健康増進法施行1年 ビジネスマン・OL意識調査
「禁煙・分煙」が進んでいるのは「病院」、遅れているのが「路上」
JAMA日本語版 TOPICS 2004年5月号 
  健康増進法が施行された昨年5月以降、交通磯閑や金融機関の環境が改善されたが、居酒屋や路上は旧態依然としている−とビジネスマンやOLが感じていることがダイキン工業(本社・大阪市)の調査で明らかになった。
最も「禁煙・分煙」が進んでいると思う場所は「病院」で、最も遅れているのは「路上」。また今後の対策や在り方について喫煙者は「喫煙場所の設置」「分煙の徹底」を挙げたのに対して、非喫煙者は「たばこの値上げ・増税」「路上喫煙の禁止」を求めるなどそれぞれの立場による意識の速いが明らかになつた。

 同社は2002年から「空気」をテーマに「現代人の空気感調査」を行っている。今回は、健康増進法施行を機に公共の場で喫煙が大幅に制限されたり、一部の自治体が路上喫煙禁止条例を施行するなど、喫煙に対して厳しい対応が目立ったことから、1年後の「空気環境」の実態を探った。調査は3月21〜23日、全国のビジネスマンとOL各200人を対象にインターネットで行った。回答者は平均年齢40歳(男性41.5歳、女性38.5歳)。

受動喫煙の防止義務「知らぬ」6割 
健康増進法の認知度は、「詳しく知っている」はわずか0.8%、「法律の中身も少しは知っている」も1割強で、それに「名前だけは知っている」を加えると5割を超える程度だった。また多数の人が集まる場所では「受動喫煙」の防止が義務付けられたのを「知っている」のは約4割、「知らなかった」が約6割と多数を占めた。

 昨年5月以降空気が「非常にきれいになった」と「少しはきれいになった」を合わせた割合でみると、「空港」(68.3%)、「新幹線や特急電車」(67・0%)が続く、次いで「金融機関」と「駅や敬のホーム」が各54.3%で続き、5位は「役所や学校」(53.3%)。逆に改善が進んでいないのは「居酒屋」(4,0%)、「道路〈路上喫煙〉」(7.3%)、「そば・うどん屋」(9.5%)、「喫茶店」(9.8%)、「寿司店」(13.0%)だった。

「禁煙・分煙対策」については、「進んでいると思う場所」は約2割が挙げた病院が1位で、1割前後の駅、オフィス、電車内、飲食店が続く。逆に「十分でない施設」としては3割強が挙げた「路上」が最も多く、「居酒屋・飲み屋」「飲食店」「オフィス」トパチンコ店・遊技揚」が続く。

 次いで職場で「崩も空気がきれいな場所」は、4割弱が挙げた「自分が仕事をしている部屋」がダントツで、「トイレ」、「廊下やエレベーターホール」、「受付フロント周辺」、「更衣室や給湯室」などを1割前後が挙げた。「最も汚れている場所」も「自分が仕事をしている場所」で、ほぼ同率の「会議室一商談宴」ともに2割前後が選んだ。前項で紫煙・分煙の評価がオフィスで分かれており、「自分が仕事をしている部屋」の状態が最も気になる様子がうかがえる。

半数以上のオフィスが完全な禁煙・分煙
 オフィスにある空調設備は、「換気扇」(75.5%)、「吸煙装置」(40.8%)、「空気清浄機」〈30.8%〉と「必ずしも十分な対策がとられているとはいない状況」だった。自分が仕事をしている部屋で何らかの「禁煙・分煙対策」をとっているのは76.1%で、その内訳は、「全面禁煙」〈40、3%〉、喫煙室が密閉されている「完全分煙」(16.8%)、喫煙室が密閉されていない「不完全分煙」(16.0%)、喫煙時間帯を制限した「時間制禁煙」(3.0%)だった。執務室以外で禁煙・分煙対策が実施されているのは「トイレ」(75.1%)、「応接室」(53.3%)、逆に「会議室・商談室」は半数以上で対策が実施されていなかった。

 今後の禁煙・分煙への取り組みについて意見を求めたところ、喫煙者からは、「禁煙場所の設置」「分煙の徹底」「喫煙者のマナー向上」などに加え、「たばこの販売禁止」という意見があった。中には「禁煙税を作る」「煙が出ないたばこの開発」「免許制」という回答もみられた。一方、非喫煙者からの意見は「値上げ・増税」が最も多く、「路上喫煙の禁止」「喫煙場所の設置・喫煙場所の指定」「全面禁煙」「禁煙違反者には罰則を科す」と厳しい。さらに「喫煙者は病院へ収容」「毎日吸い続けると病気になるたばこを販売する」といった意見もあった。

受動喫煙は有害、飲食店従業員保護を
 今回の調査結果について禁煙広報センターは、産業医科大学、大和浩助教授の談話を発表した。大和助教授は「健康増進法と厚生労働省、人事院の新ガイドラインにより、公共施設、官公庁、一般企業の事務室はほぼ禁煙となった。屋内で喫煙できない人たちが、昼休みや勤務時間後に路上や飲食店で喫煙していることが調査結果に反映されている。屋外であっても受動喫煙は有害で、路上喫煙は禁止すべきだ。

 換気状態の悪い飲食店での受動喫煙曝露濃度は、厚生労働省の評価基準の10倍以上に達することが我々の調査で分かった。喫煙席を部屋や階で分ければ、顧客の受動喫煙は防止できる。しかし、従業員は喫煙席にも立ち入らねばならないので、飲食店で働く非喫煙者の健康を保護するためには欧米同様、全席を禁煙とするしか手段はない」と指摘する。

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