2001年 第14戦 ベルギーGP


1. 予選結果

1  モントヤ  ウィリアムズ  ミシュラン
2位  R シューマッハ  ウィリアムズ  ミシュラン
3位  M シューマッハ  フェラーリ  ブリヂストン
4位  フレンツェン  プロスト  ミシュラン
5位  バリチェロ  フェラーリ  ブリヂストン
6位  ビルヌーブ  BAR ホンダ  ブリヂストン
7位  ハッキネン  マクラーレン  ブリヂストン
8位  フィジケラ  ベネトン  ミシュラン
9位  クルサード  マクラーレン  ブリヂストン
10位  デ・ラ・ロサ  アロウズ  ブリヂストン
11位  パニス  BAR ホンダ  ブリヂストン
12位  アレジ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
16位  トゥルーリ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン

 ウィリアムズの2人が元気良いです。チャンピオンを獲得したマイケルとしては、「やられた」といったところでしょう。
 今回の予選、特筆すべきは4位プロストのフレンツェン。「プロスト」っていっても、もちろんチーム名。あのアラン・プロストが率いる、オール・フレンチのチームです(ドライバー以外)。ついこの間、ジョーダンをクビになったフレンツェン、結果的にアレジとトレードと言う形でプロストに行ったんですが……まさかのこの順位!!やはり、メルセデスの練習生時代、マイケル・シューマッハと互角といわれた実力、健在です。
 さらに、私としてはとってもうれしい、ジャック・ビルヌーブの予選6位!!シャシーがうまく決まってきたんでしょうか?もともとスパ・フランコルシャン(ベルギーGPを戦うサーキットね)ではトップスピードが伸びる車が有利なんですが(ウィリアムズが1、2ってのはこの辺が一因)、やっぱし曲がらないマシンではきついのも確か。それをドライバーの能力で何とかしちゃったんでしょうね。
 さらに驚きは、今シーズン全く良いところの無かったベネトン、フィジケラが予選8位に。これも大健闘です。しっかり、マクラーレンの2台はごらんの順位。いくらなんでもおかしい。マシンの能力としては最悪3列目なんだけど……この辺、考察してみましょう。

 今回、予選時の天候は「雨のち曇り」。まだ映像を観てないんでわかんないんですが、恐らく予選セッションの間ずーっとウェットだったんでしょう。察するに、予選終盤の「ほんの少しでもドライ」って状況を狙っての一発勝負だったんでしょう。ウィリアムズの2人はマシン的にもタイミング的にも大成功、反面、大失敗がマクラーレンの2台。フレンツェン、ビルヌーブ、フィジケラはまさに一発決まった、といったところでしょう。

 スパ・フランコルシャンの見所は、コース序盤にある「オー・ルージュ」。右、左、右のS字なんですが、その途中からとんでもない登り坂なんです。ドライバーにとっては、まさに壁にぶつかっていくような気持ちで突っ込むんだそうです。こういったコーナーで速いのがマイケル・シューマッハ、ジャック・ビルヌーブ、ミカ・ハッキネンと言った面々。決勝が楽しみです。

 ……マイケルがアラン・プロストの優勝回数を越す瞬間は、まだ見たくない……でも、このサーキット、めちゃめちゃ得意なんだよなー、マイケル。デビューの地、そして、初優勝の地なんだよね。

 さらに、ここは天候がすんごく変わりやすい。セナも一度雨に泣かされてました(あの「レインマスター」がだぜ!!)。スパ・ウェザーなんて言われてます。スパの女神は誰に微笑むのでしょうか?そして、シリーズ2位も危うくなってきたマクラーレンとクルサード。はっきしいって、大ピンチです。

2. 決勝結果

 決勝放送の冒頭、「ポール・ポジションより優勝の方が重要だよ」と言ったマイケル。いや、確かにそうなんだけど、それではアイルトンを超えられないぞ!!(アイルトン・セナのポール・ポジション獲得回数は81!確かそうだったような気がする。信頼度80%。とにかく、とんでもなく速かったことはこれでお分かりでしょう。)

 気になる天気。コース上を雲が覆っています。スパにありがちな、「コース奥で雨、メインスタンドで晴れ」ってこともあるか?

 さて、スタートです。

 うげ、フレンツェンがスタート出来ず!!これで最後尾へ。プロストの車でうまく予選は戦ったんですが……非常にもったいないっす。

 さぁ、再スタートのフォーメーションです。

 うげげ、今度はポールのモントヤがスタート出来ず!!何とかエンジンはかかりましたが、これでこいつも最後尾。運がないっすね。……この雰囲気、またマイケルが勝つのか?
 

 フレンツェンが抜けて、ジャックの前ががら空き。んでも、フィジケラにかわされた!!
 マイケルが1周目、オー・ルージュ後のストレートで早くもラルフをパス!バリチェロもラルフを狙う。予選はタイミングで取ったといった感あり。そうこうするうちにジャックがマクラーレンの2台に抜かれてるじゃねーか!この辺、やっぱしマシンの差なんでしょうね。モントヤは後ろでぐいぐい前に出てきてます。
 マクラーレンに抜かれたジャックですが、それほど離される感じはないですね。理由は簡単。ハッキネンの前にはベネトンのフィジケラがいるからです。これはまたマイケルに逃げられるっていう展開になりそう。っと思ってたら、オー・ルージュ前でハッキネンがフィジケラをパス。何とか追撃体制に入りましたが……間に合うのか? ジャックもフィジケラを狙う。明らかにスピードが違うが……。すぐ後ろにライコネン→抜かれちまった!!

 ラルフとバリチェロは小康状態。マイケルは逃げてます。
 ジャガーのアーバインとプロストのブルティが、このコース最速コーナーの「ブランシモン」接触! セーフティーカーが入る。アーバインはちょっち強引だったか? ブルティはマシンごとタイヤバリアに突き刺さってます。アーバインも救出を手伝います。ブルティは大丈夫か? アラン・プロストも心配そうです。
 救出作業が長引いています。レースは赤旗 中断。
 各ドライバー、非常に心配そう。ブルティはマシンから出され、コース上で治療中。これほど大きな事故は、マイケルが脚を折って以来です。(アイルトン・セナが事故死したときの映像が頭をよぎってきました。)

 レース再開。ブルティは病院へ搬送されました。意識、呼吸はOK。ひとまずは安心です。
 ラルフが再スタート出来ず。最後尾へ。これで順位は、マイケル、バリチェロ、ハッキネン、クルサード、フィジケラ、ジャック。
 フィジケラが2番手へ。ハッキネンは出遅れ、ベネトン、バトンの後ろへ。クルサードはバリチェロの後ろへ。ベネトンの2人が元気です。バリチェロがフィジケラを襲う。その後ろにクルサードが隙をうかがう。ジャックはジョーダン2台に抜かれました。後ろの方ではラルフとモントヤがチームメイト同士でやり合ってます。この2人はお互い実力よーくわかってるはずなんで、無茶なことはしないでしょう。→モントヤ、リタイア。エンジントラブル、白煙が上がります。
 フィジケラはうまいです。バリチェロよりも明らかに遅いんですが、この高速コースでフェラーリ相手によくやってます。クルサードはもらい事故を恐れてでしょうか、少し離れて様子を伺ってるようです。

 マイケルが逃げまくるそのはるか後方で、ジャックがバトンをかわす。今回、入賞はいけそうです。熱いのが2番手争い。フィジケラ、クルサード、ハッキネン、アレジと続いてます。現在15台、サバイバルレースです。
 8周目ハッキネンがピットイン。8.5秒で戻ります。同時にアレジも。BARパニスも入る。ビルヌーブはもう少し引っ張るか? マイケルとフィジケラの差は18秒弱。
 10周目バリチェロがピットイン。フィジケラの前に出るにはこれしかないか? 9.0秒でピットアウト。同時にジャックも入る。バリチェロはハッキネンの後ろへ。運が無いですね。これでは飛ばせません。
 11周目、マイケルが入る。9.4秒でアウト。同時にクルサードも入る。
 どのチームもガソリン少なめに給油してます。天気予報によるとレース後半で雨。これに備えてのことなんでしょうか? フィジケラは入りません。ギャンブルに出ている? →と思ったら、12周目でピットイン。

 16周目、マイケル、フィジケラ、クルサード、ハッキネン、バリチェロ、トゥルーリ、アレジ、ビルヌーブの順。ビルヌーブの前は同じホンダユーザー、ジョーダンの2人です。何とかオーバーテイク、入賞を!
 フィジケラはウィリアムズより速いペースで周回してます。しかし、マイケルとは25秒差、クルサードがテイル・トゥ・ノーズで追う。
 バリチェロのフロント・ウィングが無くなってる!→緊急ピットイン、同時にタイヤ交換、再給油のようです。シリーズ2位を狙うバリチェロとしては厳しい展開。んでも、トゥルーリとそれほど変わらないペースで走れるバリチェロって、すごいっすね。これでビルヌーブは7位へ。アレジはすぐ前です。……なかなか抜かせてくれないんでしょうね。同じエンジンだから、ストレートでの伸びも同じような感じなんだろうし、ブレーキング勝負しかないでしょう。

 さて、残り15周。相変わらずマイケルは逃げ続けてます。
 ジャックが2回目のピットへ。この時点で5位でした。8.0秒でピットアウト。
 クルサードはずっとフィジケラの後ろで抑えられてます。銀色のマクラーレンが汚れて茶色っぽくなってしまいました。
 現在の順位、マイケル、(大きく開いて)フィジケラ、クルサード、ハッキネン、(大きく開いて)ラルフ、トゥルーリ、アレジ、バリチェロ。この後のピット作業終了時、ジャックは何処に入るんでしょう?
 フィジケラがピットイン。同時にハッキネンも入る。これはクルサードアクセル踏ませるつもりなんでしょう。フィジケラは磨耗したフロントタイヤ交換せず。→溝がほとんど無くなって、昔のスリックタイヤみたいになってます。この方がグリップが良いってことか?ハッキネンが出たところにはラルフの姿が!やっぱし、こいつ早いんですね。んでも、もう1回ピットに入らなきゃいけないんで、入賞はムリでしょう。
 クルサードがピットイン。フィジケラの前に出られるか?→ギリギリで抜けず。これで完全にコース上での争いになります。マイケルがピットイン。問題なくピットアウト。マイケル、フェラーリのクルー、双方が非常に慎重に見えました。無理して失敗するリスクを犯さないところ、さすがチャンピオンとチャンピオンチームといったところでしょう。

 フィジケラの後ろのクルサード、何か抜けそうに無いですね。フィジケラのフロントタイヤが最後まで持てば2位に入れるでしょうが……津リップダウンは必死と言う感じはします。クルサードとしてはそこが狙い目なんですが……強引にパス!! コーナー、アウトから行きました。フィジケラはこれで気が抜けたか、クルサードにおいていかれます。こういう強引さがクルサードの良いところ。強引なんだけど、ちゃんと相手のマシンが通るスペースを残して行くんですよ。後はハッキネンがフィジケラを抜けるか? 
 ビルヌーブは現在8位、すぐ後ろにラルフ→ブレーキング勝負→ラルフが前に! 周回は残り僅か。何とか追撃を願う!

 ラルフは既にアレジに追いつく。その前の5位走行トゥルーリのエンジンがトラブル、リタイア。ホンダ勢、やばいっす。レースは残り4周、ラルフがアレジを襲う! アレジはきつそう、それに対してラルフの車は非常に安定している。1ポイントの争いなんですが、かなり熱いです。ジャックはついてこれてないです。何とかひとつの画面に映るくらいの位置にいます。ホンダエンジンはやっぱし伸びますね、オー・ルージュ後のストレートでもラルフに抜かせません。ブレーキングを出来る限り遅らせて、それでも立ち上がりで遅れないように、それでも抜かれないようにラインに気をつける……アレジだから出来ることなんでしょう。抜かれそうになってもギリギリマシンをかぶせる。
 マイケルはファイナルラップ突入! アレジの持ち味が光ってます。ラルフも諦めていない。アレジとラルフもファイナルラップへ。
 マイケルがそのまま優勝。2位クルサード、3位フィジケラ(今季初の表彰台)、4位ハッキネン、5位バリチェロ。6位は?
 アレジが守りきりました!! これまで全戦完走、アレジだから出来たこと、アレジにしか出来なかったことでしょう。

 

決勝結果

1  M シューマッハ  フェラーリ  ブリヂストン
2位  クルサード  マクラーレン  ブリヂストン
3位  フィジケラ  ベネトン  ミシュラン
4位  ハッキネン  マクラーレン  ブリヂストン
5位  バリチェロ  フェラーリ  ブリヂストン
6位  アレジ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
7位  R シューマッハ  ウィリアムズ  ミシュラン
8位  ビルヌーブ  BAR ホンダ  ブリヂストン
9位  フレンツェン  プロスト  ミシュラン
10位  フェルスタッペン  アロウズ  ブリヂストン
11位  パニス  BAR ホンダ  ブリヂストン

 デビューの地、初優勝の地で、通算最多勝の記録を打ち立てたマイケル。ここは素直に祝福したいと思います。ベネトンの復活も喜ばしい。来年はルノーがF1へ本格的に戻ってくるとのこと。でも、フィジケラはそのシートには座れないんです。このよくなったマシンで来年のシートをゲットするために頑張って欲しいですね。アレジには本当におめでとうといいたい。もうすぐ鈴鹿、ホンダの「鈴鹿スペシャルエンジン」でどこまでいけるか? おっと、その前にまだモンツァがあったんだ。鈴鹿までは後2レース。それまでにいいエンジンに仕上げてください、ホンダの皆さん。もちろん、BARのエンジンもお忘れなく。今回惜しかったジャック、来年に向けてシャシーを鍛えてやってください。それと同時に、ジョーダンに負けないよう、頑張ってください。

ドライバーズランキング

1位  M シューマッハ  104
2位  クルサード  57
3位  バリチェロ  48
4位  R シューマッハ  44
5位  ハッキネン  24
6位  モントヤ  15

 クルサードとバリチェロは9ポイント差まで開きました。そのバリチェロを4ポイント差でラルフが追ってます。2位を狙えるのはこのあたりまで。ハッキネンはクルサードに次ぐ3位狙いで行くしかないですね。それも非常に厳しいですけど。

コンストラクターズランキング

1位  フェラーリ  152
2位  マクラーレン メルセデス  81
3位  ウィリアムズ BMW  59
4位  ザウバー  20
5位  BAR ホンダ  16
6位  ジョーダン ホンダ  16

 マクラーレンとウィリアムズの差が開きました。22ポイント差。まだマクラーレンとしては安心できません。何とか2位は死守したいところ。
 ホンダ勢はついに同ポイントに。そのすぐ目の前にザウバーがいます。4位になったところで、「4強」の一角とは言えないポイント差ですが、ここは同じホンダユーザー同士、切磋琢磨して前にいっていただきたい。

 

 今回のレースで、ミハエル・シューマッハは、最多勝ドライバーとなりました。細かい数字は忘れましたが、これで2位になってしまったアラン・プロストよりも随分速いペースとのことです。だからといって、「最速」の称号まで持っていかれたわけじゃない! アイルトン・セナの「ポールポジション獲得回数 81回」はそんな簡単に抜けるもんじゃないです。
 アイルトンがこれほど予選で速かったのには理由があります。マイケルやアランの場合、ポールタイム間違いなしと判断したら、あんましコースには出ないんですよ(アランまで現在形だけど、ま、気にしないように)。アイルトンの場合、間違いなくポールタイムと思えても、自分がもっと速く走れると確信があったら、残り時間僅かでも必ずコースインしてたんです。結果として、ライバルよりも抜きん出て速いタイムを出し、プレッシャーを与えることになったんですが、どうも彼にとってはそれは狙ってやってるんじゃなくて、自分の記録と戦ってたらしいんですよ。それだからこその「ポールポジション獲得回数 1位」なんですよね。だから、マイケルが今のスタイルをとり続ける限り、アイルトンの記録はまず抜けないでしょう。

 本文中にアイルトンの事故について思い出したと書きました。今でも思い出すだけで涙腺がゆるくなってしまいます。少し、述べようと思いましたが、はっきり言ってあまり思い出したくないので止めておきます。

 次回は第15戦 イタリアGP。9月16日決勝です。フェラーリの本拠地に、大記録を持って凱旋するマイケル。どのようなレースを見せてくれるでしょうか?

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