おいしいのがお好き

その国の人が普段食べているものを、その国の人に混じって食べる。これが、旅先での食事の醍醐味。
店選びのポイント。 地元の人たちで込んでおり、外から中が見え、メニューが店の外にでている所。
「女性客が多い店は、おいしい」という説も。 いい店を見つけ、好みのメニューに遭遇するのは、外国人には難しい。
おいしそうなものを食べている人がいたら、同じものを注文するという手も。
「料理名を聞いて、旅の思い出に」 ウェーターやウェートレスには担当テーブルがきまっている。
用事があるときは、軽く手を上げて意思表示するか、目であいず。 レストラン中の視線が集中した、ウェーターの呼び方。
「ヘーイ!」 海外で歓迎されない、もうひとつの方法。 「手打ち」 テーブルマナーの心は、
「相手に不愉快な思いをさせないこと」 片足をイスの上にあげたり、イスのうえに胡坐をかいて座るのはマナー違反。
東南アジアの国々では、お皿やスプーン・フォークが汚れていることが。
ウェーターに交換してもらっても、日本人の目からみると同程度。
他のテーブルの地元の客が、紙ナプキンや布ナプキンで、汚れをぬぐっている。
「郷に入れば郷に従え」

ベルギーのレストラン。
ウェートレスがビールをテーブルに置き損ねて倒してしまった。食事中の客のズボンにかかる。
ガイドがすぐにナプキンを持っていき、謝る。 「あんたが謝ることはない。
悪いのは、ウェートレスなんだから‥‥」 粗相があっても、海外では、即座に、素直に、誠実に謝るひとは少ない。
中国の東北地方。
紹興酒をたのむ。食堂になかったので、近くの酒屋から買ってきた。
燗をしてくれるようにたのんだところ、 でてきたのは沸騰して、すっかりアルコールが抜けた紹興酒。
しかたなく、それで乾杯。ツアー客が、しみじみと言った。
「旅のみやげ話が
  「サルー イ アモール イ ディネーロ!」(健康と愛とお金に!)
東京の帝国ホテルで、「20世紀と帝国ホテル」というロビー展があった。
昭和33年(1958)のバイキング事始め。
インペリアルバイキング「お好み・食べ放題」が、約60種のメニューで昼が1200円、夜が1500円。 かけそば30円、大学出の初任給12800円の時代。
帝国ホテルの宿泊料は1800円だったという。
帝国ホテルが名づけた「バイキング」、欧米ではバフェと呼ばれている。

アメリカのホテル。
「ホエアー・バイキング・レストラン?」で通じなかったので、 「イート・エブリシング・レストラン」といったら、すぐに案内してもらえたツアー客。 永六輔さんの『商人』(岩波新書)に、こんな一文が。
「エー、バイキング料理を召し上がるお客様に申し上げます。
 お料理を取りに行く際、 テーブルにお帰りになる際、 どうぞ走らないで下さい」
 ☆バイキングといえば海賊。
走りまわる日本のバイキング作法は、本当は、  伝統的で、正しいという説もある。
 料理を盛り上げて平気で残す行儀の悪さも‥‥ バフェは、沢山の料理が並んでいる。
最初から順番に皿に盛っていくと、「富士山盛り」になってしまう。
さっと一巡して、料理をチェックしたあと、食べたいものを選ぶとよい。
「まず小皿で前菜、次に大きい皿にメイン、そしてデザートを」
「バフェでは、お皿が空にならないとおかわりできないのですか?」
バフェは、おかわりは自由。少しずつ盛り、お皿を替えて、何度でも。
残す場合は、「行儀が悪い」といわれない程度に。
「コーヒーが、出ないんですが‥‥」 バフェ会場においてあるコーヒーサーバーのつまみを、一生懸命ねじっている男性。
つまみを手前に引いて、コーヒーを出す方式。 力の強い人だったら、壊れていたかも。
甘いも辛いも、旅の味覚。

エジプトの郷土レストラン。
受け取りかたも、さまざま。
「どうして、こんな味付けにするんでしょう!」 「この国の人は、こんな味が好きなのね」
海外で見聞した、レストランの係員が二の句が継げなかった日本人旅行者の発言。
中国のいなかのレストランで、ビールが3元(約45円)と聞いて、 「何で、こんなに安いんだ。水で薄めているんではないか」
フの入っている味噌汁を指さして、 「鯉のエサを食わす気か」
食事が終わって、飲み物代を係が集金にきた。
「白ワインを頼んだのに、赤ワインがきた。だから、払わない」
「でも、飲んでおられるじゃないですか」 「サービスだと思った」
これらの発言は、異国の故か、お酒のせいか、日本では、まず聞くことはない。

欧米では、食事に時間がかかる。 特に、オーストラリア、カナダなど人口が少なく、
広大な大地の国では、大陸的な気質でサービスもゆっくり。
店に入ってすぐに頼んだワインが、前菜のスープやサラダのあとに来ることも。

待ちくたびれた客。
「ワイナリーまで買いに行っていたの?」 注文したビールが、なかなかやってこない。
そこで、もう一度確認の意味で注文。すると、ダブって2本きてしまった。
時には、ビールは一本しかこなくて、代金が2本分請求されることも。

一方、アジアでは、サービスが早い。 中国では、料理が一度にきて、大皿がテーブルの上に二段重ねになることも。
料理を出すタイミングに、レストランは気配りをする。
「30秒と3分の原則」を聞いたことがある。
フォークとナイフが置かれて30秒で皿をさげ、次のサービスを3分後くらいに始めるというもの。
「早くお皿をさげると、待っていたといわんばかりだし、早くサービスすると、せかして追い立てるようだから」
ヨーロッパのレストランでは、トイレの数がすくない。男女兼用で一箇所というところも。
ツアーでは、食後に集中すると混雑して時間もかかる。 「お皿とお皿の時間を利用して、スマートに」