大阪府医師会報 vol334 平成16年9月号 あとがき
3月に大相撲・大阪場所を見に府立体育館に行った時のことです。席に案内してくれる人から「たばこを吸いますか?」と聞かれ、当然、禁煙席に案内されるものと思いました。確かに、着いた升席の灰皿は持っていかれました。しかし、隣の席には灰皿があり、家族連れのお父さんはビール片手に、チエ−ンスモーキングで、隣の私たちはたっぷりと受動喫煙をすることになりました。

「たばこを吸いますか」と聞かれたのは、ただ単に灰皿が必要かどうかを確かめられただけだったのです。健康増進法施行後に、日本の国技である大相撲が、何ということだろうと思いました。

 その後、監督官庁である支部科学省から分煙を検討するように通達があったようで、7月の名古屋場所では「節煙にご協力を」と書かれたポスターが張られ、9月以降の東京・国技館での大相撲は「全席禁煙」にするという発表がありました。

 ご存じのように、日本医師会は「禁煙活動」を積極的に進めており、医療機関、医師会館の全館禁煙や医療関係者の禁煙を推進しています。大阪府医師会館も昨年4月から全館禁煙となっており、この6月には、全国の都道府県医師会館で全館禁煙でないのは4つのみとなっています。また、医師会員の喫煙率は、2002年に男性27.1%、女性6.8%だったのが、現在は、男性16%、女性4%にまで減っています。

 本年6月に、日本は「たばこ規制枠組み条約」を批准しました。同条約は、たばこによる健康・社会・環境・経済に及ぼす破壊的な影響から現在及び将来の世代を保護する日的で、昨年5月にジュネーブで採択されたものです。8月10日現在、168カ国が署名し、25力国が批准しています。条約は批准国が40カ国に達してから90日後に発効して、5年以内にたばこ広告の全面禁止または制限、未成年者の自動販売機利用不可などの措置が実行されます。

 最近では一見してたばこの広告と分からないような、複雑なポスターが見受けられます。また、明らかに若い女性をタ−ゲットにしたピンクのきれいな包装のものもあり、警告表示とは相反するものが目に付きます。全体の喫煙率が減っているのに、若年層のそれは増えてきています。テレビで若い、格好いい俳優がたばこを吸うシーンを極力、流されないようにして欲しいものです。「キムタク」に禁煙してもらうように、手紙を書いて説得してみようかなと真剣に考えています。    (中川)

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