禁煙と分煙   市立貝塚病院長 川崎勝弘
府医ニュース 2005.12.14 勤務医の窓より
最近は、ほとんどの公共施設や交通機関で禁煙・分煙となり、以前に比べて、たばこの煙に悩まされる機会は減ってきました。当院でも、数年前に全館禁煙にしましたが、その時の議論の中で、病気と闘っている喫煙者の唯一の楽しみを奪うのはいかがなものか、との意見が通り院外に喫煙場所を設けました。

 ところで、分煙の意義とは何でしょうか。
分煙とは、喫煙者の権利を守るためのものなのでしょうか。私はそうではないと考えています。
たばこの害から人を守るために起こった のが禁煙運動であり、その一環としての分煙ですから、自己責任の上での喫煙は認めるものの、周囲の人々の受動喫煙を防止することが本来の意味であるはずです。

 私は長年、電車通勤をしていますが、大抵の駅は構内禁煙になっていてプラットホームの片隅に喫煙場所が設置されています。ラッシュ時には、多くの人々が集まってたばこを吸っているのを目にしますが、そこには「喫煙コーナー」 と書いた表示があるだけで、何の囲いも仕切りもありません。

その日の風向きによっては、大量の煙が電車を待っている人々の万に流れてきて、従来以上の煙害を被る羽目になることがあります。また、喫煙コーナーからかなり離れたベンチに座って吸っている人もいます。

 喫煙者のマナーの悪さもさることながら、おざなりの喫煙コーナーを設置した関係者にも、本来の分煙の意義をいま一度考え直してもらう必要があります。

 「禁煙は自分を守るため、分煙は他人を守るため」。


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