の日和見感染症として増加傾向にあります。また各種抗真薗剤に対して、単剤、または多剤耐性の菌株ガ分離され治めたことガら、酵母真薗の薬剤感受性試験の必要性ガ高まつてきております。 1992年、NCCLSよりmacro dillution法を測定原理とする薬剤感受性試験法ガ勧告されました(1997年よりM27-A)。 しかしながらこの測定法は、macro dillution法であることから操作性が煩雑であることと、またMIC憤の判定法濁度法であるため、抗真菌剤の大半を占めるアゾール系薬剤にあいて薗発育終末点(80%菌発育抑制)の判読が不明瞭であるという問題がありました。 そこで本品ではこの問題を解決するため、薬剤乾燥固着マイクロプレートと酸化還元指示薬を用いたcolormetric broth microdillution法を採用致しました。これにより簡便かつ高精度の薬剤感受性試験を行うことガ可能になりました。 【キツト構成】
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