2001年 第13戦 ハンガリーGP


1. 予選結果

1  M シューマッハ  フェラーリ  ブリヂストン
2位  クルサード  マクラーレン  ブリヂストン
3位  バリチェロ  フェラーリ  ブリヂストン
4位  R シューマッハ  ウィリアムズ  ミシュラン
5位  トゥルーリ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
6位  ハッキネン  マクラーレン  ブリヂストン
7位  ハイドフェルド  ザウバー  ブリヂストン
8位  モントヤ  ウィリアムズ  ミシュラン
9位  ライコネン  ザウバー  ブリヂストン
10位  ビルヌーブ  BAR ホンダ  ブリヂストン
11位  パニス  BAR ホンダ  ブリヂストン
12位  アレジ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
16位  フレンツェン  プロスト  ミシュラン

 ハッキネン、どうしちゃったんでしょーか? フェラーリ2台、同僚クルサード、ウィリアムズのラルフにやられるのはまだわかるんだけど……トゥルーリの調子が良かったのか、ハッキネンの調子が悪かったのか、それともコースインのタイミングが良くなかったのか……いずれにせよ、ハッキネンの受難はまだまだ続くようです。

 今回のサーキット、ハンガロリンクはその昔、故アイルトン・セナが得意としたサーキットのひとつ。ここはモナコに並ぶほどの超低速テクニカル・サーキット。はっきしいってコーナリングが命なんです。
 セナの場合、「曲がらないマシンを無理やり曲げて」、「『セナ足』による早めのコーナー立ち上がり」、「『ホンダ・パワー』による伸び」で何度となくこのサーキットで勝利を収めています。よく曲がるマシンだったらもっと楽に勝ってたんでしょうが、何せ当時の「マクラーレン・ホンダ」ですから……。そんなわけで、ハンガロリンクで勝つには

①よく曲がるマシンに乗っており、エンジンパワーも申し分ないこと。
 よく曲がるってことは、コーナリング・スピードが速く、しかもコーナー内でマシンが安定するってこと。つまり、早めのアクセル・オンが可能になる→立ち上がりが速くなる。→ストレート・スピードが伸びる。→タイムが伸びる。

②曲がらないマシンを無理やり曲げられるドライバーであり、ウィングを立ててもエンジンパワーで何とかするマシンであること。
 マシンが曲がらないってことは、でっかいウィングをおもいっきし立てることになる。→よっぽどいいエンジンじゃないとストレートが伸びない→ストレート・スピードを稼ぐために、ウィングだけには頼れない→ドライバーが何とかする、という図式に。これは単に曲がるだけじゃダメで、コーナーの中でマシンをねじ伏せ、しっかりラインに乗っていかないとストレートが伸びない。つまり、ドライバーにかかる負担は並大抵じゃないんです。上位のドライバーでこれが出来そうなのはマイケルくらい……しっかり曲がるマシンに乗ってやんの。私としては、ビルヌーブもやれると思うですけど、今のマシンでは勝負になんないようで……またも10位。指定席みたいになってます。

 上記①、②が今回の予選順位になった理由ってとこでしょうか。よく曲がってそこそこエンジンもいいフェラーリが1、3。エンジンはすんごくよくて、トラクション・コントロールのおかげで立ち上がりもいいんだけど、ちょっち曲がりにくいウィリアムズ/ラルフが4位。ではクルサードの2位は?
 今年のマクラーレンは決して悪いマシンじゃなく、結構速いんですよ。それがトラブルに泣かされ続けてきたんですよね。ってことで、クルサードのこの順位は別に不思議でもなんでもないっす。むしろ、ハッキネンの6位が不思議なんですよ。(マクラーレンがウィリアムズに勝てたのはタイヤ性能の差、との説もあるが、黙殺。)

 尚、今回からフレンツェンはプロスト、アレジはジョーダンと、トレードの形になってますが、アレジだけじゃなくフレンツェンもトップ10に入ってません。

 今グランプリで、マイケルは「ドライバーズ・チャンピオン」、「コンストラクターズ・チャンピオン」、「年間最多勝」を狙います。私としては、少しでも、ほんの少しでも先に伸びて欲しい。その方が楽しめそうなんで。

2. 決勝結果

 バリチェロのスタートがいい。クルサード見事に刺されました。コース内側はタイヤのゴムがほとんど載ってないんでグリップ無いんですよね。これ、フェラーリならバリチェロにクルサード抑えさせてマイケル独走、ってパターンありえますよ。ラルフ、トゥルーリ、ハッキネンは順位変わらずです。3、4周目、クルサードがファステストラップ! 何とかバリチェロを抜きたいところですが、このサーキット、コース上で抜くのはめちゃめちゃ難しいんですよね。ただ、マイケルのペースが上がっていかない。このままいってくれるとピット・インのタイミングで抜くって目も出てくるけど……。

 フェラーリの2台とクルサードは全くの互角。マシンの仕上がりもいいようです。バリチェロに抑えられてるって感じはしませんね。ハッキネンはトゥルーリに抑えられて、自分のペースで走れてません。やっぱ、予選は失敗したんですね……。
 ところで、ジョーダンに移籍したアレジ、スタート失敗で後方に落ちましたが、ぐいぐい挽回して現在13位。この抜きにくいコースで。頑張ってくれてます。

 現在13周目。マイケルがスパートかけてます。徐々に2位バリチェロとの差が開いてきてますね。既に4.8秒差。さっきまで2.3秒差くらいだったのに……。マシンの挙動も全く問題なし。1周あたり約1秒速いんですね。今まで抑えてたんでしょうか?やっぱ、「1.予選結果」で書いた通り、「曲がってパワーのあるマシン」に「無理やりにでも曲げられるドライバー」が乗るとマジで速いっすね、特にこのコースでは。クルサードの様子見てても、バリチェロに抑えられてるって感じしないっすもん。これは決まったか?

 21周目、マイケルがバックマーカーに追いついてます。まぁ多少ラップタイムも落ちるでしょうが、それはクルサードも同じだし……。現在その差7.8秒(22周目)。大体同じようなペースで走ってますね、っと思ったら、マイケルがまたファステスト。まだまだ開きそうです。

 今気づきましたが、マイケルが一人旅してるレースってあんまし動きが無くて打ち込むことが少ない少ない。もう少しレースが動いてくんないと……。トゥルーリはハッキネンに攻められながらもずっと抑えてますね。その後ろにモントヤが続きます。

 さて、そろそろピット・インタイミングです。おっ、マイケルが入りました。→8.4秒でピット・アウト。ラルフの前(3位)で復帰。トゥルーリが29周目に入る周でピット・イン。ハッキネン、これで5位浮上です。
 バリチェロとクルサードはまだまだ入りません。先に入った方が不利ってことで、お互いに様子見?→バリチェロが先に入ります。→9.1秒でピットアウト。クルサードが踏みまくってます。0.5秒でもタイムを稼ぎたいところ。バリチェロの次の周にピット・インです。→よっしゃーーーーーーーーーーーーーーーー!!バリチェロの前で復帰!! 追撃開始ですが……間に合うのか?

 現在マイケルとクルサードの差は10秒後半~11秒前半。バックマーカーにお互い引っかかってるんで、開いたり縮まったりしてます。クルサード、マイケルの“速い”ペースについていってますが……。
 ハッキネンがピット・イン。タイミング的には1ストップですが……静止時間が短いですね。2ストップに切り替えたようです。トゥルーリに抑えられた分、コース上で踏みまくって少しでも挽回しようってことでしょうが、やっぱし予選で失敗したのが痛いっすね。マイケルと同じくらいのペースで走ってますもん。48周目、ファステストですよ!!

 マイケルがじわじわとクルサードを置いていっています。現在2回目のピット・ストップのタイミング。これでミスらなければ、マイケルの優勝(等)は決定です。クルサードはバリチェロの前に出たといってもまだまだやり合ってます。おっ、ハッキネンがファステスト、現在5位です。
 マイケルがピットイン。→8.6秒でピットアウト。3位で戻りました。
 気になる2位争い、バリチェロが先にピットへ→8.5秒でピットアウト。クルサードは次の周でピットイン→給油ホースが抜けない!!→9.9秒でピットアウト→バリチェロが前へ!! なんてこったい!! これでますますマイケルが楽に。

 ハッキネン、現在コース上で誰よりも速いペースで走ってます。ラルフに追いつきました!! 明らかにラルフより速いのがマシンの挙動からよ~くわかります。ただ、抜きにくいこのコース。よっぽど最終コーナーをうまくまとめないと捕らえられない。しかも、ラルフは最速(トップスピードって意味ね)マシン。速く走るためには前述の通りなんですが、抜かせないためにはやっぱしストレートでのトップスピードなんですよね。よく見ると、マクラーレンよりもウィリアムズの方がウィングがでかい。最盛期のマクラーレン・ホンダを見るようです。それでも低速区間でプレッシャーをかけ続けるハッキネン。これはすごい争いになってますね。ラルフは一瞬のミスも許されない状態になりました。残り13周、この争いの結末は?

 マイケルは完全にクルサードのペースを見ながら走ってますね。あんましプッシュしなくなってきてます。コース上は「クソ暑い」ってことなんで、マシンをいたわりながらの走行なんでしょう。うげ、ハッキネンがピットイン。ガソリンが足らないとのこと。完全にチームのミスです!! あまりにももったいない!!今年のマクラーレン、こういうの多いです。

 あーあ、ファイナル・ラップに入っちまった。これは誰がなんと言っても優勝(等)決定ですね。ペースを落とすことなくチェッカーを受けました。バリチェロはクルサードに抜かれることなくチェッカー。このレースにかかっていたタイトル、全て決まりました。

決勝結果

1  M シューマッハ  フェラーリ  ブリヂストン
2位  バリチェロ  フェラーリ  ブリヂストン
3位  クルサード  マクラーレン  ブリヂストン
4位  R シューマッハ  ウィリアムズ  ミシュラン
5位  ハッキネン  マクラーレン  ブリヂストン
6位  ハイドフェルド  ザウバー  ブリヂストン
7位  ライコネン  ザウバー  ブリヂストン
8位  モントヤ  ウィリアムズ  ミシュラン
9位  ビルヌーブ  BAR ホンダ  ブリヂストン
10位  アレジ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
11位  デ・ラ・ロサ  ジャガー  ミシュラン
12位  フェルスタッペン  アロウズ  ブリヂストン

 

ドライバーズランキング

1位  M シューマッハ  94
2位  クルサード  51
3位  バリチェロ  46
4位  R シューマッハ  44
5位  ハッキネン  21
6位  モントヤ  15

 2001年ドライバーズ・チャンピオンはミハエル・シューマッハに決定。尚、ミハエル・シューマッハはアラン・プロストに並ぶ通算勝利数51勝を達成。さらに、チャンピオン獲得数もプロストに並ぶ4回に。現在、ワールドチャンピオン獲得回数は5回が最高(ファンジオ……だったと思う。)抜きそうですね、この人。

コンストラクターズランキング

1位  フェラーリ  140
2位  マクラーレン メルセデス  72
3位  ウィリアムズ BMW  59
4位  ザウバー  20
5位  BAR ホンダ  16
6位  ジョーダン ホンダ  15

 2001年コンストラクターズ・チャンピオンはフェラーリに決定。3年連続です。

 

 解説の森脇さんによると、M シューマッハはプロスト、セナ以上だとのこと。私はそうは思っていません。M シューマッハにはマイケルを、プロストにはプロストを、セナにはセナを、それぞれ取り巻く環境があったはずですから。誰が最高のドライバーなのか、それは全員が同等のマシンに乗り、全員が全盛期で、1シーズン走って見なければわからないことです。私にとっては3人が3人とも「最高」のドライバーであるし、また、ナイジェル・マンセルも、デイモン・ヒルも、ジャック・ビルヌーブ、ミカ・ハッキネンもまた「最高」のドライバーです。やはり、世界のトップを取ったドライバー達ですから。
 それでも、今回ミハエル・シューマッハが打ち立てた記録が素晴らしいものであることに変わりはありません。まだまだ32歳。このままどんどん記録を塗り替えていっていただきたいですね。

 次回は第14戦 ベルギーGP。9月2日決勝です。

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