小泉首相らに禁煙推進の要望書を提出
2005.6.20 日医ニュース 1051号
 櫻井秀也副会長は、五月三十一日の定例記者会見において、当日が世界禁煙デーであることに因んで、小泉純一郎内閣総理大臣・谷垣禎一財務大臣・尾辻秀久厚生労働大臣・中山成彬文部科学大臣・河野洋平衆議院議長・扇千景参議院議長・石弘光政府税制調査会長・津島雄二自由民主党税制調査会長に宛て、国民の健康を守るための禁煙活動の推進に向けた要望書を、国民医療推進協議会として提出したことを明らかにした。

 要望書は、四月十五日開催の国民医療推進協議会総会において採択された「国民医療推進協議会・禁煙活動推進方針」に異体的対策などを加筆したものを掲げ、本方針の実現に向けて協力を求める内容となっている(別掲)。

 櫻井副会長は要望書を示しながら、たばこ価格の引き上げをうたった三番目と四番目の項目を強調して説明し、「たばこ価格を引き上げると喫煙者は減少するが、それに比例して税収も減るとの一部の見解を打破したい」と訴えた。また、記者の質問に答えて「たばこ税のみではなく、税部分以外も含めた、たばこそのものの価格を大幅に引き上げるのが望ましい」との意見を述べた。

 今後の予定としては、小泉首相をはじめ関係各機関に対して働きかけを行うとともに、医療関係者の禁煙推進にも引き続き力を入れていきたいとし、最終的には、国民の喫煙率をゼロにすることが目標であると述べた。
要望書
 国民医療推進協議会は、去る4月15日開催された国民医療推進協議会総会において、「国民医療推進協議会・禁煙活動推進方針」を決定しました0この決定に従って、全国各地で国民医療推進協議会が開催され、咽民の健康を守るための禁煙活動の推進」が全国的に展開されました。
世界禁煙デーに因んで、下記の「国民医療推進協議会・禁煙活動推進方針」実現のために、ご尽力賜りますよう要望いたします。

国民医療推進協議会・禁煙活動推進方針
1・「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」は、平成17年2月27日に発効した。本条約には、たばこ価格(たばこ税)の引き上げ(第6条)、受動喫煙の防止(第8条)、たばこの警告表示の強化(第11条)などの規定がある。これらの対策を誠実に実行することが、本条約の締約国の一員としてのわが国に求められている。
2.我が国の喫煙率は低下傾向にあるが、諸外国に比して、依然として高い水準にある。たばこ対策としては、喫煙が健康に及ぼす悪影響について、たばこパッケージの警告表示を文字表示するだけでなく、図や写真などで具体的にわかりやすくはっきりと明示して知識の普及を図ることはもちろんのこと、受動喫煙の防止、あるいは未成年者の喫煙防止のために禁煙教育の推進、自動販売機に対する規制の強化などが重要である。
3. 世界保健機関(WHO)からも示されているとおり、たばこ価格の引き上げは、たばこの消費、とくに未成年者の消費を減少させるための最も有効で、かつ費用対効果の高い方策である。
4. たばこの価格を2倍にした場合には、喫煙者が2〜3割減少することが分かっている。従って、たばこによる健康被害を被る人が減少するだけでなく、たばこの売り上げ総額は増加するので、国、地方行政の税収も増えることになり、一石何鳥もの 効果が得られることになる。国民の健康を守る立場から、たばこ価格の大幅な引き上げを実現するよう強く要望する。併せて、当該税収を国民の健康のための施策の財源に充てるよう、要望する。

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