2001年 第16戦 アメリカGP
今回はGP開催から6日経ってからの掲載。ON AIR既に見てるし、当然結果知ってるんですけど、まぁいつもの通りに行きましょう。
1. 予選結果
1位 | M シューマッハ | フェラーリ | ブリヂストン |
2位 | R シューマッハ | ウィリアムズ | ミシュラン |
3位 | モントヤ | ウィリアムズ | ミシュラン |
4位 | ハッキネン | マクラーレン | ブリヂストン |
5位 | バリチェロ | フェラーリ | ブリヂストン |
6位 | ハイドフェルド | ザウバー | ブリヂストン |
7位 | クルサード | マクラーレン | ブリヂストン |
8位 | トゥルーリ | ジョーダン ホンダ | ブリヂストン |
9位 | アレジ | ジョーダン ホンダ | ブリヂストン |
10位 | バトン | ベネトン | ミシュラン |
11位 | ライコネン | ザウバー | ブリヂストン |
13位 | パニス | BAR ホンダ | ブリヂストン |
18位 | ビルヌーブ | BAR ホンダ | ブリヂストン |
今回のGP開催サーキット、インディアナポリスは「インディ500」で有名なサーキット。しかも、世界最古のサーキットとのことです。もっとも、最古なのはオーバルコースのみで、F1が走るために作ったインフィールドセクションは一昨年か昨年の竣工のはず。
見所としては、CART経験者が最終コーナーの「バンク」をどうやってクリアしてくるか?ここだけはオーバルコースを使ってます。(逆周りではありますがね。)
またもマイケルがポール獲得。自己最多のシーズン10回目。このペースで来られたらアイルトンの記録をも脅かすか?(いや、俺としては全く心配してないんだけど。)
悲惨だったのはハッキネン。決勝当日朝のウォームアップの時、赤旗中断→再開のグリーンランプを待たずにコースインしてしまったため、自己トップのタイム取り消し、結果 予選2位から4位へドロップ。金曜日のフリー走行ではトップ、予選でもマイケルとポール争いを繰り広げただけに残念。
ウィリアムズの2台はなかなかの好調。ただ、このコースはかなりタイヤに厳しそう。1発の速さを出せてもレースでは苦戦が予想される。
今回、ホンダ勢は全く振るわず。CARTではホンダエンジンは間違いなく圧倒的な地位を得てはいるものの、やっぱしカテゴリー違い、しかも燃料違いのF1ではそのデータも生かせなかったか? と言うより、シャシー性能なんでしょうね。
予選で出遅れたクルサード、このままの順位で行くとシリーズ2位がかなりやばくなります。フェラーリのシリーズ完全制覇、現実味が出てきました。
9位に入ったジャン・アレジ、今回のレースで通算200戦目。思えば、アイルトン・セナとの攻防で一躍有名になった新人時代のあのレース、サーキットこそ違えど同じアメリカでした。
2. 決勝結果
フロントローはシューマッハ兄弟。もう見慣れてしまいました。ハッキネンは予選順位降格で4位。スタートがかぎです。
モントヤのスタートが抜群! マイケルは何とかブロック。BMWエンジンのパワーがあってのことですが、まぁ最初だけでしょう。タイヤがきついですからね。その後ろ、バリチェロもいいスタート。どうやらコース外側、奇数グリッドの方がタイヤのラバーが載ってるんでいいスタートになったようです。ハッキネンはこの結果5位まで落ちました。
直後の2周目、バリチェロがモントヤをストレートエンドでパス! スタートはエンジンパワーの差がよくわかりましたが、やはりレースはトータルパフォーマンス。見事なオーバーテイクでした。
3周目の順位、マイケル、バリチェロ、モントヤ、ラルフ、ハッキネン、クルサードとフェラーリ→ウィリアムズ→マクラーレンときれいに色分けされました。
ウィリアムズはペースが上がらない模様。ミシュランタイヤの特性から、今はタイヤ性能が落ちてるところでしょう。これまでのレースからすると、タイヤ交換直前あたりからペースが上がってくるんですが、どうでしょうか?
マクラーレンはウィリアムズの前に出られず。燃料が多いのか? それともほんとに遅いのか?(結果知ってるってのに何いってんだか。)
4周目、マイケルがバリチェロを前に! バリチェロにシリーズ2位を取らせ、完全制覇するためのチームオーダーと思われます。
バリチェロのタイムだけ抜きん出て速い。どうやらフェラーリは2台でピットストップ戦略を変えてきているようです。このレース、まさかマイケルがNo.
2なのか?
最終コーナーにバンクを使ってるだけあってストレートのスピードはすごいですね。ウィリアムズなんてトップスピード340km/hですから。ザウバーもフェラーリエンジン(型落ちだけど)使ってるだけ合って、336km/hをマークしてます。これでもセカンドグループから出られないのは、やはりそこはF1。コーナリングも速くないとダメってことですね。
そんなザウバー/ハイドフェルドが現在クルサードに肉薄してます。いくらなんでもこのペースは遅すぎ。ガソリンフルタンクで出てんじゃないか?
この周回、アレジが342km/hでトップスピード更新。ホンダエンジンも負けてませんね。もっとも、それだけじゃここのトップスピードは稼げない。バンクの傾斜を利用しないとダメなんですよ。ただアウト イン アウトを決めるだけじゃなくて、少しふくらみ気味に入っていって上から一気に落ちていく、これがうまくいくとストレートスピードが上がって、結果スリップストリーム→オーバーテイクというストーリーが成り立つと。この方法でアレジ、ベネトンの2台をものの見事にパス! まだまだロートルじゃないことを証明しました。ちなみに、この時点でファステスト出しまくってるバリチェロのトップスピードは339km/hくらい。フェラーリならもっと出るんでしょうけど、インフィールドを速く走るためのセッティングにしてるんでしょう。その結果のファステストです。
マイケルとモントヤの差が詰まってきました。ミシュランタイヤの性能が良くなってきた証拠。いつものことですが、変なタイヤですよね。ラルフがファステストを出して追撃。その後ろ、マクラーレンの2台が見えなくなってます。この高速サーキットでもマクラーレンはダメなのか? それとも……(結果知ってるくせに!)
さて、ウィリアムズのピットが動きます。タイヤが持たないミシュラン、換えなきゃしょうがないんでしょうね。バリチェロみたいにハイペースで走れるんならこの作戦もありなんですけど、マイケルについて行くのがやっとの状態ではもう勝負になりません。車は間違いなく今期最速と言っていいと思うんだが……。
ラルフからピットイン→タイヤがはまらず、大きなタイムロス! 4.5秒を損しました。脱落か?
ウィリアムズの作戦がわかったことで、フェラーリはかなり楽になりました。よくやりますからね、1ストップでも2ストップでも行けるくらいの「中途半端な」ガソリン量でスタートするフェラーリってのは。
バリチェロがピットイン。このペースは間違いなく2ストップですから。周回遅れに引っかかる前に入ろうということでしょう。5位で戻りました。
これで現在トップはマイケル、モントヤが0.8秒差で追撃しますが、ピットインは時間の問題。観戦時の私の予想では「1ストップ、しかも思いっきし引っ張る」。ここの戦略が明暗を分けることになるが、どうか? マクラーレンの2台は全く入る気配なし。トップとはハッキネンが11秒、クルサードが15秒後方です。マイケルが2ストップならまだまだわからないんですけど……。(←放送当時、このあたりは解説陣全く触れてませんでした。当然、私もマクラーレンは脱落したものと……。)
モントヤがなかなかピットに入りません。1ストップなのか? しかもタイヤのパフォーマンスが上がってきたモントヤのウィリアムズ、もう「マイケルを追いかける」ではなくて、「マイケルを攻撃する」状態まで入ってます。ストレートスピードで10km/h以上速いモントヤ、昨年のインディ500チャンピオン、バンクの使い方は非常に上手い! 画面上、バンクでのライン取りが違うことがよーくわかります。ハッキネンは3位キープの走りしか無理か? 追撃に移れません。
モントヤがマイケルに仕掛けた! ストレートスピードは明らかにウィリアムズの方が上。スリップストリームを使ってトップスピード348km/h(フリー走行、予選を含めてのトップ)、1コーナーでインに入り、マイケルを抜き去りました!速い車、バンクの攻略、CARTみたいな抜き方でした。さすがチャンプです。しかしタイヤが……この分はガソリンタンクが軽いうちに少しでも前に出るしかないでしょう。交換後は絶対にペース落ちますから。
モントヤは逃げの体制に移行、ぐいぐい差を広げていきます。バリチェロは2ストップ、ハイペースで走らなければならないのに、全然上がってきません。この分だとレースはモントヤのものになるのか?またファステストを出しました。→モントヤのピットイン、バリチェロとの差は21秒、どの位置に入るのか?たっぷりガソリン積んで出て行きました。間違いなく1ストップ。バリチェロの後ろです。このままバリチェロに逃げられないようにペースを上げられればほんとに優勝の目が出てきます。初優勝からの連勝なるか?
ここでラルフがコースアウト、サンドトラップにつかまって戻れません。リタイアです。
さらに、モントヤがスローダウン! これはもう無理でしょう、それを横目にマイケルがピットイン。こうなってくると、これまで視界の外にいたハッキネンにも優勝の目が! まだまだピットに入る気配がありません。序盤ペースが上がらなかったマクラーレン、やっぱしガソリン満タンでスタートしたんですね(知ってたくせに)。残り周回は34周、ハッキネンとしては給油直後で車が重いマイケルを少しでも離してからピットインしたいところ。これだけ引っ張れるんだから、最後まで走るためのガソリンはかなり少なめで済むはず。
さぁ、マクラーレンのピットが動いた! ハッキネンはストレートへ。クルサードからピットイン。マイケルの後に戻ります。これくらい離れていればハッキネンはマイケルの前でピットアウトできるか?
ここまでの順位(44周目) ハッキネン、バリチェロ、マイケル、クルサード、ハイドフェルド、アーバイン、トゥルーリ、パニス。ハッキネンはまだピットに入ってませんが、28秒差でマイケルの前、2位のバリチェロより0.5秒速いペースで逃げる→マイケルとの差を広げておいて、ピットイン→マイケルtのほんの少し前でコース復帰! バリチェロはもう1度ピットに入らなければならず、実質上トップ争いはハッキネンとマイケルに絞られた! ガソリン量はほとんど互角、マシンも予選タイム(ハッキネンのは無効になっちゃったけど)から互角、そうなると後でピットインしたハッキネンのほうがタイヤが新しい分速い! しかもハッキネンが前! 断然有利です。ハッキネン、最終戦鈴鹿の前に完全復活。バンクの処理も非常に上手い。マイケルははっきし言ってついていくのがやっとという状態。 マクラーレンの戦略、見事にはまりましたね。
後はバリチェロがどれだけ逃げてピットに入るかですが……ハッキネンより0.5秒速いペースで飛ばしていますが……50周目に入る周回でピットイン→マイケルの前に復帰。現在の順位
ハッキネン、バリチェロ、マイケル、クルサード、アーバイン、トゥルーリ
クルサードとしてはマイケル、バリチェロの両方をかわさないとシリーズ2位が危うくなる。さて?
全員がピット作業を終えたと思ったら、アーバインが残ってました。52周目、ようやくピットインです。ミシュランユーザーとしては苦肉の策、といったところでしょうか? 残り周回は21周。
ハッキネンのペースは十分OK。でも、バリチェロが追い込んできてます。残り6周で2.8秒、微妙なところか?(やいフジTV、思いっきしカットしてくれたじゃねーか!)と思ったら、バリチェロのエンジンにトラブル発生! 一気にペースダウン、白煙が出てます。さすがピットレポーターの川井ちゃん、エンジン音で気づいてしまうとは! もうすぐ後ろにマイケルとクルサードの姿が! これは最後まで走りきるのも難しいでしょう。マイケルを前に出して、クルサードをブロック(当然)。でもこれは時間の問題ですね。残り3周、クルサードはバンクの中でバリチェロをパス。残り2周、このまま何事も無ければハッキネンの優勝は間違いなし!
バリチェロ、残り2周の周回でリタイア。エンジンがぶっ壊れ、ロックしたようです。残念。
マクラーレンの見事な作戦が決まり、ハッキネンの今期2勝目。このままの勢いで鈴鹿もゲットだ!
決勝結果
1位 | ハッキネン | マクラーレン | ブリヂストン |
2位 | M シューマッハ | フェラーリ | ブリヂストン |
3位 | クルサード | マクラーレン | ブリヂストン |
4位 | アーバイン | ジャガー | ミシュラン |
5位 | ハイドフェルド | ザウバー | ブリヂストン |
6位 | アレジ | ジョーダン ホンダ | ブリヂストン |
7位 | フィジケラ | ベネトン | ミシュラン |
8位 | バトン | ベネトン | ミシュラン |
9位 | フレンツェン | プロスト | ミシュラン |
10位 | パニス | BAR ホンダ | ブリヂストン |
トップチェッカーを受けたハッキネンに拍手を送るマイケル。タイトルを獲った余裕もあるんでしょうが、ライバル復活を心から祝福しているようです。表彰台の3人はみんなうれしそう。やはりハッキネンはそれだけ特別な存在なんでしょう。F3時代からの良きライバル同士、通じ合うものがあるんでしょう。
ハッキネンはこのアメリカでは初優勝、前回優勝のイギリスも初優勝との事。どちらも勝ちたかったコース、結果を残せなかった今シーズン、休養前に自身を取り戻せたのは非常に良いことでしょう。鈴鹿に期待です。
ちなみに、6位に入ったジャン・アレジ、未だリタイアなし。鈴鹿も完走して、全戦完走を願う!
リタイアに終わったモントヤもいいパフォーマンスを見せてくれました。最速マシンでミシュランタイヤを使いこなし、鈴鹿ではトップに絡んでくる可能性大。もちろん初代フォーミュラニッポンチャンプのラルフも黙ってないでしょう。
ドライバーズランキング
1位 | M シューマッハ | 113 |
2位 | クルサード | 61 |
3位 | バリチェロ | 54 |
4位 | R シューマッハ | 48 |
5位 | ハッキネン | 34 |
6位 | モントヤ | 25 |
バリチェロのリタイア、クルサードの3位でポイントは開きました。その差7ポイント。これをバリチェロがひっくり返すには、次戦鈴鹿で、@バリチェロが優勝 Aクルサードが4位以下 が必要。バリチェロ優勝、クルサード4位でポイントは並ぶんですが、その場合はこれまでのレース結果がいい方が上に(いままでの結果、フォローしてないんでわかんないっす。)ラルフのシリーズ2位は消えました。3位を狙っての戦いになります。ハッキネンは5位以上はもう無理。モントヤに抜かれないように、というより、休養前の契機付けに是非に優勝を!
コンストラクターズランキング
1位 | フェラーリ | 167 |
2位 | マクラーレン メルセデス | 95 |
3位 | ウィリアムズ BMW | 73 |
4位 | ザウバー | 21 |
5位 | ジョーダン ホンダ | 17 |
6位 | BAR ホンダ | 17 |
仮にウィリアムズが鈴鹿で1、2フィニッシュを決めて、マクラーレンがノーポイントだったとしても95対89。トップ3チームは順位確定です。
注目はザウバー、ジョーダン、BARの4位争い。ただ、このクラスで4ポイント差というのは絶望的な数字。1台が3位に入るか、4位と6位が必要。それでザウバーがノーポイントでも、BARは並ぶだけ。ザウバー追撃はジョーダンにお願いするしかなさそう。
次戦 鈴鹿は今シーズンの最終戦。私はといえば、今年もサーキットへは行けず、TVでの観戦になっちまいます(涙涙)。