医師の喫煙率
男性で有意に減少,女性は微減
medical Tribune 2005.3.17
 日本医師会員の喫煙行動について調査している日本大学社会医学講座の兼板佳孝氏らは,2000年の前回調査時に比べ,2004年には男性医師の喫煙率は27%台から6ポイント近く有意に減少していたものの,女性では有意な減少は見られなかったと報告した。20〜39歳の女性では微増しており,一般人口における喫煙行動と同様の傾向が認められた。喫煙に対する態度では,男女ともに「医師は立場上喫煙すべきでない」,「患者は喫煙すべきでない」と考える人が増加していた。

「喫煙すべきでない」意識は増加
 調査は日本医師会(日医)からの委託研究。日医会員からランダムに4,500人を抽出して自記式無記名調査票を配布,有効回答の3,633人(男性2,432人,女性1,201人)を解析した。

 その結果,男性医師の喫煙率は21.5%で,2000年調査の27.1%に比べ有意に減少。特に40歳代や60歳代,70歳代以上で有意な減少が認められた。女性医師の喫煙率も5.4%と2000年の6.8%から減少したものの有意差はなく,20〜39歳の若年層ではごくわずかながら喫煙者が増えていた。

 診療科別では,泌尿器科,外科,産婦人科などで喫煙率が高く,小児科や呼吸器科で低い傾向にあった。

2000年調査と比べると,男性では内科,外科,耳鼻咽喉科で,女性では小児科で,有意に喫煙率が低下していた。

 喫煙に対する考え方では,「医師は立場上喫煙すべきでない」と考える人が男性74.5%,女性80.4%と,いずれも2000年調査時より有意に増加していた。「患者は喫煙すべきでない」と考える人も男性49.4%,女性52.2%と,前回調査より禁煙を積極的に考える医師が増えていた。

 患者への禁煙指導については,禁煙するための時間的な目標を設定したり,禁煙教材を与えたり,禁煙外来を紹介したりと具体的に禁煙指導を行う医師が有意に増加していた。

一方で,「禁煙指導は時間がかかる」,「カウンセリングに診療報酬が付かない」と問題点を指摘する医師も増加しており,禁煙指導を評価する体制整備の必要性が示された。

 日医は2003年に「禁煙推進に関する日本医師会宣言(禁煙日医宣言)」を出し,医師会館の禁煙化や会員の禁煙を推進している。


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