嘆きのバスルーム

「部屋が掃除してない!」
部屋にいってみると、髪の毛が一本、バスタブに。
ホテルの説明。
「シャワーカーテンについていたのが、乾燥して落ちたようです」

「バスルームのドア、どうして開けるの?
 押してもだめ、ひいてもダメなの」そのドアは、引き戸で、横にスライドさせるものであった。

フランスやイタリアなどのバスルームにあるビデ。
女性用の洗浄器。
はじめて見た人いわく、「この国では、つれションするのか」 赤ちゃん用のお風呂として、利用した人。
スイカを冷やした日本人も。

「トイレが壊れている」聞いてみると、便座を上にあげたとき、 止まらないで落ちてくるという。
ちょっとした設計ミス。外国のトイレでは時々ある。ホテルでは見かけないが、 レストランでは便座のないトイレも。
トイレの水を流すのは、押すか引くか。
とってが壁にあったり、洗面台のふちにあったり、 小さなボタンだったり、大きなレバーの場合も。
上からぶらさがったひもを引くタイプは、さすがに見かけなくなった。


「トイレの水が流れない」軽くタッチするだけの設備に慣れている日本人。
そのつもりで、軽くひと押ししただけでは、 思うように流れないことも。そんな時、とってを持ってしっかり下まで。
しばらく押さえておくと、シャーと流れていく。 カタカタと、何度か押してみると、流れることも。
「トイレが詰まって、あふれそうです」ホノルルのホテルで、ツアー客から電話。
ハワイでは、大量のペーパーを使うと、おこるハプニング。
バスルームに、こんな注意書きが。 「当ホテルでは、市条例にしたがい、節水のため低水流トイレを取付けております。
多量のペーパーまたは異質物を流しますと、 トイレが溢れ、およびつまる原因となりますのでご留意下さい。」
「お湯が出ません!」お湯が出ないケースもさまざま。
出るのは出るけれど、熱い湯が出ない場合。お湯用と水用のレバーがあれば、一目瞭然。
ところが、最近目につくのが、 ひとつのつまみで水量と温度を調整するタイプ。
レバーを引いただけでは、適温のお湯がでてこない。左右に回して、温度調節を。

日本人グループがホテルに到着。いっせいにバスルームへ。
タンクのお湯が急に消費されて、温度がさがってくることが。
「時差をつけて、入浴タイム」もうひとつ、お湯の出ない状況。というより、お湯が出せない状態。
操作レバーがかたくて、 力をいれなければ、まわらない。
「パワーのあるメイドさんが、掃除したのでしょう」  「シャワーの出し方がわからなくて、昨夜はシャワーを浴びませんでした」
ホテルによっていろいろなボタンやレバーが設置。 常識的にわかるものもあるけれど、ちょっと見かけないタイプも。

ベルギーのホテル。
蛇口を左方向にまわすと、 シャワーが出るようになっていた。
その、シャワーの切り替えレバーが、シャワー側になっていておこるハプニング。
バスタブにお湯をためようとして、最初のシャワーの水は、ホースにたまっていたものがでてくるので、冷たい。
適温になるのを待って浴びないと、悲鳴。反対に、熱湯が出て、悲鳴ということも。
バスルームの床が、ベチャべチャに。
「シャワーカーテンのすそが、バスタブの外に出ていましたね」

「バスタオルがありません。うさぎ跳びをして、水を切っています」
客室から電話。「バスルームの上のほうを見てください。棚の上にあるはずです」
すこしして、「カーテンの陰に、ありました」 ゴムマットは、バスタブの中に敷いて、転倒しないために。
布製のバスマットは、バスタブの外において、ぬれた足を拭くために。

「居眠りは洪水の始まり」時差で、ちょうど眠くなるころ。
入浴しようと蛇口をひねる。お湯がいっぱいになるまでのつもりで、 ベッドに横たわる。
そのままぐっすり。気がついたら、部屋が洪水に。
床のカーペット、階下の天井のパネル交換などで10万円から 40万円くらいの弁償が必要になる場合も。
休業補償の部屋代を請求された例もある。居眠りだけでなく、長電話も洪水を呼ぶ。
バスタブにお湯を出しながら電話。ついつい長電話になり、ふと気がつくと大洪水。
ホテルの中には、バスタブからあふれるお湯の イラストを入れて、「2分で満杯になります」「バスタブに、お湯がたまらないんですが‥‥」
栓を開閉するレバーの調子が悪く、 完全にはまらない。
何度か、カチカチとやって、最後に指で押すと固定できることも。
栓を抜くときも、ちょっと隙間ができたときに、 手で持ち上げると、うまくいく。
オーソドックスなバスタブの栓。どういうわけが、チェーンだけが残っている。
ゴルフボールで代用したり、ガムテープで栓をして入浴。これを見て、ツアー客。
「必要は発明の母、ですね」

連泊している カナダ・バンクーバーのハイヤットホテル。
「部屋が掃除していない」との連絡。部屋に行ってみると、掃除はしてあるけれど、 タオルが交換してない。
タオル掛けに掛けたまま。バスルームに、こんな文ではじまる案内カードが。
「毎日、洗濯に回されるタオルの量は世界中のホテルを合計すると何トンになるか想像もつかないほど膨大です。
‥‥」 つづく長い説明のあと、「・浴場内やシャワー室内に残されたタオルは“取替え”を意味します。
・タオル掛けに掛け直されたタオルは “再利用する”を意味します。
環境保全のため、この2種類の意思表示をお使い分けくださるようお願いいたします。」
この、タオルの交換方法、全世界のホテルにひろがり、常識化しつつある。
その一環で、石鹸が液体ソープになり、 固形石鹸は小さくなり、歯ブラシやかみそりの消耗品が部屋から消えつつある。

韓国ソウルのホテル。
「当ホテルでは地球を公害から守るための環境保護の観点から決定された政府の施策に従い、使い捨ての洗面用品等の無償での提供を 取りやめさせていただくことになりました。」
ミニバーの棚においてある洗面用具セットの販売価格。 歯ブラシ・ペーストのセット 1000ウォン(約120円)。かみそり 1000ウォン。シャンプー・リンス 2000ウォン。
 クリーニング屋さんが教えてくれた、洗濯物を早く乾かす方法。
「洗濯したTシャツや靴下を、バスタオルにくるんで、 その上から足ふみしましょう」

パリの高級ホテル。
マッチ箱のような小さな石鹸を手にして、宿泊客。 「いくら環境保護のためとはいえ、ビジネスホテルみたいで、さみしいね」