2001年 第15戦 イタリアGP


 まず始めに

 ミカ・ハッキネン、来期は休養!

 2002年のシーズン、マクラーレンはデビッド・クルサードキミ・ライコネンのコンビで走ることに。
 キミ・ライコネンは何度か↓のランキングにも食い込んできたドライバー。ハッキネンと同郷、フィンランド出身。今期はザウバーからエントリーしてます。現在の「若手No. 1」とも噂される彼、決してコネだけで決まったわけじゃないでしょう。ま、ハッキネンの指名によるところが大きいんだろうけど、ライコネンはF3やF3000の経験全くなし。今期は「仮のスーパーライセンス」での出走、好成績を残したことが評価されたんでしょう。

 ハッキネンには、来期は十分に静養してもらって、再来年、チャンピオンを是非に狙って欲しい。アラン・プロストみたいにね。

1. 予選結果

1  モントヤ  ウィリアムズ  ミシュラン
2位  バリチェロ  フェラーリ  ブリヂストン
3位  M シューマッハ  フェラーリ  ブリヂストン
4位  R シューマッハ  ウィリアムズ  ミシュラン
5位  トゥルーリ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
6位  クルサード  マクラーレン  ブリヂストン
7位  ハッキネン  マクラーレン  ブリヂストン
8位  ハイドフェルド  ザウバー  ブリヂストン
9位  ライコネン  ザウバー  ブリヂストン
10位  デ・ラ・ロサ  ジャガー  ミシュラン
12位  フレンツェン  プロスト  ミシュラン
15位  ビルヌーブ  BAR ホンダ  ブリヂストン
16位  アレジ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
17位  パニス  BAR ホンダ  ブリヂストン

 モントヤ、前戦に続いてポールポジション獲得。ウィリアムズの2台でフェラーリを挟み込むような形になってます。マイケルがバリチェロに負けたのはご愛嬌と言ったところでしょうか?それにしてもマクラーレン、コンストラクターズランキング現在2位、3位のウィリアムズから22ポイント前なんですが、この順位を見る限り、現状のパッケージではウィリアムズの方がよさそうです。モンツァのような「高速テクニカル」コースで速い車は、やっぱしほんとに速いんです。フェラーリよりも良いんじゃないの?

 さて、3強に食い込んだのはヤルノ・トゥルーリの駆るジョーダン ホンダ。3強に続くザウバーとどっちが上なのか?アレジが16位ってところを見ると、マシンとしてはザウバーが上、元々のドライビングセンスの良さとセッティングが決まった(?)のと上手く噛み合っった結果がトゥルーリの予選5位と言ったところでしょうか?BARは全くの不発。どうしちゃったんでしょうね?

 何にしても、ここイタリア モンツァサーキットはティフォッシ(フェラーリの「熱狂的な」ファン)にとってはまさに聖地。わかりやすい言い方をすると、「阪神タイガースファンにとっての阪神甲子園球場」(スケールがめちゃめちゃ小さくなった気がするが……)。地元で勝てるかフェラーリ? 阻止するかウィリアムズ? ってなレースになりそうです。ハッキネンは重要な決断をしたことだし、何か吹っ切れたと思うんで、いいレースを見せてくれることでしょう。願わくば、優勝を!!

2. 決勝結果

 今回のGP、FIAは中止も健闘したそうですが、テロに屈することなくレースを行うということです。各チーム、スポンサーロゴを外したり、マシンに「喪章」をつけたり、アメリカ国旗をつけたりとやってます。

 ドライバー協会はシューマッハを中心として、1周目途中、第2シケイン「ロッジア」まで追い越し禁止を決めたそうです。前回の事故を受けてのことですね。より安全でエキサイティングなレースを期待したいっす。……でも、みんな守るんだろうか?

 観客が発煙筒を投げ込んでますが、いただけないですね。

 さぁ、スタートです。モントヤのスタートがいい。やっぱしウィリアムズ、伸びます。5位スタートのトゥルーリ、バトンと接触、スピン、リタイアです。なんてもったいない。
 マイケルとラルフがやり合ってます。紳士協定はどうなったんだ?兄弟同士なのに……。兄貴の立場も考えない、とんでもない弟です。ウィリアムズ、フェラーリ、フェラーリ、ウィリアムズの編隊がレースを引っ張り、少し離れてクルサード。ハッキネンは順位を大きく落としました。3周目、ラルフが離れ始めました。

 モントヤはファステストラップを立て続けに出して逃げようとしてます。でもフェラーリの2台は全然離れませんね。マイケルとしては、モントヤの追撃をバリチェロにやらせて、様子をうかがってるってところでしょう。92年(ん、91年だったか?)ナイジェル・マンセルがリカルド・パトレーゼを使ってセナを攻略したことがありましたが、それを思い出します。これでしばらく上位陣は小康状態。
 後ろの方ではハッキネンが頑張ってます。スタートのドタバタに巻き込まれて大きく順位を落としましたが、既にビルヌーブ、アーバインを攻略。っと言ってたら、クルサードが止まってる! 何があったんでしょう。→エンジンブローです。完全にエンジンがいっちゃってます! これでクルサードのドライバーズランキング2位が危うくなってきました。現在7週目。

 上位3台はその差ほとんど変わりません。ラルフはトップから10秒近く離れました。
 バリチェロがモントヤをかわす! モントヤの挙動がおかしくなってます。立ち上がりがフェラーリに比べて相当遅いみたい。ミシュランタイヤのせい? メカニカルの問題か? いずれにせよ、マイケルも完全に後ろにつきました。でもマイケルは慎重ですね。ここまでパフォーマンスに差があるんだから、あんましプレッシャーかけなくてもいいと思うんですけど……。モントヤを鍛えてるって言うならわかるんですけど。まぁ、マクラーレンにとってはモントヤがつぶれてくれたら助かるんでしょうけど。でも、頑張りますね、モントヤは。
 バリチェロが順調に逃げてます。このマイケルの執拗なモントヤに対する攻撃、ひょっとしてバリチェロへの援護か?後ろからつつかれると速く走れるようなイメージがあるけど、ブロックすることでペースは落ちます。バリチェロは自分ペースで走れる。→結果、バリチェロが逃げる展開って事ですね。でも、前に出てマイケルがブロックしてあげた方が良いような……。無理しないと抜けない、って事でしょうか?
 モントヤはここまでくると維持ですね。ブロックしつつもタイムを上げてきてます。ズルズルのタイヤで、滑りながらもタイムを出すのはとんでもないテクニックが要るんでしょうけど、このあたりはさすがインディのチャンピオンってところでしょう。

 アレジは予選16位から現在6位まで来てます。今まで気づきませんでしたが、スタートめちゃめちゃよかったんですね。そうこうしているうちにフェルスタッペンを抜いて5位へ浮上! ジョーダン ホンダと相性はよさそうです。それに続くキミ・ライコネン/ザウバーもよさそうです。

 マイケルはまだモントヤの後ろを走ってます。→マイケルがピットイン。やっぱし抜けなかったんですね。早めの給油/タイヤ交換で走る位置を変えました。この勝負、モントヤの勝ちとしておきましょう。次の周でバリチェロもピットイン。めちゃめちゃ長い。何で? ガソリンのノズル刺すの遅れたんでしょうか?うげ、ノズル間違えてやんの。何やってんだか。
 これでモントヤ、ラルフ、バリチェロ、マイケルの順。もちろんモントヤとラルフはピットに入らなきゃいけないんで、実質順位変わらず、です。

 ハッキネンがリタイア! 休養前のラスト3戦なんですが……。マクラーレン、全滅です。

 モントヤとバリチェロのタイム差、24秒近くあります。この差って、ピットインしてもモントヤが前に出る可能性あるんですよ。マイケルを抑えきったのは大きいですね。バリチェロのピットインはミスだし。23周目、先ほどよりコンマ3秒ほど差が開いてます。ウィリアムズの方が車は軽いんですが、タイヤはズルズルのはずなんですけど……戻ってきましたね。ミシュランタイヤって、変わった特性を持っているようです。
 モントヤがピットイン。→バリチェロの後ろ、マイケルの前に復帰。ラルフとバリチェロの差は4秒ほど。元の隊列に戻ります。バリチェロとモントヤの差は5秒5ほど。マシンの調子によってはまだわかんないっす。

 ラルフがなかなかピットに入りません。このあたり、2セット目のタイヤが一番いい状態をチェッカーフラッグのあたりに持っていきたい、という戦略なんでしょう。ただ、この1セット目のタイヤ、かなりズルズルのようです。これは4位で決まりか?しかし、マイケルよりも2秒近く速い。マイケルとの勝負になりそう。

 予選で失敗したアレジとビルヌーブ、まだまだ頑張ってます。それぞれ7位、6位でピットイン。残り周回20周です。入賞できますか?
 ラルフはまだ1セット目で走ってます。序盤の出遅れはガソリンいっぱい積んでたからだったんですね。残り19周ラルフピットイン。ショートでいけるはず。→マイケルの後ろに戻ります。これでバリチェロ、モントヤ、マイケル、ラルフの順。バリチェロとモントヤはもう勝負になりそうに無いんで、またまたの兄弟対決に注目です。

 マイケルがモントヤに1秒29差と詰めていってます。どうやらこっちの方が見ものみたいです。さっきと違って挙動のいいモントヤ。マイケルでも簡単には抜けそうにありません。
 ここでバリチェロが2回ストップと判明。現在モントヤとの差13秒。これではモントヤが1位に立ちます。バリチェロのドライバーズランキング2位確保のためにも、マイケルとしては何が何でも前に出たいところ。あるいは序盤みたいにつついてペースを落とさせるか? バリチェロ、モントヤよりも1秒近く速いペースで逃げていますが……。
 さっき給油したばかりのラルフ、バリチェロより速い! やっぱし追いつきそうです。
 ん? 残り14周でマイケルがピットイン、ショートストップをかけます。次の周でバリチェロも入ります。これでウィリアムズの1、2フォーメーション。見た感じではウィリアムズのピットインはもうなさそう。これはモントヤの初優勝が見られるか?

 ウィリアムズのタイヤ、アップで見ると結構荒れてます。これはタイヤのグリップ不足をマシンで補ってるみたいですね。
 バリチェロがラルフに追いつきました。その差コンマ5秒以内!スリップに入れるか? 揺さぶりをかけていきますが、もう何周か走るとミシュランタイヤは戻ってしまう! ラルフが懸命にブロック、抜かせません。トップスピードに勝るウィリアムズ、そう簡単なことでは攻略できないんでしょう。ラルフも挙動を乱しながら頑張りますが……→ストレートエンドで並ぶ!伸びるラルフ!→シケインをショートカットする形に。これではペナルティになってしまうってことで、ラルフがバリチェロに譲ります。
 モントヤはバリチェロの前7秒4でトップ快走、どうやらこれで順位確定のようです。

 ラスト3周。バリチェロはコンマ5秒ずつ追いかけて行ってます。届きそうにありませんが、同じカメラで捕らえられるようになってきました。1ミスで順位逆転の距離ですね。

決勝結果

1  モントヤ  ウィリアムズ  ミシュラン
2位  バリチェロ  フェラーリ  ブリヂストン
3位  R シューマッハ  ウィリアムズ  ミシュラン
4位  M シューマッハ  フェラーリ  ブリヂストン
5位  デ・ラ・ロサ  ジャガー  ミシュラン
6位  ビルヌーブ  BAR ホンダ  ブリヂストン
7位  ライコネン  ザウバー  ブリヂストン
8位  アレジ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
9位  パニス  BAR ホンダ  ブリヂストン
10位  フィジケラ  ベネトン  ミシュラン
11位  ハイドフェルド  ザウバー  ブリヂストン

 モントヤの初優勝、要因としてはマイケルをきっちり抑えきったことが大きいですね。もちろん、バリチェロの給油ミスが無ければわからなかったんですけど。勝てる1戦を逃さず、初優勝したモントヤに拍手!
 今回はフェラーリとウィリアムズ、トータルパフォーマンスでは大きな差は見られませんでした。来年はこの2チームでの争いになりそうです。
 さらにいうと、次のアメリカGPはインディ500マイルで知られるインディアナポリスでの開催。去年までインディで戦っていたモントヤとしては凱旋する気分でしょう。

 予選で大きく出遅れたビルヌーブが6位入賞。あの予選順位でははっきし言って信じらんないっす。さすがと言ったところか。

ドライバーズランキング

1位  M シューマッハ  107
2位  クルサード 57
3位  バリチェロ 54
4位  R シューマッハ 48
5位  モントヤ 25
6位  ハッキネン 24

 クルサードにバリチェロが肉薄してます。気づいたらラルフも9ポイント差のところまで来てる。下手すると、バリチェロ、ラルフに喰われちゃうよ、クルサード!
 モントヤが今回の優勝で一気に10ポイント獲得、ハッキネンを抜いちゃいました。

コンストラクターズランキング

1位  フェラーリ 161
2位  マクラーレン メルセデス 81
3位  ウィリアムズ BMW 73
4位  ザウバー 20
5位  BAR ホンダ 17
6位  ジョーダン ホンダ 16

 マクラーレンの今回ノーポイントにより、コンストラクターズ2位死守にも暗雲が立ち込める。全てはクルサードの頑張りと、ハッキネンの休養前のもう一頑張りにかかる。何とか2位だけは!

 

 次回は9月30日、第16戦アメリカGP。予定通り開催するとの事です。
 インディアナポリスは前述のようにインディ500マイルで知られるサーキットです。もっとも、オーバルコースでやるわけじゃなくて、ちゃんとF1用のコースも作ってあります。ただ、最終コーナーはオーバルを利用、コーナーなのにストレートを走るかのようなスピードがすごいっす。エキサイティングなレースを期待!

 

 p. s. カート(いわゆるインディね)で2度チャンピオン、F1にも参加していたアレックス・ザナルディが、カートのレース中に事故、両足切断だそうです。F1と違ってコンクリートウォールに囲まれ、さらに400km近いスピードで争うカートのレース。それだけに安全対策は万全にして欲しいものですね。

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