低ニコチンタバコは安全か?
週間医学界新聞 2005.3.21
第14回日本禁煙医師歯科医連盟総会 第1回日本禁煙学会2005.2.26-27
記事抜粋・・・・
 現在,2020年における日本人の死亡原因として,COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は第3位,肺がんは第6位になると予測されており,これらの呼吸器疾患は大きな問題となっている。

 武田英紀氏(杏林大)は,喫煙習慣のあるCOPD患者の診療において,最も有効かつ最優先されるべき治療は禁煙であると強調。喫煙は肺がんとも高い関連性があることから「患者の禁煙支援は臨床医の責務」と述べた。

 また,市販されている低ニコチンタバコについて,ブレンドの変更によるニトロサミン類の増加だけでなく,喫煙者が煙をより深く吸う傾向があるので,末梢の細胞が発癌物質にさらされやすくなるといった問題を指摘した。

 続いて登壇した埴岡隆氏(福岡歯大)は,歯科・口腔外科の立場から口演。昨年10月から試験販売がはじまっている「ガムタバコ」について,普通のタバコと違い,口腔粘膜が有害物質に直接高濃度でさらされる可能性があり,舌がんや口腔がん,咽頭がんの発症につながりかねないと指摘した。

 同製品については,これまで日本禁煙医師歯科医師連盟が緊急シンポジウムを開催するなど,その危険性を訴えている。氏は「ガムは食品衛生法の対象であり,成分にニコチンやタバコが含まれている以上,同法によって規制されるべき」と強調した。

 最後に登壇した座長の古賀氏は,喫煙が脳,精神に与える影響について発表。タバコの匂いによって,経時的にα波が減少していくことや,Flicker testの結果でも喫煙により注意力が低下していることが示唆されたという。

 氏は最後に「禁煙指導にはガイドラインやチーム医療でのアプローチが必要である」と述べ,今後の課題とした。


もとにもどる